今後の計画
よろしくお願いします。
帝都に到着し、皇帝陛下に謁見をした2日後。
今日はケイと一緒に今後の方針を考える日だ。
改めて帝都の農地改革について考えてみる事にした。
皇帝陛下に謁見した時に、必要なものはあるかどうか聞かれたので、遠慮なく土魔法使いと光魔法使い、さらに種籾と大豆をお願いした。
今は、皇帝陛下は土魔法または光魔法を使える人をたくさん集めて下さっていて、お父様はマクガーン領地に手紙を送り、至急で種籾と大豆を用意してくれて、さらには、農地改革に必要な公爵領地で育てた人材を連れてきてもらえる事になっている。
この世界では、有難いことに、基本的には土魔法と光魔法があればどんな植物でもすくすくと育つ。
実際、大豆と米はそれぞれ育ちやすい環境も違えば土の質も違う。
しかし、この世界では光魔法と土魔法で個々の植物に育ちやすい環境と成長を促すことができるので本当にすごく便利なのだ。
改めて、前世の日本だけでなく世界の農家の方々に感謝と尊敬の念を示した。
どんなに土魔法と光魔法を使おうと、米と大豆を2・3日で収穫といったことはできない。
だから、学校を2週間ほど休むことにて、米と大豆の育て方、さらに味噌や醤油の作り方を帝都でも普及させることにした。
味噌や醤油の作り方を普及させるには、実際にお手本を見せる人がいないといけない。
私とケイもできるのだけど、私は帝都でも領地と同じように貧民層で職についていない人々を雇うことにした。もちろん、雇用のシステムはケイが作ってくれたものを使いたいわね!
そんなこんなで、私はある程度は今後の計画を立てることができたので、その案をケイに話してみよう!と意気込んだ。
しばらくすると、ケイが公爵家にやって来た。
「久しぶり。メイ」
「久しぶりね!ケイ」
「ああ。ずっと一緒に住んでいたのに、今は違うところに住んでいるから何だか不思議な気分だな」
「ええ。そうね。寂しいわ」
「あぁ。俺もだ。また一緒に住みたいし、早く結婚したい」
きゅ、急に爆弾発言が飛んできたわ。と思ったのも束の間。
ケイと私の距離がなくなった。
ケイが私を壊れ物を扱うように優しく抱きしめてきた。
「本当に、久しぶりだ」
「久しぶりといっても一応は3日よ」
私は、恥ずかしすぎて可愛らしくない返答をしてしまったのだが、ケイは気にした風もなくこう答えた。
「ずっとメイの側に居たいからな」
私は、先ほど可愛らしくない返事をした反省もあって素直に答えた。
「えぇ。私もずっと側に居たいわ」
そう言うと、ケイが私を見つめてふっと笑った。
「あぁ。言質はとった。だったら早く結婚しような」
私はケイの言わんとした事が伝わり、顔に熱が広がっていった。きっと、ケイは私に結婚というものを意識させようとしているのね。
私はケイとの結婚が嫌とかではなく、どこか遠い未来のものと考えていた事がケイにバレていたのだろう。
一気に近い未来のこととだと感じて、恥ずかしさとどこか嬉しさでごちゃ混ぜの感情を味わった。
もちろん、ケイは余裕そうに私を見て微笑んでいた。
私ばっかり照れて、ケイはいつも余裕そうでズルいわ。そう思って私はある行動に出た。
「ねぇ、ケイ。少し屈んでくれない?」
「?あぁ」
そういって、ケイは私の目線に合わせて少し屈んだ。私はケイの右耳に口を寄せてこう言った。
「私もケイと結婚することもその後一緒に歩む人生もとっても楽しみよ」
そう言って、最後に彼の右耳にキスを落とした。
「はっ……」
ケイはそんな音を発し、顔は赤い色に染まった。
「み、見ないでくれ」
「ふふふ」
私は嬉しくなって笑っていたのだが、ケイは自分の顔を見せないために最終手段に出た。
そう。今度は私を強く抱きしめ、こう呟いていた。
「あぁ。なんて可愛いんだ」
もちろん、私の顔にまたもや熱が広がったことは言うまでもない。
こんな風に、序盤はバカップル的会話をしていたのだが、今後の方針はしっかりと決まった。
「ケイ、帝都でも頑張りましょうね」
「あぁ。きっと成功する」
「そうね!明日から頑張りましょう」
「あぁ。頑張ろう」
そう言葉を交わして、ケイは皇宮へと帰っていった。
ケイのお見送りをした後、私は、明日から頑張るわ!と気合を入れて、拳を空に向かって突き上げた。
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