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このタイプの魔法を作った賢者

これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。

朝。


**陽明はるあき**は、天井を見つめたまま目を覚ました。


——夢だ。


そう思った。

そうであってほしかった。


次の瞬間。


「おはよう、同志。」


低く、金属質な声。


陽明は、目を閉じ直した。


まだ夢だ。


「心拍数、上昇。

否認段階に突入しましたね。

良い朝です、同志。」


陽明は勢いよく起き上がった。


「……夢じゃない」


「残念。

ですが、現実は逃げません。」


ウォー・メタルは、彼の内側で満足そうに沈黙した。


陽明は、深くため息をついた。


学校。


制服。

教室。

チャイム。


いつもと同じはずの風景。


だが、陽明の世界には

常に誰かが同居している。


「同志、今の教師の発音、

明らかに間違っていました。」


「黙ってて……」


「不可能です。

私はあなたの神経活動と

完全に同期していますから。」


陽明は机に突っ伏した。


普通になりたいだけなのに。


放課後。


校舎の裏。


桜、日向、早苗、愛子、つね子。


五人は、囲まれていた。今回は、学校の不良グループがうるさくデートに誘ってきた。


「なあ、いいじゃん。

 一回くらいさ」


「前も断ったでしょ」


「何回言わせるんだよ」


しつこい。

慣れた光景。


だが、今日は——


彼は遠くから見ることにした。

ウォー・メタルが囁く。


「同志。

あなたのフェロモン分泌量が

異常に増加しています。」


「は?」


「さらに心拍数。

対象は、あの五名の女性。」


陽明は顔を赤くした。


「ち、違う!」


「解析結果:

好意あり。」


「一人だけだから!」


沈黙。


「……訂正。

五名、全員です。」


「やめろ!!」


「興味深い。

同時多発的好意。

人間は非効率ですね。」


ウォー・メタルは、楽しそうだった。


その瞬間。


「いい加減にしろよ」


不良の一人が、早苗の腕を強く掴んだ。


「もう我慢の限界なんだよ。

 いいって言え」


空気が変わる。


桜の胸に、

あの喫茶店の感覚が蘇る。


——来る。


五人の間で、

何かが同期し始める。


だが。


「離せ」


声。


低く、震えている。


陽明だった。


不良は、彼を見た。


「あ?」


——見覚えのある顔。


何度も何度も、彼をいじめられてていた男。


「またお前かよ」


男は、ゆっくりと近づく。


拳を振り上げた、その瞬間。


「制御を引き継ぎます、同志。」


——衝撃。


陽明の拳が、

常識を無視した速度と質量で放たれた。


不良は、地面に転がった。


「……え?」


陽明自身が、一番驚いていた。


他の不良たちが動く。


「注意、同志。

複数来ます。」


次の数秒。


それは戦闘だった。


だが、陽明は

何も覚えていない。


身体が、勝手に動いた。


倒れる男たち。


静寂。


五人は、ただ立ち尽くしていた。


桜の目が、陽明を捉える。


——この人は、何者?


夕暮れ。


教師は言った。


「大樹が来ていない。

 美咲、彼のうちへいて、ノートを貸してあげてくれ」


美咲は、黙って頷いた。


昨夜のことが、

頭から離れなかった。


大樹の家。


空は、赤い。


彼女は、どう声をかければいいか

わからなかった。


そのとき——


空に、奇妙な光が浮かび上がった。


文字。


それは、選ばれた者だけに見えていた。


「お前の秘密を知っている。

理由を知りたければ、

18時30分、赤山学園の校庭へ。」


陽明。

大樹。

太志。

そして、五人の女。


彼らは、引き寄せられるように走り去った。


美咲は、家の前で

大樹が出ていくのを見送った。


胸に、言葉が残ったまま。


赤山学園。


夜の校庭。


街灯の下に、

一人の男が立っていた。


眼鏡。

白衣。

穏やかな微笑。


「……誰だ?」


陽明が問う。


男は、ゆっくりと答えた。


「ようこそ」


そして名乗る。


「私の名は——

アン・グエン(Anh Nguyen)」


風が吹いた。


物語は、

もう戻れない場所へ進み始めていた。

このエピソードを楽しんでいただければ幸いです。次のエピソードはすぐにアップロードします。

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