作戦決行2
よろしくお願いします。
「お母様、ウィル兄様、キース。元気になりました」
「ええ。ベル。本当によかったわ」
「ベル。心配したよ。治ってよかった」
「ベルお姉様。元気になってよかったです。
またいっぱい遊べますねっ」
お母様は私と同じピンクブロンドの髪に碧眼で優雅な美人な人だった。
お母様は……転生した事に気付く前の記憶によると42歳なのね。あら。じゃあお父様もお母様と同級生だから42歳なのね。
改めて、2人とも恐ろしいほど若く見えるわ。
お兄様は前世で見たことのないほどのイケメンっぷりでプラチナブロンドに碧眼の王子様のような容姿だった。
22歳で、私より6つ上なのね。
弟は可愛すぎて気を失うレベルだ。
ピンクブロンドにお父様と同じルビーのように赤い瞳。
弟は5歳でいつでも可愛いけど、本当に愛らしいわ。
家族みんなストレートヘアーだから、悪役令嬢の私もストレートヘアーなのね。と納得がいった。
やっぱり、悪役令嬢の家族はみんな顔偏差値がお高いのね。と実感するしかなかった。
そして、顔だけではなく、家族である私のことをとても大切にしてくれているのだ。
私はこんなに素晴らしい家族を持っていて幸せね。
これは、家族のためにも私は悪役令嬢にならない道に進むしかないわと改めて実感した。
「ええと。私は異能が発現したみたいです」
「「「……っっっ」」」
「そうか。ベルは早く異能を発現させたいと言っていたから、まずはおめでとう。だな。
帝国内で異能の存在が有名ではないにしても、異能持ちは危険な目に遭いやすいから、今後より一層護衛をつけて気をつけなくてはな」
さすが。次期公爵家の当主だわ。
会話の瞬発力に頭の回転も速くてすごいわ。
お兄様からも過保護な感じがするけど、異能は危険な目に遭いやすいのね。
「そうよ。ベル。おめでとう。
体調には気をつけなさいね」
「ベルお姉様は特別な存在になっても、僕と遊んでくれますよね?」
ああ。優しいお母様に、可愛い弟。
最高。の一言ね。
「はい。それで色々考えて、領地に移ることになりました。お父様も了承済みです。」
「ああ。それがいいな」
「そうね」
「ベルお姉様。遠くに行っちゃうんですか。
それでもたまには遊べますよね?」
「ええ。キース遊べるわ」
そうやって、私たちはお茶を飲んでおしゃべり楽しみながら、私が領地に移ることは決定事項になったのだった。
◇◇◇◇
ついにこの日がやってきた。
領地に移る日だ。
家族と離れるのは少し寂しいが、家族を守れるのならこの寂しさは我慢できる。
どうせなら領地生活を最高に楽しんで見せるわ。
なんと、我がマクガーン家の領地は、この帝国の首都と並んで栄えている場所で、さらには自然や資源がたくさんあり、首都と比べて劣らないほど素晴らしい場所なんだそう。
そして、学校ももちろんあって、その学校も首都と同じくらい教育が充実しているらしい。
ああ。楽しみだわ。
そうしながら、今後の楽しみを思い浮かべていると、家族がお見送りをしてくれた。
家族みんなとハグをして言葉を交わした。
「「「ベル。体には気をつけて」」」
「ベル姉様、帰ってきたらたくさん僕と遊んでくださいね」
「ありがとうございます。絶対遊ぼうね」
そして、私は彼らに手を振り、別れを惜しんだ。
馬車はさすが、公爵家と言おうか。
豪華で、フカフカで乗り心地も最高だ。
都市と領地は馬車で半日かかるらしい。
ゆっくり景色を楽しんでおこうと思っていたのだが、私はウトウトしてしまっていた。
「メイベルお嬢様。少しお休みになってはいかがでしょうか?」
私が目を覚ました時、隣にいた専属メイドのアンナが声をかけてくれた。
「ええ。ありがとう。そうするわ」
昨日は、今日のことを考えて、ドキドキやらワクワクやらで眠れなかったものね。
そうして、眠りについたのだが、私はかなり眠っていたらしい。
目を覚ました頃には、馬車はもう領地に入っていた。
そんな私の目に入ったのは山。山。山。
見渡す限り、山だったのだが、これは金や銀、ダイヤモンドの鉱山なのだ。
前世の生活を思い浮かべると、この山がどれほどのお金を生み出すのか考えるだけで身震いがした。
ワクワクし過ぎて前日に眠れないという前世と今を合わせたら30は超えているはずなのに、小学生のような事をしてしまって、景色も見れずにこれから私の家となる公爵家の別荘に着いてしまった。
私とアンナが馬車から降りると、沢山の使用人達が1列をなしていた。
すごいわ。これが前世の体育で習っていた集団行動の賜物かしら。と思っていると、全員で揃えて、声を発した。
「「「「「お嬢様。おかえりなさいませ」」」」」
「お出迎えありがとう」
別荘の使用人、総出で私を出迎えてくれたらしい。
この集団行動のクオリティーは、体育の集団行動の練習を余裕で超えてきたわ。
私は家族だけではなく、こんなにも私のことを歓迎してくれる素晴らしい使用人も持っているのね。と誇らしくなって別荘に足を踏み入れた。
読んでいただきありがとうございます。