第7話(1) ゴスロリでコンサート?再現、イヤだぁ~!
※作者より、
これらの八話は、本編のストーリーとまったく違う、番外、音楽編になっています。彩花の謎には関係ありません。スミマセン。
第7話(1) ゴスロリでコンサート?再現、イヤだぁ~!
第7話(2) ゴスロリでコンサート?本番そのまま?
第11話(1) 駒場祭本番!お嫁に行けない!
第11話(2) 駒場祭本番!終わりだ!帰れ!
第12話(1) さあ、みなさん、再演ですわよ!
第12話(2) 演目決定!地獄の練習再び!
第12話(3) 本番ですわよ!働きましょう!
第12話(4) フィナーレですわ!
彩花の謎は、次章の
第4章 彼女の姉 彼女のママ
で明かされます。もうしわけありません。
《《2026年9月、本郷》》
《《コスプレっ子❤️/ゴスロリ文化会部室》》
本郷キャンパス、古びた部室棟の片隅にある「コスプレっ子❤️」と「ゴスロリ文化会」の合同部室は、いつも独特の匂いがする。衣装のベルベットの匂い、化粧品、そして少しのカビ。
その日、私が部室のドアを開けると、真理子先輩が一人で、パイプ椅子に座ってヘッドフォンをしていた。手元のタブレットでYoutubeを観ている。彼女のトレードマークである黒い服と、ヘッドフォンという組み合わせが妙にちぐはぐで、私は一瞬、足が止まった。
「真理子、読書じゃなくて、ミュージック?ふっしぎ!」私のすぐ後ろから、凜花が真理子の耳元で怒鳴った。
「凜花、相変わらず、うるさい方ですわね?私が、音楽を聴いてはいけませんか?」真理子は両耳のヘッドフォンを外し、静かにタブレットを置いた。その瞳は、いつものように感情が読めない。
「なんか、似合わないと思って」
「ちょうど、よろしかったですわ」私の背中に嫌な予感が走る。
「凜花、遥、あなたがた、ギターとベースは弾けます?」
「また、唐突に……」
「弾けないんですか?」
「真理子、偶然だけど、凜花はギター、私はベース、いけますが?」私が答えると、真理子の目がわずかに光った。
「それはよろしいこと。それで、音痴じゃないでしょうね?」
「最近のK-POPとか、カラオケで歌ってますけど……」
「K-POP……下賤な……では、こういう曲を続けて、どうです?プレイできます?ヴォーカルも?」
真理子がYoutubeの動画から、つなげてひとつにまとめたものを、私と凜花に聴かせた。
……おい!なんだ、この組み合わせ!
本曲三曲:
① Wham!、Last Christmas
② Journey、Don't Stop Believin
③ Joni Mitchell、The Circle Game
アンコール用:
④ 紙ふうせん、冬が来る前に
⑤ Daughtry、Separate Ways予備:
予備:
⑥ Bonnie Tyler、Total Eclipse Of The Heart
「真理子、この組み合わせってなんなの!」私は、タブレットを指差して叫んだ。 Wham!からJoni Mitchell、そして紙ふうせんを経てSeparate Ways? Bonnie Tyler?情緒が不安定すぎる。
「私の趣味ですけど、何か問題が?これを全員がゴスロリでプレイするのですわ」
「問題も何も、これ、続けて、六曲?」
「ハイ、何か問題がございます?」
「これをですね、ギター、ベース、ヴォーカルで真理子と私たち三人でやれと?」
「『コスプレっ子❤️』の部長がね、11月の駒場祭で、一時間、ホールを抑えたんだけど、AKIBAとエヴァンゲリオンのコスプレで、アニソン歌うけど、どうしても30分しか保たない。たまには、ゴスロリ文化会も貢献してよね?と言われましてね、他の部員はみんな逃げてしまったので、後は、凜花と遥、もちろん、私しかいないのですわよ。逃がしませんわ、お二人」
真理子の言葉は、もはや命令だった。
「真理子!これ、私たち三人じゃ、パートが足りないよ!」
「大丈夫です。文化会以外で、二人、調達しましたわ」
真理子は、タブレットの画面をスワイプした。コンサート紹介ページの草稿に表示されたのは、加藤恵美助手と曽根崎アンヌ先生。
「加藤恵美と曽根崎アンヌ。キーボード、シンセサイザーとサブベースはできるということ」
「え?恵美さんとアンヌ先生?なんで、あの二人が……」
「足りないのですもの。大学関係者ですから無問題ですわ。それで、駒場祭の実行委員長にパンツを見せて、楽器とユニフォームの資金を調達しましたわ。『貧乏なサークルなんですぅ……お助けくださいぁ~い!』って。恵美とアンヌは、ゴスロリのユニは、コンサート終了後、あなたたちのもの、というので釣りました」
実行委員長にパンツ……?真理子の交渉術は、もはや魔女のそれだ。そして、アンヌ先生と恵美さんをゴスロリ衣装で釣る?
