表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「❤️彼女の妹 彼女の親友 Ⅰ」黒のストッキング姿の長身美少女の彼女の妹が突然部屋に上がり込んだ夜。机の下で絡みつく白い脚、迫るゴスロリ。  作者: ⚓フランク ✥ ロイド⚓
第3章 真中真理子と曽根崎アンヌ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/95

第2話 授業開始とゴスロリ文化会

《《2026年4月6日、駒場》》

《《授業開始!》》


 初日だから、私も凜花もビジネススーツ。クラスは30名で、女子は約一割。つまり、私たちの他に女子はこのクラスは四名で、本能的に四人で固まって、一緒に席に座った。高嶺の花気分……男子が私たちをチラチラ見る。


 他の女子二名は普通の私服なので、私たちの方が目立った。167に158のスーツ姿凜花を見る男子が多いみたい。でも、陸上部のユニで慣れている凜花は平然としている。そりゃあ、そうだよね。ハイレグボトムで平然なら、スーツなんて平気の平座。


 1限の数学(微分積分学)で既に脳がオーバーヒート気味の凜花を連れて、私たちは2限の「ドイツ語」の教室へ移動した。理科一類の私たちのクラスは、物理学徒の登竜門とも言えるドイツ語選択者が集まっている。


 ドイツ語のオリエンテーションを受けて、凜花が頭を振った。

「いい、凜花。アインシュタインだってハイゼンベルクだって、この言葉で思考していたのよ。物理を極めるなら避けては通れない言語なのよ」

「……頭ではわかってるわよ、遥。でも、格変化が4つもあるなんて、さっきの微積だけでお腹いっぱいなのに、言葉までそんなに複雑にしないでほしいわ!」


 教壇に立った老教授が、チョークを走らせる。

「ドイツ語は論理の言語です。主語と動詞の位置、そして格の関係……。これが崩れると、論理が崩壊します」


 その言葉に私は「なるほど」と頷いた。凜花は机に突っ伏して「悠真に助けてもらおう……」英語だけじゃダメ?と弱音を吐いた。


 情報、身体運動・健康科学実習(体育)、初年次ゼミナール理科、選択科目の思想・芸術、国際・地域、人間・環境……。


 文系科目の哲学も含め、東大が私たちに求めているのは既存の知識の暗記ではなく、「知の枠組みそのものの再構築なのだと、言われる。なるほど。


「物理科のくせに物理はまだなの?」と私のように、初年度のカリキュラムを調べていない凜花は空を見上げた。やれやれ。


 そして放課後。


 私たちはあの「怪しげな部室」のドアを叩いた。


《《真中真理子》》


 私たちは、授業が終わって、早速、コスプレっ子❤️のサークル室にお邪魔することにした。凜花と私は、あの真中真理子先輩が謎なのだ。彼女を知りたい。


 部室に行くと、コミックスのコスプレの人たちで溢れていた。お互いの批評をし合っている。なるほど、コスプレマニアというのは、他の人の感想が気になる人たちなんだね。


 その喧騒の中で、真理子先輩が隅の方で一人静に本を読んでいる!いや、読まれていらっしゃる!今日は普通の格好をしている。引っ詰め髪のポニーテール。黒のハイネックに黒のストレッチジーンズ。


「真中先輩!」と声をかけた。

「真理子、と呼んで」と本から顔を上げてニコッと笑った。「八重樫遥さんに、高橋凜花さん。遥に凜花と呼べばよろしいわね?」

「ハ、ハイ、凜花と遥でどうぞ。あの、何をお読みでしょうか?」

「ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』ですわ。やっと文庫版が去年でましたの。あの単行本をもちあるけませんもの。上下二冊で1キロ超えますの。やっと、文庫本で持ち歩けて、読み返せますわ」


「ウンベルト・エーコ?『薔薇の名前』?」と凜花。確かに、脳筋凜花の知識の外の世界だ。

「14世紀の北イタリアの修道院を舞台にした歴史ミステリーです。007のショーン・コネリーがバスカヴィルのウィリアムを演じて映画化もされました。『薔薇の名前』が何を指すのか?明確には書いてないの。

