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「❤️彼女の妹 彼女の親友 Ⅰ」黒のストッキング姿の長身美少女の彼女の妹が突然部屋に上がり込んだ夜。机の下で絡みつく白い脚、迫るゴスロリ。  作者: ⚓フランク ✥ ロイド⚓
第3章 真中真理子と曽根崎アンヌ

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第14話(2) アンヌの視た真理子の視界

《《大久保公園の声》》


 歌舞伎町のネオンが眩しい中、東急歌舞伎町タワー駐車場に到着した。予約のおかげでスムーズに入庫できた。そこからTOHOシネマズ周辺を抜け、大久保公園へ。そこは、トー横キッズたちがたむろする場所の一つだった。


「これで、話を聞いてみて。あなたが霊視できるなら、私にはそれができない分、せめて直接聞きたい」先生は財布から一万円札を何枚も取り出し私に手渡した。


 私たちは、公園のベンチや地面に座り込む少年少女たちに近づいた。一万円を渡すと、彼らは警戒しながらも、ぽつぽつと話し始めた。


 最初に話したのは、十六歳の少女だった。髪は染め、化粧は濃い。だが、目は虚ろで、どこか幼かった。


「家?ないよ。お父さんが……私に変なことしてきたから、家を出てきたんだ。母さんは見て見ぬふり。お金が欲しくて、売りしてる。五千円とかで。おじさんたちに連れていかれて……」


 アンヌの顔が、わずかに強張った。


 次は17歳の少年。痩せ細り、腕に傷跡が無数にあった。


「親が離婚して、どっちも俺をいらないって言われた。児童相談所?行ったけど、すぐ逃げてきた。ここなら、仲間がいる。薬やって、みんなで笑って……でも、時々、昔の友達が首吊ったって聞くよ。そいつも、家で虐待されてたって」


 さらに別の少女。十五歳くらいか。


「埼玉からここに来たの。家には帰れない。兄が……夜中に部屋に入ってきて……。母さんは知ってるのに、何も言わない。お金稼ぐために売るしかないよ。一万円?……ありがとう。でも、これじゃ一晩しか持たないね」


 先生は、黙って聞いていた。恵まれた家庭で育ち、医学の道を歩んできた彼女にとって、これはまったく別世界だった。彼女の手が、わずかに震えているのがわかった。


《《霊視》》


 公園のベンチで、少女の話を聞いた後、先生は少し離れた場所に立ち、私をじっと見つめていた。ネオンの光が、彼女の顔を青白く照らす。先生は、医師の目で少年少女たちを診ていたが、今は私の顔を観察しているようだった。


「真理子……あなた、この子たちに憑いている霊が見えるの?どう見えるの?」先生の声は、低く、慎重だった。

「ええ、見えます。ほとんどの霊は、浮遊しているんですけど……」私は、地面に座り込んだ少女の影をちらりと視て、頷いた。

「浮遊?」

「はい。地面から一メートルから三メートルくらいの空中に、ふわふわと。もっと高く、天に向かって昇ったりはできないんです」


 先生は、眉を寄せた。科学者の目で、私の言葉を解剖するように。


「もっと高く浮かばないのは、理由があるの?」

「たぶん、成仏できないから、重いんだと思います。怨念や未練が、魂を地に引きつけてるみたいで……天に昇れないんです」私は、少し考えて答えた。


 先生は、黙って空を見上げた。灰色の夜空に、ネオンが反射している。


「それで……霊視した世界は、どう見えるの?」

「ダークな万華鏡みたいに見えます。普通の世界が、黒と紫と血のような赤のガラス片で歪んで、ゆっくり回転してるんです。影が渦を巻いて、怨念の顔や手が、万華鏡の模様のように浮かび上がったり、消えたり。光はほとんどなく、冷たい霧が常に流れていて、息苦しい。時々、叫び声が模様の中に混じって、視界全体が震えるんです」私は、目を細めて答えた。


「そんな世界を、見続けたら……気が狂わない?」先生の顔が青ざめた。


「もちろん、いつもいつも見ていたら、発狂します。だから、一眼レフカメラのレンズにつける偏光フィルターみたいに、意識の波長を変えて、見えなくしてるんです。偏光フィルターは、反射光を除去して見えない水面下の魚を見えるようにしますけど、私の場合は逆。霊の波長をフィルタリングして、普通の世界だけを見るように、意識を調整してるんです」私は、苦笑した。


「……意識の偏光フィルター?それ、すごいわ。でも、疲れないの?」先生は、目を丸くした。

「疲れますよ。でも、曾祖母から教わった方法です。完全にオフにできないけど、必要ない時は、ぼんやりとしか見えないようにしてるんです」


 先生は、ため息をついた。ネオンの下で、彼女の手が、私の肩に触れた。「あなた、本当に大変ね……」


 私は、先生の手の温もりを確かめながら、公園の闇を見つめた。霊たちの影が、低く浮遊している。重い怨念で、天に昇れない魂たち。


 少年少女たちの話を聞き終えた後、私たちは少し離れた場所に移動した。ネオンの光が、冷たく地面を照らす。アンヌ先生は、腕を組んで、私をじっと見つめていた。


 先生は、静かに呟いた。「……怖いけど、真理子が見ている世界を見てみたいと思ったわ」


 私は、先生の顔をまっすぐに見返した。先生の瞳に、好奇心と、わずかな恐れが混じっている。「見たいんですか?本当に見たいのですか?」

「無理だろうけどね」先生は、少し苦笑した。

「無理じゃないですよ」私は、ゆっくりと先生の手を掴んだ。先生の手は、冷たく、わずかに震えていた。


 私は、意識を集中した。曾祖母の血筋が、先生の視界に流れ込むように。先生の瞳が、瞬時に変わった。


 先生の視野が、変わった。


 大久保公園は、もはや公園ではなかった。現実の鏡像のような、核戦争後の荒廃した世界。地面は焼け焦げ、ひび割れ、溶岩のような赤い光が隙間から噴き出している。ベンチは歪んだ鉄の残骸、木々は黒く炭化した骸、ネオンは血のような赤い炎に変わり、空を焦がす。強風が吹き荒れ、転がるゴミや魂の欠片が飛び交う。悪魔のような影。


