偉大な老魔術師は多くの嘘をつくかもしれない。
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
夜は、
まだ終わっていなかった。
戦闘の痕が、
街のあちこちに残っている。
焼け焦げたアスファルト。
崩れた信号機。
担架で運ばれる人々。
そして——
瓦礫の隙間に座り込む、
別の宇宙から来た
人間たち。
陽明は、
その光景から目を逸らせなかった。
拳が、
まだ震えている。
怒りか。
恐怖か。
それとも——後悔か。
「……グエンはどこだ」
低い声だった。
ウォー・メタルが、
即座に反応する。
「心拍数、上昇。
感情パラメータ、不安定」
「ですが、
あなたの問いは
合理的です」
ドクター・グエンは、
少し離れた場所にいた。
瓦礫に腰を下ろし、
静かに空を見ている。
まるで、
すべてを予測していた
科学者の顔で。
「ドクター・グエン」
陽明が近づく。
その背後には、
太志。
デスX。
そして、
包帯を巻いた美咲。
誰も、
言葉を挟まなかった。
「……説明してくれ」
陽明の声は、
抑えられていた。
「さっきの敵は、
人間でした」
「別の宇宙の……
人間だった」
グエンは、
ゆっくりと眼鏡を外した。
そして、
初めて疲れたように
目を閉じた。
「……そうだ」
短い肯定。
それだけで、
空気が凍る。
「あなたは……!」
陽明が一歩踏み出す。
「俺たちに、
何をさせてきたんですか」
「侵略者だって言った!」
「守るためだって……!」
沈黙。
遠くで、
救急車のサイレンが鳴る。
「では、なぜ……」
陽明の声が、
低くなる。
「なぜ、
俺たちを戦わせた」
「なぜ、
人を殺させた!」
その瞬間。
陽明の足が、
前に出ていた。
拳が、
グエンの胸元を掴む。
「答えろ!」
「あなたがやってることは、
正義なんですか!」
ウォー・メタルが、
警告を発する。
「同志、
暴力行為は——」
「黙ってろ!」
陽明は、
初めて
ウォー・メタルを遮った。
グエンは、
抵抗しなかった。
ただ、
陽明を真っ直ぐに見た。
グエンが言った。
「君は何かを忘れているようだ。あの男たちは我々全員を殺すためにここに来た。彼らか我々か、どちらかだった。まるで私が君を騙したかのように言うが、私は真実の一部を隠しただけだ。彼らが人間だったという事実は何も変わらない。彼らは我々を滅ぼすために来た敵だった。彼らにとって我々は対等な存在ではなく、敵だったのだ。
陽明が叫ぶ。
「だったら、
他に方法があるだろ!」
その時、デスXはなんとか春明を落ち着かせ、グエンを放っておくことができた。
そしてグエン氏は調査で発見したすべてを明らかにした。
「私は調べた」
「放射線。
位相。
確率。
因果」
「そして辿り着いた」
グエンは、
空を指さす。
見えないはずの、
その向こうを。
「多元戦争は、
もう始まっている」
「止めるには、
誰かが
血を被らねばならない」
陽明はグエンを怒って見つめた。
「……それで」
「あなたは、
その役を
俺たちに押し付けた?」
グエンは、
一瞬だけ、
視線を逸らした。
「私は——」
「選ばせた」
その言葉に、
デスXが
微かに揺れる。
四人の若者の心が、
同時にざわめいた。
「逃げる自由も、
拒否する自由も」
「だが、
力を与えた以上」
「現実は、
君たちを
放ってはおかない」
「……最低だ」
「そうだ」
グエンは、
否定しなかった。
「だが、
私は止まらない」
「だって、ついにこの戦争を
終わらせる方法を
見つけた」
「さあ、見せてあげるよ。」
陽明は、
拳を開いた。
血が、
滲んでいる。
「……俺は」
「あなたを、
許しません」
グエンは、
小さく頷いた。
「それでいい」
夜風が吹く。
瓦礫の間を、
静かに。
だが、
誰もが分かっていた。
もう、
後戻りはできない。
戦いは、
次の段階へ
進もうとしていた。
このエピソードを楽しんでいただければ幸いです。次のエピソードもすぐにアップロードします。




