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真実は見つめるべき美しいものではない

これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。

空が、

鳴っていた。


雲はない。

雨もない。


それでも、

雷だけが存在していた。


歪んだ光の裂け目から、

それは現れた。


人の形。

だが、肉体はない。


骨も、皮膚も、血もない。


全身が、

雷そのもので構成された

巨人。


一体、二体、三体——

数え切れない。


「解析不能……」


ウォー・メタルの声が、

陽明の内側で震える。


「既存の侵略兵器とは、

 構造が違います」


美咲は、

新しいコックピットに座っていた。


震える手。

浅い呼吸。


だが、

目は前を見ていた。


「……行ける」


自分に言い聞かせるように。


「花沢美咲。

 簡易接続、完了」


新型機体。

仮設フレーム。


ファミン・ブラックほどの

完成度はない。


それでも——

今は、これしかなかった。


戦闘が始まった。


雷の巨人たちが、

街に落ちる。


衝撃。

電撃。

崩れるビル。


悲鳴。


デスXが、

正面から突っ込む。


五人の意志が、

完全に同期していた。


「今度は……」


「一緒に戦う」


「守る」


「逃げない」


「信じる」


——五つで、一つ。


だが、

数が多すぎた。


雷は、

質量を持つ。


触れただけで、

装甲が焼き切れる。


美咲の機体が、

直撃を受けた。


「——っ!!」


警告音。

視界が歪む。


機体が回転し、

地面に叩きつけられる。


「美咲!!」


陽明が叫ぶ。


その瞬間、

彼は理解した。


——約束だ。


「制御、開放」


ウォー・メタルが、

静かに言った。


「俺達は、彼女を

 守ると誓いました」


陽明と太志が、

同時に動いた。


プレーグ・ファントムの外骨格が、

雷を受け止める。


焼ける。

砕ける。


それでも、

退かない。


陽明は、

美咲の機体の前に立った。


雷の巨人を、

真正面から殴り抜く。


——砕けた。


だが。


中から、

何かが落ちた。


人間。


装甲服を着た、

人間だった。


呼吸している。

生きている。


「……人?」


太志が、

声を失う。


次々に倒される雷の巨人。


その中から、

次々に現れる

人間。


誰もが、

信じられなかった。


「彼らは……」


陽明の声が、

震える。


「侵略者じゃない……?」


ウォー・メタルが、

沈黙のあと、答えた。


「推測:

 別パラレルユニバスの人類」


「彼らは、 何らかの技術を使って、自分を兵器になっています」


戦闘は、

終わった。


勝利だった。


だが。


誰も、

喜べなかった。


瓦礫の中で、

美咲が運び出される。


意識はある。

だが、血が滲んでいた。


陽明は、

拳を強く握った。


——騙されていた?


——彼の地球の人々を守っていたつもりで、

 別の地球の人々を殺していたのか?


空は、

静かになった。


雷は消え、

夜が戻る。


だが。


彼らの心には、

新しい疑問が

深く、重く、

落ちていた。


(第18話・了)

このエピソードを楽しんでいただければ幸いです。次のエピソードもすぐにアップロードします。

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