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《挿話》マクガーン家の秘密会議

よろしくお願いします。

ある日のお茶会の時間。


マクガーン家はメイベルがいない隙を狙って、残りの皆でお茶会と言う名の会議を始めるようだ。


もちろん。マクガーン家の当主の厳かな一声で始まるはずだ。


「さて、今月も始めようか。

私から、皆に伝えたいことがある。

大事なことだから、心して聞くように。

ついに。ついに、私の愛しのベルの思春期が終わったんだ!!」


メイベルの兄のウィルフレッドは間髪入れずに答えた。


「それは思春期ではなくて、父上がベルに嫌われていただけではないのですか?」


「それはお前もだろう。

お前も、ベルが話しかけてくる回数が減ったと嘆いてていただろう。すっかり、その悩みも解決したようだが」


ここで、この会議の公平な審判員のメイベルの母リリアーナの登場のようだ。


「はぁ。あなたたちいい加減にしてください。

ベルはあなた達にうんざりしていたんですよ。

あなたは、ベルが"ドレス欲しい"と頼んだら、店ごと買ったことを忘れてしまったんですか?

ベルはお金の無駄遣いを嫌うのにですよ。

そして、ウィルはベルに少しでも嫌な態度をとった生徒に忠告をしていたわよね。

ベルは何とも思っていないのにやりすぎだったのよ

2人ともベルの意思を無視しすぎです」


メイベルの母の意見は至極真っ当なようだった。

それなのに、負けず嫌いな2人はまだ言い足りないらしい。


「でも、前世を思い出してからは私のことを嫌うのはやめた様子だった。

そして、ベルは、節約しすぎなんだ。

なかなか装飾品やドレスを買わない。

だから、足りないだろうと思って買ってしまったんだ」


「そうですよ。

ベルは学校で皆に優しくしすぎなんですよ。

ベルは嫌がらせをされても謝られると、すぐに許してしまうんです。だから、俺はそいつらをその程度では許さなくて警告しにいったんですよ」


「でも、派手好きなタイプではないのに、不思議と派手な化粧とドレス、そして髪型にこだわっていたのはどうしてかしら?

前世を思い出してからはやめたみたいだけど」


流石は、リリアーナの一言だ。

マクガーン家全員がその疑問がもっていたようだった。


すると、ここまで沈黙を守っていた、メイベルの弟のキースベルトが口を開いた。


「異能が発現したと言うことは、高位家族で狙われやすい立場のうえに、さらに危険なことに巻き込まれる可能性が高まったってことですよね。

まぁ、何かあった時は、僕があどけなく"遊ぼう"って言ったら、ここにすぐに戻ってきてくれるので、その時は僕達で守りましょう。

結局、ベル姉様は父上や兄上よりも僕のことが好きで、優先してくれますからね。

父上と兄上は、ベル姉様に好かれたければ、もっと上手くやらないといけませんよ」


「いいや、違う。何だかんだ言って、私が1番好かれている」


「いいえ、俺が1番です」


リリアーナは頭を抱えた。

彼女の子ども達は才能に秀で過ぎていたのだが、少し問題があるようだった。


長男は、帝国一の剣術の才能を持つ。

そんな彼の欠点を言うとすれば、妹に関わること以外では無口で無表情すぎるのだ。

その上、見目麗しいのに、やってくる令嬢を冷たくあしらうため、未だに婚約者もいない。


長女は、魔法の才能がある。

しかし、そんな彼女はよく想像力を膨らませて、別世界にいるかのように、人の話を聞いていないこともあるので、よく何かをやらかしている。


次男は、頭脳明晰だ。

5歳にして大人の会話に普通に入れるほどだ。

ところが、彼は実は腹黒い面を持っていて、姉を独占するために、その可愛さと幼さを最大限に利用して、色々と裏で画策しているようだ。



リリアーナは最早、このままで議題に入れないだろうと賢明な判断をして、無理やり議題に突入することに決めた。


それは、マクガーン家が今持っている葛藤についてだ。


そう。彼ら(主にマクガーン家の男達)にとって"ベルの婚約者"という気に入らない存在の男が、突如提案してきたことについてだ。


その男というのが、剣術、魔法、頭脳そして容姿も全てが優れた皇太子殿下というお方だ。


「私たちには大きな問題があったでしょう。

皆さん、お忘れではないでしょう」


全員、表情を引き締め出した。

やはり、すかさずウィルフレッドは答えた。


「父上、俺は反対です」


「まあ、お前はそうだろうな。

ベルが、彼と出会うまではずっと、"王子様みたいなお前と結婚する"と豪語していたのに、彼と出会ってからは、お前の容姿に興味がなくなってしまったものだったな。

あぁ。あれはお前が12歳くらいのことだろうか。

ふっ。可哀想にな」


「……っっ。それは記憶から捨てました。

あの2人はお互いを愛し合っていないじゃないですか。

それなのに、急に彼は、いかにもベルの兄や保護者のように振る舞うことがあって、こっちとしては面白くないのですよ」


それに対して、キースベルトの考えは少し違うようだった。


「そうですかね。

案外、一緒に過ごす時間が長くなるほど愛想を尽かすこともあり得るのではないですか。

そしたら、婚約破棄の可能性も出てくるではないですか。

それが起きたら、ベル姉様はずっとマクガーン家に残ってくれる。

こんな風にトントン拍子に進むかもしれないですよ」


そう。この婚約は皇帝の意思と異能を持つ公爵令嬢と言う理由で決まったのだった。

だから、マクガーン家としては.皇太子と結婚することに拘りはなかった。むしろ、マクガーン家にずっと居て欲しいくらいだ。


すると、またもや、リリアーナが適切な判断を下したようだった。それが、メイベルにとっては喜ばしいものではなかったとしても……


「でも、私たちでは、なかなかベルの様子を見に行くことはできませんわ。

そんな時に、皇太子様が

"視察を口実に、ベルの様子を見て、マクガーン家に伝える"

という素晴らしい案を出してくださったのですよ。

受ける以外はないでしょう。

あなた達はベルが心配ではないのですか?

いつも通り、何かやらかすかもしれないのですよ?」


その言葉で、会議の空気が一気に変わった。

満場一致で、ベルの性格上、何をしでかすかわからず、心配。だから、監視役が欲しい。という判断になったようだ。


この一家で、真の権力を持っているのはリリアーナなのかもしれない。


彼女の一言で、"皇太子で婚約者"というマクガーン家の男達にとって、彼らの姫を奪うかもしれない宿敵を姫の元へ送ることになったのだから。


ウィルは不服そうで、キースは何か悪巧みをしている様子の中、父親のローレンスは決まったことは仕方ないと言った様子で、筆を握り出した。


「まぁ。ベルも彼の顔だけは気に入っているから、サプライズゲストって言っておけば、喜んでくれるかな〜?」


そういう安易な考えで手紙を送ったせいで、この件に関してのベルから恨みを全て買ってしまったことは、可哀想なことなのかもしれない。


そう。それを決定づけた一言を発したのは誰か。

ということは、ベルにとって闇に葬られた事実だった。



殿下が出てくると思った矢先のマクガーン家の話ですが、こんなキャラだよ。と皆さんに伝えたかったので、ここまで読んでいただき本当に嬉しいです。

いつか、彼らが活躍する機会があるのか?!

次話では殿下も出てきます。

楽しみに待っていてくださったら嬉しいです。


ブクマや評価、とても励みになっています!


読んでくださったり、応援してくださっている皆さん、ありがとうございます。



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