帝都の農地改革
よろしくお願いします。
私たちは帝都の農地予定地へやってきた。
そこは、だだっ広い土しかない土地が広がっている。
皇帝陛下曰く、この土地に生えていた雑草は全て排除したとのことだった。
さらに、そこには皇帝陛下が集めてくれた光魔法使いと土魔法使いがそれぞれ5人ほどいた。
もちろん、公爵領地の農地を改革してくれた光魔法使いと土魔法使いにも帝都に来てもらったのだけれど、そのメンバーがなんと驚く事に、ルイーズ嬢とオリバーにルーカスだったのだ。
光魔法使いはとても珍しいので、公爵家の農地改革の時にとても貢献してくれたルイーズ嬢が、帝都で他の光魔法使いに、大豆と米をそれぞれ育てるための微妙な魔法の調整を教えるらしい。
ルイーズ嬢は光魔法を安定して使うことができなかったのに、農地改革の時にたくさん練習して、植物を育てるエキスパートとなったようだった。
私は改めてその努力と結果に対して、すごいわね。と尊敬の念を抱いた。
そして、オリバーもルーカスなのだが、彼らは皇太子であるケイの側にずっと付き添っているようだった。
というのも、ケイが皇帝になった時に、オリバーは宰相、ルーカスは皇帝の護衛騎士となる予定だかららしい。
オリバーもルーカスも元々は帝都にいて、ケイが私を追って、エクセレント魔法学校に通うと決めた時に、2人も付いてくる事になったらしい。
本当に、オリバーとルーカスはケイを大切にしているようね。
元々この乙女ゲームでは、私がヒロインだったようだけど、このオリバーやルーカスのケイに対する好感度を見ると、実はケイがヒロインで私が攻略対象って立場の方が近いのではないかしら?って気持ちになってくるわ。
だって、私のケイに対する好感度も限界値がないように感じるもの。
そんなどうでもいいことを考えていたのだけれど、ケイの言葉で現実に引き戻された。
「さて、やるか」
「ええ!」
その言葉で、土魔法が使える私、ケイ、オリバー、ルーカス、そして皇帝陛下が集めてくれた土魔法使い達で平らな土地を作る。
それを終えたら、全員で種籾と大豆を蒔く。
これは手作業でやらないといけないので、少し大変だったけれど、皆で協力したので早く楽しく蒔くことができた。
最後に光魔法独特の力で植物の成長を促進する。
その際に、ルイーズ嬢が、皇帝陛下によって集められた光魔法使いたちに一生懸命に植物が効率よく成長するための微妙な魔法の調整のコツの仕方を丁寧に教えていた。
そんなこんなで、これから3ヶ月ほどは光魔法使いの方々に頑張ってもらわなければならない。
ルイーズ嬢は学校もあるから大変だろうし、今後もっと光魔法使いを集めていかないといけないわね。
そう思いながら、農地となる予定地での今日のスケジュールは全て終えたので、私たち学生組は別のところに向かった。
そう。この空き家だ。
空き家の割に清潔感があり、とても綺麗だ。
そこは、没落してしまった貴族の家で皇帝陛下所有のものとなっていた。
しかし、今回の帝都の食糧改革のために、ケイが今後の帝都での醤油と味噌の製作会社とする場所としてこの綺麗な家を譲り受けたらしい。
突然の皇帝陛下からのお願いだったので、会社のように作り変える時間もなかったので、まだ貴族の家らしさがある。
でも、とりあえず帝都での味噌と醤油の製作を広めてある程度の時間の余裕ができたら、会社のように作り変えるらしい。
こんな風に今後の計画をするのも楽しいわね。と思いながら、早速その製造会社に入ってみた。
すると、そこには公爵家の執事に、領地で特に早く味噌と醤油作りをマスターした平民のデイジーとケビンが来ていた。
その上、既に帝都の貧民層からこの味噌と醤油作りのための従業員が15人ほど集まっていた。
なんと、ケイとオリバーが皇帝陛下から話を受けてすぐに行動して求人をしていたらしい。
改めて、2人は仕事が出来るのね。と感心した。
私も少しは貢献できるように頑張ろう。と気合を入れた。
会社に学生組の私たちがついてすぐに、味噌と醤油作りのレクチャーが始まった。
既に作り方を知っている人が必ず1人ついて、少数グループとなり、作り方が分からない人に徹底的に教えた。
味噌と醤油の発酵までの工程を終えて今日の日程は全て終了したので、今日のところは解散となった。
ここは、元々没落した貴族の屋敷ということもあり、オリバーやルーカス、そしてルイーズ嬢の屋敷は歩いて帰れる所にあるらしい。
確かに、それぞれのお家が馬車をこの会社の前に呼んでいたら、舞踏会でも学校でもないのに馬車が5つも並ぶというこの通りではなかなか起きないプチ騒動?的なのが起きていたわね。
私もそれは予想していたので、公爵家は高位貴族ということで、皆よりは少し遠いけれど運動だと思って執事と歩こうかしら。と思っているとケイが声をかけてきた。
「メイ。君の執事と一緒に俺の馬車に乗ってくれ」
皇宮はここから遠いものね。と思い、嬉しい提案だわ。と思って返答した。
「えぇ。ありがとう」
私のその言葉を聞き遂げた後、執事はなぜか丁重にケイの提案を断り出した。
「私は運動しないといけない年頃なので、どうしても歩きたいのでお構いなく、お二人でお乗りください」
そういうことで、2人で皇家の馬車に乗ることになった。
私は系の馬車に乗りながら今後のことを考えていた。
味噌や醤油は発酵に時間がかかるから、しばらくの間は発酵までの工程を何回も重ねていくことになるはずね。
味噌の発酵がある程度進んだら、味噌汁の具材の一つとして豆腐も必要だし、従業員に豆腐の作り方もマスターしてもらおうかしら。
すると、ケイとは向かい合って座っていたはずなのに、いつのまにかケイは、私の隣にいた。
「やっと2人になれた」
そう言って、彼は私の手をとって優しく包み込みこう言った。
「執事といっても、男と2人で歩くことはデートと一緒なんだ。デートは好きな人同士でするものだろう?だから、メイは俺以外とそういう事をしたらいけないんだよ」
そう優しい口調で言われたので、私は言われた事に対して少し疑問を抱いた。
デートって一緒に歩くことも含まれるのかしら?でも私は前世でお付き合いもしたことの無い恋愛初心者だし、私が間違っているのかしら?
そう思って、ふと彼の目を見ると、目が、目が、笑っていなくて、少し怒っていた。
ひいっ。と思い、余計な思考を全て停止し、改めて気をつけよう。と思いこう言った。
「ええ。確かにそうね。私はケイ以外とは何か特別な事がない限りは2人で歩いたりしないわ」
「うん。ありがとう。嫉妬でどうにかなってしまうところだった」
「えぇ。えぇぇ?!」
それからケイは、私の屋敷に着くまでずっと私の手を握り、甘々攻撃を始めた。
そのため、私の屋敷に着いた頃の私のH Pはゼロになっていたのだった。
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