22話
美鈴との初対面は、二年生の新学期だった。
一年生のときに仲が良かった友達とは別々のクラスになってしまった。そのため、私は新しいクラスで独りぼっちになっていた。
知ってる人が一人もいない。息が詰まりそう。
クラスの中では、もともと知り合いだったのか、それとももう新しい環境に馴染んだのか、早くもいくつかのグループができていた。そんな彼らとは違って、私は一人で孤立されていて静かに席に座っていた。
もともと、親しくもない相手に自分から声をかけるほど社交的な性格ではなかった。そのため、新学期みたいに知らないものだらけの新しい環境に馴染むのは苦手だった。
「いっそ誰かが声をかけてくれたらいいのに」
自分から声をかける方より声をかけられる方がずっと楽でありがたい。最初声かけるのが苦手なだけで、人と話すこと自体はあまり嫌いじゃなかった。むしろ、割と好きな方だった。
「おはいよう」
「ひゃっ!」
びっくりしてつい大声を出してしまった。一瞬にクラスの全員の視線が私に集まれたけど、幸いみんなすぐに興味を失った。
ふぅ良かった。注目されるのは苦手なんだ。…いや、今はそれどころじゃない。
突然見知らぬ人に声かけられた。
私はそっと顔を上げてあの子を見上げた。
短くした制服スカートに、シャツ出しが真っ先に目に入った。さらに顔を上げてあの子の顔に目を移した。少しクセのある金髪のボブへア。鋭い目つき。目の下に小さなほくろが一つある少女だった。
少女はブラザーのポケットに手を突っ込んだまま、私の机の前に立っていた。
知り合いだったっけ? 見たことないけど。
初対面なのに、ニコニコしながら話しかけてくる様子は、まるで昔からの知り合いを接するようだった。そのため混乱していた中、あの子が言った。
「あんたすごく可愛いね」
「え、あ、ありがとう」
突然の褒め言葉に戸惑った。でもそれと同時に、可愛いと言われて少し嬉しかった。
「あんた気に入った」
「なにが」
私は首を傾げた。すると、あの子はニッと笑って言った。
「私は石川美鈴。気軽に美鈴って呼んでね。これから仲良くしようね」
「……」
な、仲良く?!
あまりにも突然で、何み返せず石川をじっと見つめた。石川は相変わらずニコニコ笑っていた。その笑顔を見た瞬間、何か取り憑かれたのか気づけば私は答えていた。
「うん」
「じゃあこれからよろしくね」
私はコクリと頷いた。
一人で孤立していた私は美鈴は友達になってくれた。この時は、学期初日から友達ができたことを素直に喜んでいた。これから石川と私の間に何が起こるのかも知らずに。




