騎士と罰。
ルウイさんと、気持ちは通じ合ったものの・・
なにせ奴隷契約中である。
好意を持っていると、「気をつけてね」と奴隷紋がピカピカと光るし、ちょっとでも「欲」を感知すると、奴隷紋から電撃が体を流れて大変な苦痛を伴うのである。
・・・なんというか、本当にロクなもんじゃないな。
ルウイさんと契約したのは一番緩いものだけど、これだけはどうにも外せないものなんだよね・・。
朝ご飯を用意して、お皿を渡そうとする。
「ルウイさーん、これどうぞ」
「あ、はい・・」
と、指が触れた瞬間に、ルウイさんの首からバチン!!と音がした!
「・・っ!!」
ルウイさんが、ちょっと痛そうな顔をするけれど、ちょっとどころじゃないよね?それ・・。
「る、ルウイさん大丈夫?!」
「・・・はい、すみません・・驚かせてしまって、ちょっと油断してました」
ニコッと笑うけど、ゆ、油断・・??
ルウイさんは、私を少し寂しそうに見つめながら・・
「トーリが可愛らしいな・・と、思っていたので・・。愛しく思うのも、ダメとは・・辛いですね」
朝から糖分過多!!!!!
な、なんてコメントをすればいいの??!
ああ〜〜〜、年齢を重ねていても、こういった経験が皆無だったのが悔やまれる!!!
「・・・そ、そうでしたか・・・」
こんなコメントしかできなくてゴメン。
来世に期待してくれ・・。
ちょっと顔を赤くしつつ、カウンターの椅子に座ってお茶のカップをルウイさんの方へ置く。
「・・と、いう事は、うっかり触らないようにしないとですね」
「いえ!!必ず克服します!!」
「あ、あれ・・?そういう精神論かなんかで、どうにかなるものだったっけ??」
なにせ、奴隷契約はこの世界では結構長い歴史を持ってるものですけど・・。
でも、なんかルウイさんならどうにかしてしまいそうだな。
朝食を食べつつ、すっかり雪に包まれた外を見る。
そういえば、スケートはあんまりした事がないって、ルウイさん言ってたな・・。
ふと思い出して、お茶を飲むルウイさんに、
「・・川が凍ったらスケートを借りてきて、ルウイさん練習してみます?」
「スケートを借りられるんですか?」
「はい、健康増進の為に、冬は動いてね!ってばかりに、役所でソリとかスキーとか、スケートを貸し出してくれるんですよ」
なるほど・・と、ルウイさんは頷いて・・
「トーリと一緒に滑ってみたいです」
って、ニコニコ笑うので・・、ちょっと可愛いなって思ってしまう。
そんなルウイさん、何かを察したのか・・頭をちょっと私に向けてくる。
「・・撫でたくなりました?」
「・・・・・人間〜〜〜!!!!!」
くっそ〜〜、なんだその察しの良さ!
でも、さっき電撃が走ってたルウイさんの顔を思い出すと、ちょっとうっかり触れない・・。今まで平気で撫でてたけど、気をつけないとなぁ・・。
そうして、家事を一通りしてから二人で家を出る。
ルウイさんは、手を差し出すけど・・え、大丈夫??ルウイさんの手と顔を交互に見る。
「・・・危ないですし、手はやめておきましょう?」
「そんな・・、トーリからなら大丈夫ですから・・」
「え、ええ・・でも・・」
手袋越しなら大丈夫なのかな?
そっと握ってルウイさんの首元を見るけれど、大丈夫そうだ・・。
ホッとして、ルウイさんの顔を見ると嬉しそうに笑ってる。
「・・・なぜ、そんな嬉しそうに・・」
「トーリが心配して下さっていると思うと嬉しくて・・」
「ルウイさん、体に電撃が走る人物を心配するのは、普通の事ですよ」
うん、きっと普通だ。
ルウイさんは、ふふっと笑って私を見つめるけど・・、心配された事ないの?
でもオーウェンさんは心配してたしなぁ・・。
「ルウイさん、ちょっとでも痛かったら言ってくださいね」
「トーリからの痛みだと思うと、耐えられます」
「耐えちゃダメだから!!!あと言動!!!!」
こんな会話を聞かれた日には、私はとんでもない女呼ばわりだ。
契約が終了したら一体どうなってしまうんだ・・とも思うし、早く終わって欲しいとも思ってしまう。とりあえずルウイさん、発言にだけは気をつけて欲しい。切実に。




