騎士、その隙に。
ルウイさんの一言に、急に空気が変わった我が家。
えーと、何かあったのかな?
私は、ルウイさんとキリル達を交互にみると、ルウイさんが小さく笑って、私に説明してくれた。
「今日来た行商の方達が、少し怪しいと思って調べたんです。普通は街から街へ移動するのに交通証明がいるのですが、ネイトさんと来た事で騎士の信頼の元、証明を確認されていなかったようでして・・」
「え?!」
それって、違法行商??こんな島に??
びっくりして再び目を丸くする。
キリルは頷きつつ・・、
「以前、ルドヴィクさんが窃盗団を捕まえた時、刺青を入れていた人物がいた・・と、記載されている書類を読んだのですが・・、同じ刺青を入れている人をたまたま荷下ろしの時に見かけたんです・・」
「ええ??!!じゃあ、仲間が来たって事?」
キリルを見ると、今度はオーウェンさんが説明してくれた。
「まぁ、そこが妥当・・かな、と。冬の移動が難しいこの時期に行商に紛れて窃盗して、また次の街へ行く計画だと思います・・。メルク殿にはすでに報告済みです」
「は、はぁあああ・・・・・」
なんというか、もう・・
ブラボーって言っていい?名推理がすぎるのでは??
私なんて、ちらっと見て行商の人が来たなぁ〜くらいだったのに・・。よく分かったな・・、思わずルウイさんをまじまじと見ると、ルウイさんはクスッと笑った。
「・・・まぁ、普通の行商の方であれば、あのような方に警護を頼まないので・・、その時点で怪しかったんですが」
ああ・・、あのような方ね。はい。気絶された方ね・・。
キリルも思い出したように、クスクス笑っていた。オーウェンさんは、ルウイさんを見て・・
「その様なわけで、メルク殿から行商は今日から3日間滞在するとの事なので・・、夜の見回りをお願いしたいと言伝がありまして・・」
「・・・分かった。5時にはギルドへ向かう」
ルウイさんのピリッとした空気に、思わず飲まれそうになる。
・・・仕事してる時は、こんな感じかぁ〜・・。
二人は、ちょっと安心したのかギルドへそろそろ戻る・・と、席を立つ。慌ただしいなぁ・・私とルウイさんで玄関で見送ると、馬に乗って戻っていった・・。
玄関のドアを閉めて、ルウイさんを見上げるといつもの様に柔らかく笑ってくれる姿になんだか安心する。
「・・なんか、ルウイさんがいるっていうだけで、安心します」
「いつでもお側に置いて下さい!」
「いや、結構側にいると思いますけどね・・」
「では、今日は夜も一緒で・・」
「ね、粘り強い!!!」
もう、このやり取り・・おなじみの・・だな!
私はクスクス笑うと、ルウイさんも嬉しそうに私を見つめる。
さっきちょっと様子がおかしかったから心配だったけど、大丈夫そうでちょっと安心した。
「・・今日は、昼食が遅かったし、夕食はどうしましょうかね・・。お弁当にしておきますか?」
「・・いいんですか?」
そう言いつつも、ルウイさんの目はちょっと期待に満ちている。
・・・え〜〜、誰??自分を出さない控えめな方って?オーウェンさん、ここに偽物がいますけど?
「大事なお仕事をして下さるんですから、それくらいさせて下さい」
「・・ありがとうございます」
照れ臭そうに喜ぶ姿が、大変可愛い・・。
やっぱり大型犬にしか見えないなぁ。
ちょっと頭が撫でたい気分になって、ちらっとルウイさんの頭を見ると、何も言わずにルウイさんは頭を下げた。
「・・・へ?」
「・・撫でて欲しいな・・と」
そう言いつつ、上目遣いで私を見るけど完全に「撫でるんでしょ?」って、ワクワクして私を見ている。
え?どうしたかって?
撫でたよ。撫でたとも。撫でてやったさ!!
ルウイさんは人間・・ルウイさんは人間!!・・私の方が意識改革しないといけないかもしれない・・・。




