表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/36

日本食を作ろう!

よろしくお願いします。

まだまだ続いています。

ケイとの(仮)新婚生活。


毎日、前世のようにケイと登校し下校する。

でも、今世は馬車に乗って優雅に登校しているわね。


そして、最近は、ケイ曰く悪役令嬢に見せかけのヒロインである私に今後、乙女ゲームのイベントも起きそうにない。ということで、かなり落ち着いて楽しく充実した学校生活を送れている。


でも、落ち着いたら落ち着いたでやることがなくなってきた。異能とやらもなんなのか分からず終いで……


そんなことを考えている時、私はふと思いついた。

忘れていたわ。私は日本料理を作りたい!と思っていたわ。


私は、思いついたらすぐ行動するタイプなので早速ケイに話をしに言った。


「ケイ。私、日本料理を作りたいと思っているんだけど、この世界に日本独特の調味料ってないかしら?」


ケイは少し考える素振りを見せて答えた。


「ないと思う」

「そうなんだ。残念」


すると、ケイは何かを思い出したかなように言葉を紡いだ。


「そういえば、米は、貴族たちが稲穂の時に金色の絨毯になるという理由で好んでいるから、稲が育っているところはわかる。しかも、今は秋だし、米を収穫できるだろう」


「確かにそうね。嬉しいわ」


「あとは、大豆はこの世界では結構料理に使われているから入手も可能だろう」


「えぇ。そうね。大豆は注文するとして、稲はその育っているところからもらってもいいのかしら?」


「あぁ。そこは国の土地だし、ここの人達は稲は素晴らしい景色を作る以外には、雑草のしか思っていないし、収穫しようと思ったこともないのだから、メイが収穫しても問題は全くない」


「まぁ。それはもったいないわ」


「あぁ。だったら、メイが米の有用性を広めたらいいんじゃないか?」


「あら。確かにそうね。そうするわ。

でも、その前に味噌と醤油を作ることに挑戦してみたいの!」


私はその話を聞いて、すぐにケイと共にその稲が生えている国営公園にやってきた。


私とケイは前世持ちだからか、高位貴族と皇太子なのに、使用人に頼むより自分たちでできることはやるという発想が強いので、お忍びで米の収穫にやってきた。


国営公園には管理人の人がいたので、稲をもらうことを一言告げたのだけれど、どうしてこんな使えなさそうなものをもらうのか。と驚いた顔をしていた。


そうして私は目の前に広がる光景に、ただただ見入ってしまった。


一面に広がる金の絨毯。

そよ風に吹かれて優しく揺れ動く稲穂。


あぁ。懐かしいわ。この景色は本当に最高ね。

そう思いながら、ケイと共に収穫作業をして、2キログラムほどの米をもらった。


米の収穫をするのは楽しさもあったが、腰が曲がった状態でやっていたので、思ったより大変だった。

改めて、前世の農家の方々に尊敬の念持ったわ。


そして私は公爵家のお抱え商人に大豆を頼んでいた。

いつも利用しているからか、すぐに準備をしてくれて、私とケイが家に着いた時には既に大豆がお家に届けられていた。


さぁ。直ぐに味噌と醤油を作るわ。

あら。私は、実は味噌と醤油を作る事は前世のインターネットで検索して経験済みですの。


なぜかっていうと、少し暗い話になるのですが、私は勉強も運動も平均的で、唯一得意だったのが料理だけだったのです。

そんな幼い頃の私は、なかなかお家に帰ってこない両親に褒めてもらいたくて料理のスキルだけを磨きまくったのです。

結局、両親は子どもである私に全く興味がなかったので、私が料理が得意ということも分からず、勉強も運動もできない無能な子扱いされていたのだけれど……


高校に入っても、ただ得意だと思っていた料理は好きになっていて、私の生活の一部になっていたのです。


だから、料理に凝るようになり、インターネットで検索して、調味料を一から作った経験があるのです。



そんな前世の体験が今世で役に立つなんて……

変わらず料理が好きでよかったわ。と私は前世の自分を心の中で褒めた。



さて、では始めましょう。

醤油と甘口味噌は発酵に半年、辛口味噌は1年かかるから、今は作るだけね。でも、未来の美味しい食事のための時間の投資だと思えば悪くないわ。


甘味噌は5日から20日ほどでできるみたいだし、発酵させる部屋の気温意識したら早められるから、1週間後には使えると考えられるわ。


日本食が食べられるのなら1週間なんて気にならないわ。


そうして、まケイと一緒に醤油と味噌を作り始めた。


大豆を煮るのにかなり時間がかかるし、次の日の学校が終わって別の工程をしたりしたのだけど、とても楽しかったわ。


なんといっても、大豆を潰す時に筋肉量が悲しいほど少ない私にとっては重労働だったのに、ケイにとっては容易いものだったのには驚いたわ。

ケイが上手に潰す方法を私の手を握って、実際にレクチャーしてくれたのだけれど、身に付けることができなかったのは残念だったわ。


そんなこんなで、3種類の味噌と醤油を作るための量だったから、沢山の大豆を潰したわ。


そして、遂に発酵して1週間という日がやってきた。


「ケイ。ありがとう。ケイのおかげで味噌が作れたわ」

「あぁ。このくらいの手伝いならいつだってできるのだから、いつでも頼ってくれ」

「ありがとう。ケイ。大好きよ」

「あぁ。俺も愛している」


私たちは、前世で自分の気持ちを伝えられなかったからだろうか。それとも前世のことを思い出すまでの16年という長い歳月を送ったからだろうか。

思ったことは素直に口にするようにしているのだけれど、側から見ている人からしたら、ただのバカップルと化しているかもしれない。


まあ、それは置いておいて、本題に戻りましょう。


味噌は罪よね。この茶色の調味料。そして、この世界の人にとったら独特かもしれないけれど、私にとってはとても美味しそうな匂い。

味噌を目の前にすると作りたい料理が次から次に思い浮かんでくる。


でも、やっぱり最初はあの料理よね。

あぁ。ワクワクするわ。

早速作ってみますわ。


読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