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私が気づいたこと 2

よろしくお願いします

な、な、なんでバレてるの?

そう、私は慌てたが、ケイは冷静に答える。


「どうしてそう思った?」


「とある古い文献で見たのです。皇帝と皇帝の直系である次期皇帝となる皇太子が使える魔法を」


ええ。そんな文献ってそこらに転がっているものなの?!ちょっとダメじゃない?


そう思っている間に、キースの話は続く。


「殿下はその条件に当てはまるのだから、姿を変えられるのではないですか?そして、僕たちが3人で母上の実家に行こうとした時、殿下は前世持ちだと母上に伝えていた。これは異能持ちの証拠ではないですか?」


ケ、ケイ。あなた自分で薄情しちゃったじゃないの?

それでも、ケイは全く動じない。


「あぁ。確かに私は瞳の色を変えている。そして前世持ちだ。では私の異能とはなんなのだ?」


「私が帝都で聞いた話を聞いて考察したことは、姉上の異能が料理関連で、殿下の異能は会社の運営関連だと思っています」


「あぁ」


ん?ん?なんかさらっと異能のネタバレが起きて、それを肯定されたわよ。当事者の私、置いていかれているわよ。

これ以上、置いていかれたくないわ!と思い、私も話に加わる。



「ええと、私の異能が料理関連ってどういうこと?」


「ベル姉様。その前に1つだけ、殿下に伝えることがあるのでいいですか?」


「ええ」


「母上は、殿下の異能について気付いているのか、気付いていないのかは分からないのですが、母上は元王女ということもあり、皇族や王族の秘密に関してとても理解しているので、他言はしていないと思います。あと、母上は殿下から話を聞いた時の昔からの恋愛話で心を鷲掴みにされたようなので、恋愛関連の話しか頭に入っていない可能性もあります」


「あぁ。そうか。メイの家族は信用しているから大丈夫だ」


私はケイの言葉に嬉しくなっているときに、キースは続けた。


「ベル姉様、僕が思うに異能はきっと、前世持ちの人が前世での何らかの知識をこの世界で活かすということだと思うんです。それがベル姉様は料理関連。殿下は雇用形態のような会社の運営関連だと思っています」


「……そうなのね」


「実際、ベル姉様は帝国の食を変えましたし、殿下も今までとは違う雇用システムの会社を作り上げました。過去の異能の共通点が分からないのも、前世持ちの人の得意な事がそれぞれ違うからなのではないかと思っているんです」


「まぁ。そうなのね」


ここまで、思いつくキースの方が異能なのでは。と思うほど、キースの頭の良さに脱帽する。


私はてっきり異能は超能力的なものかなと思っていたわ。

目からビームとか姿を消せるとか瞬間移動だとかそう言った類のものを想像したていたわね。


何だか、少し拍子抜けした気がするのは気のせいかしら?そう思っていると、ある疑問が出てくる。

ケイはこのことを知っていたのよね?

どうして教えてくれなかったのかしら?

これは、聞いてみないといけないわね。と思い、私は言葉を紡ぐ。


「ケイはこのことを知っていたの?」


「あぁ」


「どうして教えてくれなかったの?」


「私は前世のメイも今と変わらず、全てが魅力的だった。でも、メイは今世では魔法は自信に思っていても、前世の自分に関して何1つ自信を持っていなかっただろう?」


「ええ、確かにそうね」


ふと、前世の自分を思い出す。

勉強も運動も何もかもが平均。

両親は仲が良かったとは言えず、何も得意な事が無い私に無関心。

何かをできるようになろう!と努力しても実らなかった私。

唯一できて楽しかった事が料理だった事を。


「きっと、メイは前世の知識が異能だ。なんて伝えたら責任感のあるメイは異能持ちとして、何か成果を残さないといけない。という思いに駆られて必死になって苦労するんじゃないか。と思ったんだ」


「そうなのね」


「あぁ。俺は何となくメイの異能は料理関連じゃないかとは思っていた。でも、メイには本当に自分の好きな事をして楽しんでほしいとも思っていた。そして、前世の君にも沢山の魅力があると自分で気付いて欲しかったんだ」


「そうなのね」


私は何故か涙が出てくる。


ケイは前世から完璧な人だった。

周りからは、無口で無表情でなにを考えているか分からない。と言われていたけれど、そんなところも含めて、運動も勉強も顔も完璧で周りからの憧れの存在だった。


そんな彼は、私に沢山の魅力を見つけてくれていた。それなのに私は卑屈になっていて何も誇れるところがないと思っていた。


前世の自分の顔も、運動も、勉強も未だに自信には思っていないけど、まずは料理だけ誇れるようになったし、頑張って料理をしてきた自分の努力は報われた気がした。


家で孤独で寂しかった自分が救われたような気がした。


「……そうなのね」


そう言って、目に溢れる涙が溢れないように我慢している時にキースが私に抱きついてこう言った。


「ベル姉様は、もしも異能持ちでなくても魔法がなくても、僕にとっては最高の姉様で、世界で1番大好きです」

「あぁ。キース。ありがとう」


きっと、前世で頑張ったから、神様がご褒美として、今世はこんなに素晴らしい家族に囲まれているのね。と思い、今度は微笑みが溢れる。


そして、私は気持ちを切り替え、ケイに思った事を言う。


「ケイの気持ちはよくわかったし、その気持ちはとても嬉しいわ。でも出来る限り隠し事はしないでほしいわ」

「あぁ。すまない。今度からは隠し事はしない」

「ええ。お願い」

「そして、俺はメイがメイであるだけで、大好きではなく愛しているんだ」


あら。ケイはキースが私に抱きついているのを見てマウントを取り出したわ。

そう思っている時に、私はふとケイとキースの目を見た。

実は、異能は目から火花が散ることではないかしら?と思うくらい2人の目から火花が散っている気がした。

ケイは、幼い子と接したら幼くなるのね。と微笑ましく思った。


そんなこんなで私は2人からサンドウィッチになるくらいぎゅうぎゅうにくっつかれたのだけれど、大好きな2人にくっつかれて、幸せだったことは言うまでもないことだった。


異能について拍子抜けした方もいるかもしれませんが、これも書きたかったシーンなので楽しく読んでくださったら嬉しいです。


実はメイは異能持ちと知られているので沢山の人に狙われていましたが、全て阻止して秘密裏に処理していたのがケイとルーカスです。

そう言うシーンのいつか番外編として書きたいですね!


ラストで完結です!


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