31話
あの人がどうしてここに?
まさか同じクラスだった?!
驚きのあまりに、私はその場で凍りついてしまった。ぼんやりと立ち尽くしていると、後ろから抗議の声が聞こえてきた。
「ちょってどいてもらっていい?」
「あ、ご、ごめんなさい」
ドアを塞いで立っていたことすら忘れていた。私は驚いた気持ちを後にしてひとまず教室に入って席に座った。
なになになに、これマジ?
これが現実だと思えなくて、試しに頬を思い切りつねってみた。
「痛っ!」
力を入れすぎたせいで頬がジンジンして涙が出そうになった。
また会いたいとは思ってたけれど、名前も学年も知らないから、本当にまた会えるかどうか確信がなかった。最悪の場合、学校中を探し回るしかないと思った。なのに、まさかこんな早く会えるなんて。しかも同じクラスだとは夢にも思わなかった。
嬉しい。けど、これからどうするの。
まずは声かけてみようか。
そう決心して席を立とうとした。でもいざ立ち上がろうとすると、足が動かなかった。
どころで、なんて声をかければいいの。
話しかけたいのに、最初の一言をどうかければいいか分からなかった。知り合いでもないのにいきなり「おはよう」親しく接したら変な人だと思われるかもしれないし、「昨日会ったよね」はなんかナンパみたいな感じでアウト。
それに何よりーー
嫌な気分にさせたらどうしよう。
変な噂が立っている私が先に話しかけて、嫌な思いをさせるんじゃないか。そう思うと不安で、怖かった。
声をかけられないのは、言葉が思いつかないわけじゃなく、拒絶されて嫌な目で見られるのが怖いから。だから、近づくことができなかった。
運よくこんなに早く再開できたのに、彼に近づく勇気がなかった。
諦めよう。そもそも私なんかが誰かと親しくなろうと思うなんて、身の程を知れよ。私が近づいたら、あの人困るだけだから。
そんな都合のいい口実で自分と妥協して断念した。
そうしているうちに、先生が教室に入ってきた。
「早く席に着きなさい。ホームルーム始まるわ」
先生の声に、クラスは静かになりみんな自分の席に戻った。
こうして私は何もできないまま一日が始まった。そう思ったのに…。
視線が重たい。さっきからなんでそんなにジロジロみてるんだろう。
後ろの席。あの人の席から私をじっと見つめる視線が感じられて後頭部が痛いほどだった。でも不快ではなかった。普段向けられる視線とは違って純粋に私に興味を持っているような視線だった。
でも重たいのは変わらない。
私は精一杯無視して授業に集中した。そして午前の授業は終わってお昼休みになった。
石川が来る前に屋上に…ってあれ石川?
廊下の向こうから石川グループがこっちに歩いてくるのが見えた。
早く逃げないと。
でも今屋上に行ったら途中で捕まりそうだった。だから、咄嗟にトレに入って身を隠した。
五分ほど経っただろか。そっと廊下を覗いてみた。幸い、もうどこかに行ったのか石川の姿は見えなかった。
私はほっと安堵のため息を吐きながら廊下に出た。石川に見つかる前に、早く屋上へ逃げようと思った。私は足早に廊下を歩いて階段を登った。そして屋上のドアを開けた。
ここでお昼休みが終わるまで、あれ?
「なっ、何でここに人が」
ドアを開けた途端、手すりのそばに立つ人の後ろ姿が目に入った。
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