 浮遊する霊たちが、翼を広げて徘徊し、苦しむ亡者の顔が、廃墟の壁に浮かび上がったり、消えたり。遠くで、叫び声が風に混じり、すべてが赤黒く、炎に包まれている。トー横の少女たちは、炎の渦の中で苦悶の表情を浮かべ、霊の爪が腹や首を掻き毟る。空は永遠の夕暮れのように暗く、救いの光はどこにもない。


 先生は、私の掴んだ手を強く引っ張って、後退りした。顔が青ざめ、息が荒い。


「こ、これが……あなたに見える世界なの?」


 先生の声は、震えていた。私は、ゆっくりと手を離した。先生の視界は、元に戻った。ネオンが、ただのネオンに戻る。


「ええ……いつも、こんなんです」私は、頷いた。


《《地縛霊》》


 ふと、路地の奥に、座り込んでいる少女が見えた。高校生くらいだろう。壁に寄りかかり、腹を押さえてうずくまっている。顔は青白く、汗が額を伝っていた。


「あなた、どうしたの?具合が悪いの?」と私は思わず聞いた。

「お腹が……焼けるみたいに痛いんです……何かに、掴まれてるような……」


 少女の声は、弱々しかった。私は先生と目を見交わし、近づいた。先生は、医師としてすぐに少女の脈を取ろうとしたが、私は手を挙げて止めた。肉体的接触が霊を触れた人間に呼び寄せることもあるのだ。


 霊視した。


 少女の腹に、黒い影が絡みついている。腫れが広がり始め、内部から何かが蠢いている。……これは、瘡だ。だが、首ではなく、腹を侵食している。


 人の顔ではなく、ただの膿と怨念の塊。戦後の赤線禁止で、路頭に迷い、病や自殺で死んでいった売春婦の地縛霊。歌舞伎町の土に染みついた、強力な怨霊だろう。貧困と絶望の連鎖を、永遠に繰り返すために、この界隈で、何名も、何十名ものトー横女子を、腹を蝕んでとり殺してきたようだ。


 少女は、見ず知らずの犠牲者。ただ、ここにいただけなのに。


 私は、曾祖母の血が沸騰するのを感じた。先生が、私の腕を掴んだ。


「真理子さん……?」

「先生、離れてて。この霊は強いわ……」


 私は少女の前に跪き、彼女の腹に手を当てた。目を閉じ、深く息を吸う。恐山の冷たい風を思い浮かべ、口を開いた。


「オシラサマ、オシラサマ、聞こえ給え。

 古き魂よ、汝の無念は知る。

 赤線の闇、禁じられた身の苦しみ、

 病と飢え、死の淵での叫び。

 されど、この世に留まるは、汝自身を縛るのみ。

 恨みは深く、腹に巣食う怨は果てなし。

 汝の名を呼び、汝の鎖を解く。

 南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。

 極楽浄土へ、西方浄土へ、導き給え。

 腹の瘡よ、膿を吐き、影を散らせ。

 この子を離れ、汝自身を救え。

 オシラサマの慈悲により、成仏せよ……

 散れ、消え、成仏せよ、成仏せよ……」


 私の声は、低く、響くように唱えた。古い祈りの断片を、即興で繋いだもの。風が吹き、少女の腹が熱くなった。影が、激しく抵抗した。腹の腫れが膨張し、少女が悲鳴を上げた。


「痛い……!お腹が、裂けそう……!」

「真理子さん、危ないわ!止めて!」先生が、慌てて少女を抱きかかえた。だが、私は声を大きくした。


「汝の苦しみは終わる。恨みは捨てよ。

 この子を、この娘らを、これ以上蝕むな。

 オシラサマ、慈悲を……成仏せよ、成仏せよ……」


 突然、風が強くなった。少女の腹の腫れが、目に見えて縮み、影が引き剥がされるように薄れた。地縛霊は、完全に消えたわけではない。土に戻り、再び誰かを狙うだろう。でも、今は鎮まった。この少女だけは、救えた。

【注意・免責事項】

※本作に登場するすべてのキャラクターは18歳以上です。

※制服・学生風衣装・部活動ユニフォーム等の描写は、すべて演出上のコスプレ要素であり、現実の未成年を描写したものではありません。

※本作に登場する事件・設定・団体等はすべてフィクションであり、実在のものとは一切関係ありません。

※第4章以降では、過去の出来事や医療・倫理に関する重いテーマが語られますが、描写は簡潔に留めています。

※性的・暴力的要素を一部含みますが、過度に詳細な描写は行っていません。

※本作は特定の思想・行為を推奨するものではありません。

※苦手な方は該当章の閲覧をお控えください。

※飲酒・喫煙の描写が含まれます。

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