騎士と契約。
お昼を食べて、ルウイさんがお皿を洗ってくれた。
早速ルウイさんが、ハンドクリームを持ってくるけれど、これは大丈夫なのか?
ハンドクリームの瓶と、ルウイさんを交互に見てしまう。
・・でも、昨日はできたしな・・。
ルウイさんは、尻尾を振りつつこちらをじっと見ている大型犬になっている。
あかん・・、騎士団長様がすっかりワンコにしか見えない。
人間だぞ、トーリ。
落ち着け、トーリ。
フーッと息を吐いて、ハンドクリームを掬ってルウイさんを見つめる。
「・・・電撃が走ったら、これも当分お休みしますからね」
「・・・・死刑宣告です・・」
どんな死刑執行人だよ。
私は、貴方の首を切るんじゃない。薬を塗るんだけど・・。
ルウイさんの指に、そっと触れつつ首元の奴隷紋をみる。
・・よし、反応してないな。
指先をそっと柔らかく包んで塗っていく。
すっかり以前より綺麗になった指先を見て、ホッとする。
「・・・綺麗になって良かった」
ルウイさんに笑いかけると、
バチン!!!
さっきより大きい音がして、ルウイさんが死にそうな顔になってる。
首元を押さえつつ・・「嫌だ・・」「そんな無理・・」って、ブツブツ呟いてる。
「・・・・ハンドクリーム、休止決定ですね」
「・・・死にます・・・」
生きろ。
ハンドクリームの瓶を渡すと、思いっきり項垂れていた。
やめて、ワンコが耳も尻尾もくたりとしている様な姿を見せないで・・。良心が痛む。
仕事場に奴隷契約の本があったので、とりあえず読んでこようとすると、ルウイさんは寂しそうに私を見て・・、
「・・せめて側にいていいですか?」
・・それくらいなら、いいか。
そう思って頷くと、ルウイさんは嬉しそうに微笑む。
「でも、50センチは離れて下さいね」
と、言うとまた死にそうな顔になる・・。頑張れ、生きろ。
仕事場から、分厚い奴隷契約についての本を出す。
海外版だからか、ルウイさんは後ろから覗きこむけれど、解読が難解らしい。
私はサイレントスキルのおかげで問題なく読める。助かるわ〜。
文を読んでいると・・、
「あった・・」
小さく呟いて、契約中の注意点を読み込む。
『契約中、奴隷が想いを寄せている間は首元が光るのみだが、気持ちを伝えた場合、電撃の魔法が発動され、微細な「欲」を感知して契約者に触れると、電撃が走るようになる』
なるほど・・。
首元はあまり意識してなかったなぁ。普段服で隠れてるし。
なんで今まで触ってきても平気だったのに、急に?って・・不思議だったんだよね。謎がとけてスッキリしたけど・・
好意は認めてるけど、想いを伝えたらアウトなのか。
・・・えっげつな〜・・。
契約について、読み進めていくと・・
『契約者が、触る事は問題がない。しかし奴隷から「欲」が感知されると、電撃が放たれる』
・・鬼の如き、契約だな。
そうして、他の注意点も読んでおく。これ以上、怪我をされては困るし・・。電撃の調整とかせめてできるといいんだけどな。流石に電撃の調整はできないらしく、ちょっとガッカリした。
とりあえずルウイさんには、読んだ箇所を説明しておこう。
静かに本を閉じた。
後ろを振り返ると、ルウイさんはちょっと期待した目でこちらを見ている。
「どうでしたか?何とかなりそうですか?」
・・・ひとまず、ルウイさんには見つけた箇所について教えると、納得した顔をしたけれど・・、結局「欲」を持ってしまうと、「触れない」という事実に膝から崩れ落ちた。そんなにか、そんなに辛いのか・・。
こちらが触るのは問題ないらしいので、
「動かないで下さいね」
そういって、しゃがんでいるルウイさんの頭をそっと撫でると、嬉しそうに微笑んだ。うーん・・・、他の奴隷契約の本を探してみておくか。




