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23話

 美鈴と友達になってから、幸いにも私はクラスによく溶け込んだ。最初に思ったよりよっぽど多くの友達ができた。


「ゆづきちゃん今日の宿題やった?」

「うん」

「お願い! 宿題写させて」

「もー仕方ないね。わかったよ」


 私はため息をつきながら鞄からノートを取り出した。


「おっ、春咲うっす」

「おはいよ」


 女だけじゃなく、男の友達も結構できた。

 いつの間に学期始めに抱えていた悩みはどこかへ消えていて、むしろ一年生の時より友達が増えて毎日楽しい学校生活を送っていた。

 そんなある日の下校途中だった。一緒に帰っていた美鈴が突然聞いてきた。


「ねえ、ゆづきって好きな人いないの?」

「え?」


 思いもよらない質問に私は戸惑ってしまった。


「意外とクラスにゆづきのこと好きな人がいるらしい。まあ、可愛いから当たり前だけど。ってゆづきは好きな人いないかなと気になったわけ」


 私のことを好きな人がいるんだと?

 初耳だった。でもーー


「いないよ。別に恋愛するつもりもないし」

「そっか」

「じゃあ美鈴は? 美鈴は好きな人いないの?」

「私は…いる」


 美鈴は頬を少し赤らめてほぼ聞き取れないくらいに小さく言った。予想外の答えに私は思わず「え」と声が漏れてしまった。


「いたんだ…」


 全然知らなかった。美鈴に好きな人がいるなんて。


「誰なの? 私が知ってる人?」

「うん」

「え、誰?」

「それがぁ」


 美鈴は周りをキョロキョロと見回してから、囁くように言った。


「他の子には内緒だよ。隣のクラスの仙石くん」

「ええっ、マジで?」


 隣のクラスの仙石くんなら、私も何度か会ったことがあった。知り合ってまだ一ヶ月も経っていないため、どんな人かはよくわからないけど、優しい人なのは知っていた。


「いつから? いつから好きになった?」

「二週間前くらいからかな」

「どうして好きになった。二人ってそんなに仲良かったっけ?」

「顔も悪くないし、話も合うし、それに何より優しく接してくれるの」

「へえ、そうなんだ」


 美鈴は照れたように、視線をそっと逸らして言った。こんな美鈴は初めてでなんか新鮮だった。いつも堂々としているのに、こんな乙女っぽいな一面もあるんだ。


 なんか面白い。だからみんな恋バナが好きなのかな。


 今まで恋愛に興味なくてよくわからなかったけど、美鈴を見ているとなんか少しわかる気がした。


「本当に他の子には内緒だからね。誰にも言っちゃダメだよ」

「わかった。絶対言わない」


 私は微笑みながら頷いた。


「あと、ゆづきにはちょっと手伝ってほしいの」

「何を」

「私が仙石と付き合えるように」


 美鈴は頬を赤く染めながら言った。

 手伝いたい気持ちはいっぱいあった。けど、恋愛について何もわからない私は、何をどう手伝えばいいか全然わからなかった。しかし、美鈴の震える眼差しを前にして「ごめん、無理」なんて言えなかった。


「わかった。手伝ってあげるよ」

「マジ!? ありがとう。ゆづきならそう言ってくれると思った」


 美鈴は私の手を取って跳ねるように喜んだ。この日私は美鈴の恋愛を手伝う約束を交わした。

 しかしその日から一週間後。


「春咲さん。実は俺ずっと君のことが好きだった。付き合ってください」

「……?」


 私は美鈴の好きな人である仙石くんから告白されてしまった。

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