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守るための怪物たち

これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。

五つの心が、ひとつになる。


光が収束し、

街路に降り立ったのは――デスX。


巨大な影。

少女の輪郭。

だが、五人分の呼吸が、内部でずれていた。


「……美咲」



デスXは街を駆ける。


だが、美咲の姿は、どこにもなかった。


代わりにあったのは――


泣き声。


瓦礫の陰で、

血を流す子ども。

震える小さな背中。


デスXは、足を止めた。


本来なら、探すべきだった。

目的は、別にあった。


それでも。


気づけば、手を伸ばしていた。


「……大丈夫」


声は低く、だが確かだった。


瓦礫を持ち上げ、

子どもを抱き上げる。


一人。

また一人。


理由は、分からなかった。


ただ、放っておけなかった。


一方。


鋼鉄の巨体――ファミン・ブラックが、夜を切り裂く。


長瀬大樹は、その内部で必死に周囲を探していた。


「美咲……!」


瓦礫の影。

倒れた電柱。


そして――見つけた。


「大樹……!」


美咲だった。


彼女は無事だった。

震えてはいたが、生きていた。


「こっちだ!」


大樹は彼女を抱え、

建物の陰へと走る。


だが、空が唸る。


葉巻型の戦闘艇。


ディーゼルの臭い。

金属の軋み。


多くの敵の宇宙戦艦が、行く手を塞ぐ。


「邪魔だ……!」


ファミン・ブラックが、腕を振るう。


鉄と火花。


一隻、また一隻と、夜に墜ちていく。


同じころ。


デスXは、包囲されていた。


空から、

路地から、

無数の葉巻型戦闘艇。


数が、多すぎた。


回避。

防御。

反撃。


それでも、押される。


そのとき――


「下がれ!」


声。


拳が、常識を超えた速度で突き出される。


陽明はるあき。


そして、内側から響く声。


「対象多数。

 制圧を開始します、同志」


ウォー・メタル。


敵が弾かれ、

空間が歪む。


陽明は、デスXへと手を伸ばした。


「ここは危険だ!

 逃げるぞ!」


その瞬間。


――ビクッ。


デスXが、後ずさる。


触れられない。


触れられたくない。


内部で、何かが軋む。


思い出したくなかった何か。


だが、それが何なのかは、語られない。


陽明の手は、空を掴んだままだった。


「……?」


戸惑い。


次の瞬間。


重い衝撃が、敵を吹き飛ばす。


プレーグ・ファントム。


太志ふとしだった。


生体金属の装甲が、月光を弾く。


「こっちは任せろ」


短い言葉。


だが、確かな意志。


太志と陽明は並び立ち、

敵を押し返す。


その合間に、

子どもたちを救い出す。


抱き上げ、

運び、

逃がす。


時間は、何時間も続いたように感じられた。


そして――


最後の戦闘艇が、夜空で爆ぜた。


静寂。


残ったのは、

煙と、

疲労と、

生き残った人々。


そこへ。


足音。


白衣。


アン・グエンだった。


彼は、何も言わず、

若者たちを見つめていた。


誰も、口を開かなかった。


だが、全員が理解していた。


もし、彼がいなければ。


この世界は。

この街は。

そして――


美咲のような、

大切な存在は。


確実に、失われていた。


そのとき。


別の足音が、夜を踏み鳴らす。


重装備。

銃。

傷だらけの兵士たち。


アメリカ軍。


先頭に立つのは、

威圧的な体格の男。


顔には、疲労と怒り。


彼は、グエンを指差した。


「ドクター・グエン」


低く、重い声。


「合衆国陸軍の名において告げる」


一拍。


「超機密技術の窃盗、

 およびスパイ行為の容疑により――」


銃口が、向けられる。


「あなたを、逮捕する」


夜風が、吹いた。


誰も、動かなかった。


物語は、

さらに深い場所へと、

足を踏み入れた。

このエピソードを楽しんでいただければ幸いです。次のエピソードはすぐにアップロードします。

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