「前半部の『コスプレっ子❤️』と後半部の『ゴスロリ文化会』のポスターもAIで作成させましたわ」と13インチのタブを渡された。
ガァ~ン!「『コスプレっ子❤️』のポスターは、AKIBAとエヴァンゲリオンのコスプレ……部長初め。全員パンツ丸見え!
「真理子!これ部長に見せました?」
「もちろん!」
「パンツ、丸見えですよ!」
「集客のためです!」
「じゃあ、『ゴスロリ文化会』の方も?」
「ええ、これですわ」とモニターをスクロールした。
ガァ~ン!ガァ~ン!ガァ~ン!
中央に、腰を突き上げて、ロゥリィ・マーキュリーのポーズの真理子。もちろん、レースの黒のパンツ、丸見え……。
左には、前かがみになって、観客を挑発するようにマイクを持って歌う凜花。よせて上げた胸の谷間が丸見え……。
右には、私。ベースを演奏している……腰を突き上げて、仰け反って、恍惚となった表情がリアル。もちろん、レースの黒のパンツ、丸見え……。その横のアンヌ先生のサブベースも同じ……パンツ、丸見え……。
バックに恵美さん。キーボードの演奏。でも、でも、ヤマハのキーボードの下から覗くのは、股をガバッと開いて、もちろん、黒のパンツ、丸見え……。
「真理子!アンヌ先生と恵美さんに見せたの?了解を取ったの?」
「アンヌと恵美が、『みんな、もっとハイレグのパンツにしましょう!』と言うので、AIのプロンプトは、『極限までのハイレグ!』と指示しましたわ」
「アンヌ先生と恵美さんまで仲間なの!……で、でも、第一、こんなポスター、学内で貼れないわ!」
「実行委員会の委員長に見せましたの。これでどうでしょう?あなたが見た私のパンツ、そのままですわ、って……しばらく黙ってしまいましたが、『印刷できたら、俺にも両方くれ』と言われてましたわ。これは、了解ということですわね?」
「……」
「このポスターの再現をステージで、お二人にしていただきます!」
「イヤだぁ~!!!」
「あら、凜花と遥も極上の衣装、ほしくありませんの?ベルベット三層ですわよ?」
極上のベルベット三層……!私と凜花は、卒倒しそうになった。ゴスロリ衣装の最高峰。10万円は下らない。それが、自分たちのものになる?
「……何事もチャレンジよね、遥」
「……ええ、そうね。ベルベット三層!」
私たちは、真理子の「毒」を、10万円の衣装という糖衣で飲み込んだ。あ~あ……。
真理子が、担当を決めた。……あ~、あ~、やっぱり無理だろ?
① Wham!、Last Christmas
真理子・メインボーカル、凜花・ギターとサブヴォーカル、遥・ベース、キーボード・恵美、ベース・アンヌ。
② Journey、Don't Stop Believin
凜花・メインボーカル、真理子・ギター、遥・ギターとサブヴォーカル、ベース・アンヌ、ドラムはシンセサイザー・恵美。
③ Joni Mitchell、The Circle Game
ボーカルとギター弾き語り・凜花、コーラス、遥、真理子、恵美。
④ 紙ふうせん、冬が来る前に
真理子・ギター弾き語り、遥、凜花、恵美、アンヌのコーラス
⑤ Daughtry、Separate Ways
真理子と凜花のダブルヴォーカル、遥・ベース。キーボード・恵美、アンヌ。
⑥ Bonnie Tyler、Total Eclipse Of The Heart
真理子と凜花のダブルヴォーカル、遥・ベース。キーボード・恵美、アンヌ。
「この曲の組み合わせ、ふ、不可能でしょ!」
「何が不可能かしら?やればいいだけのことですわ」この!この!真中真理子ぉ~!
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※飲酒喫煙シーンが書かれてあります。
※性描写を含みます。




