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第9話 アフターピル

《《この前の火曜日の放課後》》


「……っ、今ごろ、悠真と彩花姉ちゃんは何してるわけ? どっちの部屋? 悠真の部屋? 私がいた、あの同じ場所で……。鼻をつくような、あの熱っぽい空気の中に二人でいるの?」


 なぁんて、悶々としていたが、私はハッとした!悠真も私も迂闊!避妊してないじゃん!土曜でしょ?日曜でしょ?72時間以内とか聞いたことがある。授業が終わるのをジリジリとして待って、部活を休んで、私は、産婦人科に走った。なんでかって?避妊薬処方してもらうのに決まってんじゃん!


 産婦人科に着いた。久しぶりだった。学校からちょっと離れたクリニックを選んだ。学校の生徒の眼が気になるでしょう?初診の問診票を書かされた。


 名前、年齢、身長、体重っと。高橋凜花。18才。身長167、体重57。


 今日はどうされましたか?ってなんて答えるの?え~っと……妊娠かどうか、なのかな?ここに ✔ 。妊娠判定されましたか?いいえ。子宮がん検診?一昨年やったっけ?既往歴?なし!通院してる病院?なし!内服薬?なし!


 アレルギー?……なし。タバコ?吸わないよ!飲酒?最近、毎日!月経歴?初経、12才!閉経?ないよ!


 結婚歴?なし、未婚!性交渉の経験?一昨日!過去の妊娠・分娩歴?なし!その他、気になること?アフターピルを処方して欲しい、と書けば良いのかな?アフターピル処方のためっと。


 看護師さんが「2番のお部屋です」って言われた。失礼しますって入室。消毒薬の匂い。産婦人科用の検診台。女医さん。良かった。若い!白衣姿が似合ってる美人。


 女医さんが「ここにお座り下さい。担当医の原田節子です」って言う。ご丁寧に、ありがとうございます。彼女は私の書いた初診の問診票を見て、「ご結婚は…されてない……18歳、学生さん?アフターピル?ああ、そういうことね」ってニコッと笑った。


「まず、ちゃんと身体測定をしましょう。体重、身長を測りましょう」って女医さんに言われた。「というのも、BMIが25以上の方は、アフターピルの効果が低いという臨床結果が出ているのです。高橋さんは大丈夫みたい。念のため。身長は……167、体重は……57キロ、問診票通り。ええっと……BMIは20.94です。普通体重。問題なし。血圧も正常。何か患ってる病気とかは?ない?ハイ、結構です」


 なんだあ。あの産婦人科用の検診台で、ガバァ~と開脚させられて、あそこを検診されるわけじゃないんだね。


「アフターピルをご要望なんね。性交されてから何時間経ってる?」って女医さんが率直に聞く。率直、実に。もちろん聞かれる。「ハイ、72時間位です」問診票の生理の欄を見て「あら?危険日じゃない!」って言う。ハイ、超危険日です。バッチリです。


「でも、72時間位なら、良かった!アフターピルは、正しく服用することで95%以上の確率で避妊することができる薬です。性行為後72時間以内に服用することで効果があると言われています。十分な量の女性ホルモンを取り入れることにより、着床を防ぎ・排卵を遅らせることにより妊娠を防ぎます」


「72時間以内ならセーフ……」

「ハイ、その通り。24時間以内なら妊娠率は1%前後、48時間以内なら2%前後。でも、お忘れなく。95%以上の確率。100%じゃない。様子を見て、数日後に妊娠検査薬で妊娠チェックをして下さい。あと、サプリメントは飲まれていますか?」


「いいえ、決まった薬を常時服用してません。頭痛や生理の時の痛み止め程度かな?」

「飲まれてない。良かった。凝固剤や抗けいれん剤などを服用されている方にはアフターピルは処方できません。それから、アフターピルは、5~7日後には効果がなくなってしまいます。アフターピルを服用したからといって、避妊せずに性行為を行うとアフターピルの効果がなくなって妊娠してしまうことがあります。避妊するなら、低用量ピルなどをキチンと服用されることをお勧めします」


「しばらくは…え~、セックスすることはありません。今回は、避妊を忘れてしまいました」とウソついた。

「低用量ピルが必要になったらまた受診してくださいね。それと、アフターピルの副作用として数時間以内に吐き気や嘔吐、だるさ、眠気などが起こる方もいます。吐き気止めも念のために処方しておきましょう」


 避妊目的のピル処方は保険適用外(自由診療)とかで、12,500円、とられた。


 念の為!と手を合わせて原田先生に聞いたら、「あら?うっかりしちゃダメよ。若いって良いわね。お盛んなこと」と言って、アッサリ、アフターピルを二回分処方してくれた。これで、予備のアフターピル、ゲット!


 避妊ってお金がかかるものなのね?


《《土曜日、午前中》》


 午前中、悠真の家を出て、凜花と一緒に彼女の家に行った。家に着くなりキッチンに連れて行かれて、グラスの水を渡される。


「凜花、何よ?」

「あのさ、これ、飲んで!」とオレンジの包装の薬を渡された。

「これ、何?」

「アフターピルよ。先週、産婦人科に行って処方してもらったの。飲んで!それとも悠真の赤ちゃん、産む?」

「あ!」私はあわてて、包装を破って、薬を飲んだ。

「私よりも先に悠真の子供を孕んだら、遥とはいえ、許さないんだからね!」

「……凜花、それ、発想がおかしい!」

「まあ、良かった。今度、産婦人科に一緒に行って、低用量ピルも処方してもらおう。これから、いっぱい、二人で悠真に犯されるんだから!」

「……凜花、それ、土曜日の朝、口にする台詞じゃない!」

「そおかなあ……」


 まだ、彩花お姉さんは、来ていなかった。凜花と私は、高級スーパーの紀伊國屋で買い物をした。


「凜花、デザート、何をつくるの?」

「……考え中……」とスーパーの店内をぐるぐる回った。


 凜花が、『茨城県(かすみがうら市)産、湖山の宝』という大ぶりでつややかな生栗を手に取った。「なんて綺麗な栗!」と今にも栗に頬ずりするみたいにして手に取った。


 いや、あのね、私の栗に今朝まで頬ずりしていたのはわかるのだけど、生栗を茹でてどうするの?凝ってないじゃん?


「凜花、生栗を茹でてどうするの?凝ってないじゃん?」

「遥、茹でてそのままなんて私がすると思う?モンブランを作るのよ!」

「それって、生栗から作るものだっけ?ペーストとかあるじゃん?」

「ペースト?鮮度の落ちるペースト?冗談じゃないわ!」


 こうして、凜花は『湖山の宝』を1キロも買った。生クリームも1リットル、賞味期限を見て、これ、古い!とか言いながら選んだ。


「さあ、私ん家に行こう!彩花姉ちゃんを仰け反らすほどのモンブランを!ルンルン!」とスキップする。時々、凜花の脳の構造がまったく理解できないことがある。


 彩花お姉さんの彼氏である悠真さんと、実の妹の凜花、そして親友の私が、一晩中アンアンとやり合った翌日なのだ。


 普通なら、姉の顔をまともに見られない。せいぜい駅前で適当なケーキを買ってお茶を濁すくらいじゃないのか。


 それなのに、二日酔いと寝不足で私の体が悲鳴を上げている横で、彼女は一キロの生栗を抱えてスキップしている。これから家に帰って、何時間もかけて栗を煮詰めて、裏ごしして、姉のために完璧な手作りモンブランを振る舞うらしい。


……こいつ、化け物だ。



※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。

※飲酒喫煙シーンが書かれてあります。

※性描写を含みます。

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