私の息子の様子がおかしい(side国王)
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書き溜めもしていない中だったので、本当に見つけてくださって、読んでくださっている皆さんのおかげです。
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「きっとこの子は歴代最高の皇帝になるだろう」
これが、私が自分の息子を抱いたときの初めての感想だった。
私の息子は全ての魔法、剣術に頭脳に秀でていて、さらには臣下を従えるカリスマ性をも秘めていた。
そんな息子は、6歳までは私と王妃、そして、前皇帝と前皇妃である私の父母以外に会ったことはなかった。
それは、元々皇太子というのは、たくさんの危険性があるのだが、有り難い事に息子が持って生まれた才能によるものが理由だった。その能力は、周りに知られたら、さらに息子が危険な目に遭う可能性があったが、それを活かせるようになると、より強くなれるものだった。
息子が、"直系皇族の長男が扱える能力"が使えるようになるまで。
そう決めて、息子が幼少期に関わることができる人はこのメンバーだけであった。
そんな中、特別な才能を持つ公爵令嬢がいた。
なぜか、"絶対に彼女を息子の婚約者にしなければ。"という意思が働き、彼らの家族を説得して彼女を婚約者にした。
初めての顔合わせは6歳だっただろうか?
息子は驚いた顔をしていたが、きっと、公爵令嬢の容姿がとても可愛かっただろう。
顔合わせはうまくいったと思ったが、顔合わせ以降、息子と公爵令嬢はなかなか会うことはなかった。
そんな中、ある情報が届いた。
「マクガーン家の公爵令嬢が領地の学校に転入するそうです」
「なんだと?!」
息子が、なんだかんだ言って、公爵令嬢の身の安全を守るため、裏で動いてきたことは知っていた。
さあ。息子はどうするのやら……
そう思っていたら、息子が直ちに私の元へやってきた。
「私を、マクガーン家の領地に視察という名目で送ってください。これは帝国の未来のためなのです」
息子は特別な能力のおかげもあり、私よりも帝国のことをよく知っているし、息子の言うことは正しいのだろう。
しかし、これは彼女のためだけなのか?それとも帝国の未来のためなのだろうか?
少し、大人のからかい心が湧いてきて聞いてみた。
「彼女の安全のためなのか?それとも本当に帝国の未来のためなのか?お前は彼女を愛しているのか?」
「愛……
いまは保護者や兄といった感情が強いのですが、私の直感では、次に彼女を見て、確信を持ったら彼女のことを本気で愛していると言えるでしょう」
何を言っているのかよくわからない。
しかし、それは息子が思う"愛"とは違うと言うことだろう。私には同じ形に見えるのだが。
息子は、なかなか情緒を見せないのだけれど、"愛している"という言葉をここまで無表情に言えるものなのだろうか。
むしろ私より年齢を重ねているのでは?そう思いながら、なかなか言葉を重ねない息子に、さらに質問を深掘りした。
「それで、帝国の未来とこの公爵令嬢の転入がどう関わるのか?」
「まず、彼女の未来を守り抜かなければいけません。
それは、絶対に帝国の未来にも関わってくるのです。
今転入だと手続きが間に合わないので、俺を1週間視察を目的にマクガーン公爵家の領地に送り、そのあとは、そこの学校に転入させてください。
首都でしかできないことはすぐに戻って処理しますのでお願いします」
「ああ。首都は私がいるのだから、安心してくれ。
お前はお前の思う通りにやれ」
息子が饒舌に話す時は、解決方法を見つけた時だ。
こうだ。と決めたら絶対に実行して、達成してしまう。
絶対に信頼のおける息子なのだが、父親としては少し寂しく思ってしまう。
でも、こんなに必死で切羽詰まったように、何かを追いかけていたことが今まで、あっただろうかー?
いつか、息子が誰かに頼り、支えてもらうということを覚えること。
私と私の妻のように愛し、愛される関係を築きあげられることを願って。
なぜかその相手は公爵令嬢のような気がするのだが……
きっと、もうそろそろ息子は自分の感情の正体に気付くのだろう。
いつもありがとうございます。2章もよろしくお願いします。