 『かつて存在した薔薇はただ名前のみ、虚しきその名が今に残れり』

12世紀の修道士ベルナール・ド・クリュニーの詩に由来するのかしら?哲学的意味の暗喩なのか?それとも、登場人物の誰かを指すのか?興味深いわよ。凜花、読んでみる?」


「……読みます!」

「ちょうど、上巻を読み終わったわ。貸してあげる」と凜花に渡そうとした。

「私、自分で買います。なんか、何度も読み返さないとダメみたいだから……」

「これ、文庫本だけど高いのよ。上下巻で、税込み、6,600円」

「ええ?ビックマックのセット、10個分!……お、お借りします」


「先輩……」

「遥、真理子よ、マ・リ・コ」彼女と話すと調子が狂う。

「……真理子、今日は地味な格好ですね?」

「ゴスロリで授業を受けられないでしょ?授業にならないでしょ?」

「ハイ!もちろん」

「下着、見せたら、教授も生徒もみんなモッコリしちゃうもの」あれ、下ネタも話される?

「電車にも乗れませんもの」

「ハイ!もちろん」

「部屋では着ますよ。人に見せたいわけじゃないもの。でも、見せても良いけど、今、空き家」

「空き家?」

「今は、彼がいないのね。遥、良い人いない?」え?肉食?


 私は凜花と顔を見合わせた。小声で、

「悠馬に紹介は止めよう」

「賛成」


 それを耳にした真理子が、

「あら、良い人知っているのね?ユウマ、どういう字かしら?紹介したくないのね?ケチね?」彼女と話すと調子が狂う。

「いえ、えっと、悠久の『悠』に馬ですが……凜花の彼です」

「凜花の彼……それが遥に何の関係が?遥は彼はいないの?」視えてるの?

「いや、その、あのですね……」

「真面目に答えようとする遥、可愛いわね。冗談よ、冗談」まったく、彼女と話すと調子が狂う。


《《2026年4月13日、日本武道館》》

《《入学式!》》


 九段下駅を出ると、桜が散り始めていた。


「……ねえ遥。やっぱりこのスカート、タイトすぎて階段上るのが一苦労なんだけど」凜花が、九段下の坂道でペンギンのような歩幅で歩いている。

「だから言ったじゃない。膝上十センチのタイトスカートなんて、式典じゃなくて誘惑用だって!」


 武道館の周りに、スーツ姿の新入生と、よそ行き顔の保護者たちが溢れている。私と凜花は、待ち合わせ場所の正門前で、それぞれの家族と合流した。


 凜花のパパ、高橋真一さんは、米国出張から昨日帰ってきたという。背が高くて、凜花とは似ていない。穏やかそうな人だ。凜花のママ、高橋優子さんは、凜花より少し小さい。上品な紺のワンピース。今日だけは、泣きそうな顔をしている。


 私の両親も合流した。八重樫家は代々厳格な家風なので、パパは礼服に近いダークスーツ、ママは訪問着だ。

「遥、結局その地味なスーツにしたのか。パパは和服のほうが……」まだ言っている八重樫家の家長を、ママが「もう、お祝いの席なんだから」と宥めている。


「お嬢さんたち、よく似合っているわね」と優子さんが私たちのスーツを見て言った。

「ありがとうございます。ネイビーで揃えました」と私。

「可愛いじゃないですか。ほら、真一、写真撮って!」

「は、はい」と真一さんが慌ててスマホを構えた。


 凜花が私に耳打ちした。「パパ、写真が下手なのよ。首から上が切れるから注意して」

「なんで私が注意するの!」


 八重樫家と高橋家の両親は、初対面の挨拶を済ませた。パパ同士は理系出身同士らしく、五分で意気投合していた。ママ同士は「娘がお世話になっています」を三回繰り返して笑っていた。


 式が始まった。日本武道館の広さに、凜花が小声で言った。


「武道館ってコンサートもできるんだよね。ビートルズが来たのよね?」

「そう。1966年。悠真に教わったの?」

「うん。なんか、その話をするとき悠真が嬉しそうなのよ」


 総長の式辞が始まった。「知の探求……」「困難を恐れず……」


 凜花が再び耳打ちした。「遥、スーパーカミオカンデって知ってるよね?」

「なんで今それを聞くの」

「悠真が、言ってた。遥も行きたいでしょ?岐阜県の地下、ニュートリノの観測装置。ノーベル賞取った梶田先生の……」

「式の最中に話しかけないで」

「ごきげんよう」

「真理子先輩の真似をしないで」


 式が終わった。両家の両親と、武道館の外で記念写真を撮った。真一さんがまた首から上を切った。



※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。

※飲酒喫煙シーンが書かれてあります。

※性描写を含みます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