第2回
埼玉文学賞落選作品(笑)
ー「今日は、みんなもよく知ってると思うけど、七夕だよね。それでね、今からみんなに短冊を配るから、それに願いを書いてもらいたいんだ」
小学4年生の私達に、担任の20代後半の男の先生は、教壇からクラス全体を見渡しながらそう言った。教室は、先生のその言葉をキッカケに少しザワめき、何を書こうかと友達同士で雑談する者、めんどくさいとヤジを飛ばす者と、30何通りの反応をそれぞれ示した。窓側の最後列の私の元にも一つ短冊が廻され、その若草色の長方形の紙を神妙なおもむきで見つめていた。ふと、窓越しから外を見ると、空は薄黒く、今にも雨が降り出しそうだったー
「逢沢さん?...逢沢さん?」
「...え?あ、はい」
「今夜、本当に雨が降るんですか?」
「え?えー、今夜、雨が降りますよ...」
窓から見える景色に顔を向けながら記憶を遡っていた私は、隣のベットの、私と同じく体を半身起こした状態の鈴木さんにふいに声をかけられ、少し動揺しながらもそう答えた。
鈴木さんは28歳で私と年が近い事もあり、とても気が合った。もちろん、ベットが隣り同士という事もその要因の一つではあったが、普段から男同士よく話す仲だった。
「逢沢さんは、昔、ほら、小学生の頃かなんかに、短冊に願いを書いて、竹に吊るしませんでした?」
あまりにもタイミングのよい鈴木さんの問いに、今、自分が考えている事を見られていたかのようで、内心驚いた。
「...そうですねー、小学生の頃に学校でやりましたねー」
「逢沢さんは、なんて願い事を書いたんですか?」
「私ですか?そうですねー...」ー
第3回へ続く...




