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もう一度あなたに出会えたなら

よろしくお願いします。

「めいっ。待ってくれっっ」

「どうして、あなたがここに?」


ケイン様は、私を渇望するかのように後ろから、ふわりと抱きしめてきた。


「めい。聞いてほしいことがあるんだ」

「その前に、ケイン様はどうして私を"めい"と呼ぶのですか?」

「そのことも今から説明しよう」


ケイン様が、そういうと彼の体は青い光に包まれた。

すると、彼の瞳の色がアメジストのような紫色から黒に変わった。

そして、こう言った。


「俺は前世持ちなんだ。前世の名前は一条圭だった」

「え?あの圭なの?」

「あぁ。あの圭だ」


確かに圭だった。優しそうな瞳で私を見る圭は私がずっとずっと大好きで、私のせいで命を落とした圭だった。


「あぁ。圭、本当にごめんなさい。私のせいで、私のせいで……あなたは命を落とした」

「いいや。めいのせいだと思ったことはない。めいがいないのなら生きる意味がなかったからな」

「え?どうして?」

「君がずっと好きで愛していて、今もずっと愛しているから。愛している人がいない世界で生きる意味はないだろ?」


っっ。私は涙がとめどなく溢れた。


「でも、私はあなたの命を奪ってしまったわ」

「いいや、あれは俺の判断だ。俺がそうしたかったからあの行動に出たんだ」

「それでも……」

「それなら、今後はめいのことを大切にしている俺やめいの今のの家族のために、自分の命を大切にしてくれ。この世界には、きっと君の命を助けるためなら、自分の命を捨てる人もたくさんいるのだから」

「えぇ。そう言ってくれてありがとう」

「それで何だが、俺はめいを愛している。めいは俺をどう思っているんだ?」


彼は真剣な瞳をして私を見つめてきた。


「私もずっと圭が大好きだったわ。でも、"ケイン様"と考えるとわからないの。今のあなたはケイン様でしょ?私は悪役令嬢だから、ずっとケイン様を避けようと思っていたの」

「そうだと思ったよ。ちなみにメイベルは悪役令嬢ではなくて、ヒロインだよ」

「えぇ?!あの容姿で?!」

「あぁ。前世で俺がめいの誕生日の時に渡そうと思っていた乙女ゲームのヒロインだよ。"悪役令嬢のような主人公がどんどん性格も容姿もヒロインのようになる"ようなゲームだった」

「そうなんだ。そんなゲームがあったのね」


それから、私は圭からたくさんの話を聞いた。

ケイン様だけでなく、オリバーやルーカスも攻略対象だったこと。

攻略していくには、ヒロインであるメイベルが攻略対象の悩みを解決していくのだが、圭が先回りして解決しておき、フラグを折っていたこと。

圭も魔法戦の時に気づいたらしいのだが、隠れ攻略対象がシャグラン様であるということ。


そして、私が悪役令嬢になる予定だったスザンヌやルーカス嬢を救っていたこと。


圭はこのゲームはしたことがなかったため、パッケージでわかる攻略対象には手を回せたが、パッケージにのっていない悪役令嬢になる予定の人物と隠れ攻略対象は分からなかったため、対策の練りようがなかったらしい。


あぁ。圭はこんなに私のために色々してくれてたのね。改めて感謝の気持ちを伝えることにする。


「私とメイベルのためにありがとう」

「あぁ。言っておくがメイベルのことが好きでやったわけではない。めいだったら困っている人を救うだろう。と思ってやっただけだ」

「その気持ちでここまでできるなんてすごいわ。あと、ずっと気になっていたんだけど、圭ってそんなに自分の感情を表したり、話するなんてことなかったよね?」

「あぁ。でも、俺は学んだからな。いつか言えると思って言いたいことを先延ばしにしてしまったら、言えなくなるかもしれないということを」

「えぇ。確かにそうね。私もちゃんと言うと、ケイン様の婚約に悩むくらい圭のことがずっと好きだったの。この世界にいないとしてもずっと好きだったの」

「だったら、婚約はそのままでいいよな」

「えぇ」

「今世の経験とかできっと変わっていることもあるだろうし、もう一度、ゆっくりお互いのことを知っていこう」

「うん。圭もこれからは自分の命を大切にして」

「あぁ。めいもな」

「えぇ」


そう言って、私たちはお互いの大切さを感じながら抱きしめあった。

その時に圭が

「あぁ。やっと俺の腕の中に……めい。大好きだ」


なんて言うから、顔に火がついたくらい真っ赤になって、彼のたくましい肩に顔を埋めた。

それでも、言葉の大切さを知った私だから、小声で囁いた。


「えぇ。私もあなたにもう一度会えてよかったわ。私も大好き」


そう言って、お互い微笑みあった。

そうして、彼の美しか整った顔が近づいてきて、私と彼の唇は優しく触れ合った。

私は顔が茹でダコのように赤くなり、恥ずかしくて彼の顔を見ることがで気なかったけど、彼のクスッと笑う声は聞こえた。


そんなこんなの甘い空気は圭によって現実に引き戻された。


「じゃあ。行こっか」


そう言って、彼は私の手を取り、恋人繋ぎをしてきた。そんな私は混乱を極め、彼の言わんとしたことがわかっていなかったので聞いてみた。


「え?どこに?」

「公爵夫人たちのところに決まってるじゃん」

「あっ。そっか」


私は、この怒涛の展開でお母様とキースのことを忘れてしまっていた。本当にごめんなさい。


そして、圭。1つ物申させてください。

あんなにずっと幼馴染みの距離だったのに、急にこんな甘い恋人モードに私は付いて行くのに必死だし、まだ恥ずかしいです。

もう少し、ペースを緩められないでしょうか?

でも、やっぱり大好きです。

読んでいただきありがとうございます。

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