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魔法戦開催

遅くなりましたが、よろしくお願いします。

ついにやって来たわ。魔法戦。

絶対勝ってみせるわ。

そう思って魔法戦が開催される会場にやって来た。


魔法戦は、前世でいうと体育祭のようなものなので、生徒全員が、学校で統一されたジャージのような服装をしているのは懐かしさを感じた。


そして、私は脱!悪役令嬢を目指しているので、クリスティナがしてくれたような派手ではなく、私の顔のパーツを生かしたお化粧をして、髪の毛はもちろん縦ロールにはせず、爽やかなイメージのあるポニーテールにしている。


そうして、クラスの集合場所に着いた。

すると、ケイン様が声をかけて来た。


「遂に魔法戦だな。メイベル嬢とオレは決勝戦で当たるからお互い決勝で会えるように頑張ろう」

「えぇ。頑張りましょう」


そうなのだ。もうトーナメント表が出ている。

5回勝てば優勝という栄光が掴めて、私は初戦がオリバーで、お互いに勝ち残ったら4試合目の準決勝でシャグラン様、決勝がケイン様となっていた。

勝敗は、この前のケイン様との魔法戦と同様に、生徒各自がつけている魔法の無効化ブレスレットが作動した時である。


そんなこんなで、ドキドキワクワクしながら私の試合の番を待っていると、今度はシャグラン様が話しかけて来た。


「メイベル嬢〜。今日は頑張ろうね〜」

「はい。頑張りましょう。シャグラン様も張り切っているんですね」

「ん?そうだね〜。今日は運命がかかった一戦だからね〜」


あら。シャグラン様もこの魔法戦に運命がかかっているのね。私も今後の人生がかかっているから奇遇ね。と思い、私は会話のキャッチボールを続けた。


「はい。私も人生がかかっているので頑張ります」

「そうなんだ〜。私も、メイベル嬢と準決勝で会えるといいね」

「はい。そうですね」


そうこうしているうちに、私の初戦であるオリバーとの試合が始まる時間となった。


「それでは両者始め」

審判の合図で試合が始まった。

先攻は審判によるコイントスでオリバーとなった。


オリバーは何の魔法で攻撃してくるのかしら。と予想をしていると、オリバーの声が響いた。


「ファイアー・アロー」

「ウォーター・ウォール。ウィンド・カッター」

私は攻撃をある程度予測していたので、難なく防御がてき、すぐさま攻撃に移った。


「アース・ウォール。ファイアー・ボム」

「ウォーター・ウォール。ウィンド・カッター」

「っっ。」


オリバーは私の攻撃を防御できず、オリバーの無効化ブレスレットが作動した。


そうして、決着が着き、お互い試合終了の挨拶を終える時にオリバーが私を褒めてくれた。


「メイベル嬢は、沢山の属性魔法があるので予想ができませんでした。本当にお強いですね。ぜひ、私の分まで勝ち上がってください」

「えぇ。頑張りますわ」


あぁ。この会話は"高校生の部活の試合"って感じで、すごい青春を感じるわ。

と後味よく初戦を終えた。


さらに、私は2試合目も3試合目も無事勝つことができた。そして、シャグラン様はここ何日間で魔法の腕をあげたらしく、お互いに4試合目を迎えることができた。


初戦と同様に審判のコールで始まった。

今回も、運が良くなかったようで、コイントスで負け、シャグラン様が先攻となった。


そして、シャグラン様が声をあげた。


「ウィンド・ガスト」


んん?なぜ?攻撃に特化したものでなくてただの突風だけ起こしたのかしら?とりあえず、シャグラン様の方向に向かせましょう。そう。私はシャグラン様の策略にまんまとはまってしまっていた。


「反射」


そうして、反撃をしようと思った矢先だった。

視界が悪くて、シャグラン様が一瞬、私の片思いの彼のような気がしてしまった。


挙げ句の果てに、"シャグラン様のことが好きだから、攻撃してはいけないのではないかしら?ん?シャグラン様のことが好き?恋愛的な意味ではなくて友達としての好きではないかしら?"と混乱し始めていた。


そうして、私ができた攻撃は

「ファイアー・ボム」

とシャグラン様にフワフワと向かう弱々しいものだった。

そして、私の思考はどんどんおかしくなっていった。


"私の好きな人はシャグラン様。私の好きな人はシャグラン様。あぁ。愛している"


それ以外考えられなくなりそうだった。


そんな中、シャグラン様は攻撃をしてきて、私はおかしくなった思考のせいで、弱々しい反撃にしか出られなくなった。


それでも、私は一握りの精神力で思考を働かせた。

私が今までずっと努力してきたのは、家族と私の人生を守るため。

目的に向かってこの試合を勝たないといけないわ。


私は決断した。

何としてでも、闇魔法を使おう。

そう、私は闇魔法を最後の手札としていた。

闇魔法は最強だけど、その分、疲労感がすごい。


でも、ここで勝たないと優勝はできないわね。と思って、闇魔法を発動することにした。


「吸収」


闇魔法の吸収は、この魔法戦で使える最高の攻撃だと思う。相手の魔力を全て奪うからだ。

そして、魔力には感情が流れ込むこともあるため、相手の感情が伝わることもある。

そんな魔法を私は使うことにした。


そしたら、だった。

シャグラン様の魔力から闇魔法を感じた。


あぁ。そういうことだったのね。

闇魔法の"洗脳"は使っていることがバレたら解けてしまう。

だから、シャグラン様の突風は、闇魔法の"洗脳"を使うのをバレないようにするための視界と音を遮る目的があったのね。


そして、やはりシャグラン様の魔力からシャグラン様の感情がたくさん流れてきた。


"メイベル嬢が欲しい"という私に関してのこと。

"誰もオレを認めてくれない。辛い"

"誰かに必要もされたい"という身の上のこと。

"こんな卑怯な手段しか取れないなんて……"という今の出来事の後悔。


沢山の感情があったけど、との感情も"幸せ"とは程遠かった。


シャグラン様は、私に魔力を吸収されて意識を手放していた。闇魔法の精神魔法はブレスレットで無効化ができないため勝敗がわかりづらいが、きっと私が勝ったのだろう。


しかし、私もシャグラン様による"洗脳"と闇魔法を使ったことによるかなり疲労で意識を手放しそうになった。


その時に、私はシャグラン様の負の感情で、それは私も前世に体験したことがある感情だったから感情の共鳴が起きたのがトリガーなのか。


それとも、単にシャグラン様の闇属性の魔力を吸収したことで脳や感情が拒否しているトラウマがフラッシュバックしたことがトリガーになったのか。


これが、現実だと受け止めたくない前世の出来事が脳裏によぎった。


嘘よ。お願い。嘘だと言って。


「……あぁ。あなたは私のために……

ごめん、なさ、い。ケイ」


その一言をどうにかこうにか残して、私も意識を手放した。












読んでいただきありがとうございます。

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