騎士、駆ける。
奴隷契約とは、かくも恐ろしいものだな・・。
海外版のものは翻訳したけれど、こっちの大陸だと内容も違うかもしれない。
「本屋にトーラスとオシムでの奴隷契約についての本があるか、調べておきます。契約内容が、海外で差異があるのかも調べてみたいですしね」
「ありがとうございます!」
ルウイさんは嬉しそうに微笑むけど・・、
・・・仮にも年頃の乙女が奴隷契約について詳しくなってしまう事が、ちょっと嫌だけど。まぁ、何かに役立つ事もあるだろうし、いっか・・。
そうして、翌日・・。
ルウイさんは、見回りの仕事の為、お弁当を作って渡すと嬉しそうにするも・・
「・・・せめて、手だけでも繋ぎたいのですが・・」
「えーと、欲は持たないようにしないと、電撃が・・」
「欲ですね・・、欲・・」
ルウイさんは、集中するように真剣な顔で私を見る。
・・えーと、私はどうすればいいのかな?
首を傾げてルウイさんを見上げると・・、ルウイさんは顔が赤くなっていく。
「・・・我慢しようとすればするほど、辛い・・」
「・・重症ですね・・」
結局手を繋ぐ事ができず、落ち込むルウイさんを玄関で見送って、溜まっていた翻訳の仕事を先にやっつけてしまう。
書類をまとめて郵便局に持って行って・・、その帰りに本屋へ寄るか・・。なんだか項垂れる姿も可愛いんだけど、流石に可哀想だしな。
昼食を食べてから早速郵便局に行って、本屋へ寄る。
ズラッと並んだ本のタイトルを読みつつ、奴隷契約の本を探す。
「奴隷契約・・あった」
結構な分厚さの本を開いて、
契約内容についてざっと見るけど、あまり内容は変わらない・・。
とりあえず買っておくか・・。
なかなかいいお値段だったなぁ・・と、思いつつ帰り道を一人で歩く。
うーん、視界が広い。
道の側に流れている川では、子供達が氷を突いたり、拾って投げて遊んでいる。
懐かしいなぁ・・、カイルやキリルとよくああして遊んだっけ。
そんな風に懐かしむように見ていると、子供の一人が足を滑らせて川へ落ちた!!
「大変!!!」
慌てて川の方へ駆け寄ると、子供達が焦ってパニックになってる。
「誰か大人を呼んで来て!!」
そう叫ぶと、一人が走って行く。
私はその間に周囲を見て、落ちている大きな枝を引っ張って、川に落ちている子に先っぽを掴みやすいように向ける。この寒さだ!早くしないとまずい!
川に落ちている子は溺れかけている上に、震えてなかなか枝を掴めない。
後ろにいる子達を振り返って、
「この枝を持って!」
そう言って鞄を投げ捨て、なるべく重たくならないようにコートを脱いで川へ飛び込んだ。
死ぬ〜〜〜〜〜!!!
冷たいとかじゃなくて、刺されたみたいに痛い!!!冷たい!!!
急いで、体がまだ暖かい内に溺れている子の所まで泳いで、枝に掴まらせる。
「引っ張れーー!!!」
そう叫ぶと、子供達が一斉に枝を引っ張る。
あと少しで岸だ!!
最後の力を振り絞るように、溺れていた子を岸に上げると、今度は自分を岸に・・と、思うけど体が冷たくてうまく動かない。子供達が「お姉ちゃん!!頑張って!!」って、手を差し出すけど・・、あ、危ない!
「大人・・、大人を呼んできて・・」
そう話していると、子供に呼ばれたのか・・
向こうから馬に乗ったルウイさんと警備隊の人がこちらへやってくるのが見えた。
子供達が、一斉にルウイさん達を呼ぶと、驚いたルウイさんが慌てて駆け寄って岸辺から手を差し出す、
「トーリ、早く!掴まって下さい!!」
「で、でも・・」
「命令して下さい!!」
あ、そっか。それがあった。
「手を引っ張って下さい!」
そういうと、ルウイさんは私の手を掴んで、グイッと岸にあげてくれた。
・・すごい、腕一本で上げちゃったよ・・。一緒に来てくれたキリルが溺れた子供を保護してくれた。
私はそのまま家が近いのでルウイさんに抱きかかえられて、家のお風呂まで走っていった。は、早い・・!!!あと、寒い!!!!




