騎士と秘密
三人組のナンパを、ルウイさんが止めてくれたけどお話は終わったのか?
散々笑ったクレオさんが、「あ〜可笑しい!」と言いつつ、私の座っていたテーブルの近くの椅子を引いて座った。メルクさんを見ると、仕方ないなぁとばかりにため息をつく。
「・・クレオ騎士団長様ぁ?お話はもういいんですか?」
「こればっかりは始めてみないと分からないだろ?とりあえず春になったら、ギルドで手分けして要塞の整備をしておけって、オシムの上層部にも言っておく」
クレオさんは、三人組が残していった地図を頬杖をつきつつ眺めている。うーん、私はどうすればいいかな?ルウイさんを見上げると、ちょっと困ったように笑って私を見る。
クレオさんは地図を畳みつつ、ルウイさんを見る。
「ルド、お前の身分は隠しておくけどよ、名前はどうにかしろよ」
名前・・?
あ、そのままだとマズイの??
ルウイさんを見上げると、ルウイさんはニコッと私に笑いかける。
「・・トーリの苗字を頂けると、嬉しいのですが・・」
「・・苗字?偽名にするんですか?」
ぶっと、勢いよくクレオさんが吹き出す。
「え?まじで??まじで言ってるの??すげー!!ルド根気強いな!」
「・・・・クレオ・・」
ルウイさんがじとっとクレオさんを睨みつける。
メルクさんが、小さく笑いつつ・・私とルウイさんを見る。
「ルドヴィクさん、今日は急に参加して貰って、すみません・・。明日の見回りもよろしくお願いいたします」
「あ、なんか俺とルドの対応、全然違くない!?」
「人格から違うわよ!!!」
メルクさんの対応、胸がスッキリするわ。
とりあえずお話は終わったようだし・・、ルウイさんは私を少しでも早く外へ出そうとするので、慌ててメルクさんとクレオさんに頭を下げて出ていく。
クレオさんが面白そうに手を振るので、ルウイさんは非常に嫌そうだ・・。
ギルドを出ると、ルウイさんが・・
「・・トーリ、手を繋ぎたいのですが・・」
「・・あ、そっか。そういえば、さっきすみません・・首元、大丈夫ですか?」
「こちらこそ驚かせてしまって・・、大丈夫ですよ」
ルウイさんがちょっと眉を下げて私を見る。
あ、そうか・・手を繋ぐのね。
「・・手を、繋いで帰りたいです・・」
そう言うと、ルウイさんは嬉しそうに微笑んで私の手を繋ぐ。・・うん、分かってても電撃が走らないかとドキドキするな。
帰りながら、ルウイさんは私を少し心配そうに見るので、
「・・どうかしました?」
「・・あの、騎士団長だった事を、あのような形で知ったのに・・あまり驚かれないのだな・・と」
「あ、ああ・・」
まぁ、奴隷の経歴を見たのもあるけど・・、あの強さじゃない?
ただの騎士とは思えないよね。
「・・ルウイさん、すごく強いから、なんか納得しちゃって」
「・・そう、ですか・・」
「あの鎧を最初に着て、うちの庭に現れた時は物語に出てくる王子様かな?って思ったし・・」
「・・・そ、そうですか・・」
ルウイさんは、照れ臭さそうに私を見つめる。
そうだよな〜・・、あの庭に現れた時は本当に驚いた。綺麗な金髪に、白銀の鎧を着ているんだもん。
「秘密は、誰にでもありますから・・。話したくなったら、話して下さい」
「・・トーリ・・」
ルウイさんが、嬉しそうに見つめる。
うんうん、話しにくい事なんて色々あるんだから、話したくなるまで待つさ・・。
「トーリは、秘密があるんですか?」
実は前世持ちで、精神年齢は50近い事くらいかな?
うーん・・、でもこれって地味だよね?もっとパッとする秘密ってあったかな・・?
「・・・秘密らしい、秘密ってないような?あ、でも一つ・・」
「なんですか?」
「・・・ルウイさんっていう騎士団長さんと住んでるんです。でも、これ内緒です」
私がそう言うと、ルウイさんが小さく笑って・・、
「二人だけの秘密にしましょう」
「いいですね、それ」
帰ったら、キリルから貰ったクッキーと一緒にお茶を飲もう。二人の秘密・・というルウイさんの言葉になんだかくすぐったい気持ちになって、手をギュッと握るとルウイさんも握りかえしてくれた。秘密もいいものかも・・そう思った。




