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領地改革

よろしくお願いします。

それからの1年、忙しい中とても充実していたわ。


振り返ると、まずは学園におにぎりを持っていき、友達に"みそおにぎり"の良さを伝えることをしたわ。

そして、このレクチャーは領地の貧困層の人々にも"みそおにぎり"をあげて行ってみたわ。


すると、とても好評だったわ。

"みそおにぎり"を食べた人の全員が


「この白い塊、とても美味しいです」


と喜んでくれた。


私は改めて、"おにぎり"という名前で領地内で普及させることを始めた。


そこからは毎日が忙しく、それでも楽しい日々だった。


学園の友達を私のお家に集めて、光魔法を扱えるルイーズ嬢、土魔法を扱える私、ケイ、オリバー、ルーカスは領地の農地改革を始めて、そこで米と大豆を育てることにした。


そして、他にもお手伝いをする為に来てくれた友達は、豆腐や味噌、さらに醤油を作るための工程を協力してくれた。


沢山の人が手伝ってくれたのだが、皆あるものが食べたくて、手伝いに来てくれたらしい。


そう。それが"お味噌汁"だった。

お味噌汁は、流石に学園に持っていく事が出来なかったので、お手伝いをしてくれた人に感謝の証として、お味噌汁とおにぎりを出しているとそれが大評判だった。


私が、ケイにおにぎりとお味噌汁を作った時に、料理長や他の使用人達に作る方法は教えていたのだけれど、思わぬところで、"おにぎりとお味噌汁を毎日作る"という、一種の部活の日々の練習状態になってしまっていた。


毎日沢山の量を作って大変だったと思うけれど、とても感謝していますわ。


そして、この領地改革が少しずつ広まってから、私は貧困層の人たちに仕事をしてもらうことにした。


光または土魔法を扱える人は農地改革。

それ以外の魔法、あるいは魔法を使えない人は味噌、醤油、豆腐作りをしてもらうことにした。


労働者の採用や指導は執事や公爵家の使用人の人達が頑張ってくれたわ。


そして、ケイの前世のお父様は大企業の社長で、ケイが次期社長になる予定だったから、雇用制度についてはケイが整えてくれた。


ケイが整えてくれた制度としては、成果主義という方式を取り、労働者の能力によってお給料を渡す。

その日のそれぞれのノルマが終わったら早く帰る事ができる。

そして、その日のノルマが終わる事ができなくても、定時で帰る事ができるシステムにして、可能な限り労働者の負担を減らす様にしてくれたらしい。


ケイは、


「初めて、あの最悪な知識が役に立ってよかった」


と、苦笑いしていた。


ケイは、前世でお父様との折り合いが悪く、絶対に次期社長にはならない。と決心していたらしいのだけれど、私の為にその知識を使って支えてくれたことに、本当に感謝したわ。


そんなこんなで、あっという間に私がこの世界で、日本食を作り始めて1年が経ったわ。


味噌や醤油の発酵にはかなり時間がかかるので、沢山の人の協力のおかげで、やっと市場に出せる量を確保することに成功したわ。


そんなこんなで、市場に出すと、とても大好評だった。私が、沢山の人達におにぎりやお味噌汁を提供したからか、貴族の間でも、庶民の間でも、米やおにぎり、そして味噌には抵抗を感じず、むしろとても美味しいものと思ってくれている様だった。


そして、豆腐は味噌汁の具としてしか認識されておらず、醤油は全く認知されていなかった。


その為、お店で販売する際は、お客さんに豆腐に醤油を少しかけたものを試食として出してみることにした。

このメニューも沢山の人に大好評で、私としても日本がとても誇らしく感じたわ。


そんなこんなで、私たちの領地は、元から素晴らしい領地ではあったのだけれど、農地改革をして貧困層が減り、経営でも素晴らしい結果を出す事ができたわ。


そんなこんなで、私はケイと同じ一つの長いソファーに座り、この成果を話した。すると、ケイが言の葉を紡ぐ。


「メイの料理技術と領地民の努力のおかげだな」

「領地民にはとても感謝しているわ。でもケイの経営技術のおかげでもあるわ」

「あぁ。ありがとう」


ケイは少し照れた様に笑った。

最近では、前世で本当に無表情キャラだったか疑いたくなるほど感情が顔に現れる様になったと思う。


そして、私は改めて提案した。


「公爵家の領地だけ潤うのは国として良くないと思うわ。王都にもこの技術を伝えたいのだけれど、ケイはどう思う?」

「俺もそれがいいと思う。メイが王都に行っても良いのなら行きたいのだが大丈夫か?」

「えぇ」


すると、ケイは私をまじまじと見てこう言った。


「王都に行ったら、俺と住むところは違うが寂しくないか?」


ケイは、絶対私に寂しいと言わせたいのだろうけど、その聞き方はズルいわ。と思い素直にこう言った。


「ケイ!その聞き方はズルいわ」

「ひどいなー。俺はとっても寂しいのに」


そう言って、その麗しい顔で微笑んできた。

うっ。私の心臓が止まってしまったわ。

私は赤くなる顔をケイから背けて小さく答えた。


「私も、寂しいわよ」


そんな私たちの会話を聞いていたのか、ケイと私にそれぞれ1通ずつ手紙が届いた。


ケイには皇帝であるケイのお父様から。

私にはマクガーン公爵であるお父様から。


その手紙には同じ内容が書いてあった。



お願いだ。

そろそろ帝都に戻ってきてほしい。

その力をぜひ帝都で発揮してくれ。



その力とは?

私は疑問に思ったのだけれど、ケイと一緒にすぐさま帝都に帰ることを決心した。








読んでいただきありがとうございます。

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