騎士、苦笑。
私とメルクさんは、突然現れたネイトさんに驚いて固まると・・
ネイトさんは、ニヤニヤと笑いつつ行商の人達を、先に行かせて私たちの方へやってくる。
いや、来なくていいんだけど・・。
ネイトさんは、相変わらずのつり目を嬉しそうに引き上げ・・
「いやぁ〜、たまたま騎士の仕事をしていたら、行商の一団に警護を頼まれてね・・、ここまで来る予定はなかったが送って差し上げたのさ・・、騎士たるもの頼られたら断れないものだからね!」
・・その絶対的な自信はどこから来るんだろう。
この人の自己肯定感半端ないな。いや、勘違い力か?そんなもんあるか分からないけど・・。
私とメルクさんは、「はぁ・・」しか言えずにいると、ネイトさんは鼻で笑う。
「何でも、最近白狼がここいらで出没するって?あのデカイ奴隷は何をしているのだ?魔狼は狩ったと言っていたが、何もしていなかったのでは?」
「・・・・相変わらずですね・・」
私がジト目でネイトさんを見る。
うるさい、黙ってろ。
メルクさんが、そっと私の肩に手を置く。あ、はい、黙っとけと・・。
「・・・行商の方たちを警護して頂いたようで、感謝いたします。どちらに滞在していらっしゃるかは存じませんが、日が暮れる前に戻った方が良いでしょう」
・・存外に帰れって言ってるな・・。
しかしネイトさんは、相変わらず頭が悪いようで・・
「何を言う!?こんな大変な時に、放っておけるわけがないだろう!これから様子を見に行ってやる!」
「いえ、お一人は危険ですのでお戻り下さい!」
「大丈夫だ、先ほどこちらへ来る時、警備隊とすれ違ったから場所は把握してる!」
うっわ、面倒臭い・・!
ちょっとメルクさんを振り返ってみたら、めっちゃ顔歪んでる!!
もはや怒りの形相を隠してない!!!
メルクさんは、眉間のシワをちょっと揉んでから大きくため息をついて・・
「・・トーリを家まで送りますのでその後、一緒に参りましょう・・。しかし、警備隊も昼には戻りますから、お忘れなきよう」
「そうかそうか、私の力がやはり必要なのだな!!」
カラカラと笑ってるけど、私とメルクさんの怒りの形相を悟れないとは・・
相変わらずだなぁ・・。警護してきたというのも、怪しいし。
「・・ごめんなさいね、トーリ・・。ルドヴィクさん達には迷惑が掛からないようにするから・・」
こそっと小声で話すメルクさん・・。
本当に大人だぜ。私が小さく頷くとメルクさんは小さく微笑む。
「・・・今度、遊びに行っていいかしら?ちょっと飲みたいわ・・」
「私は無理ですけど、ルウイさんをどうぞ貸し出し致します」
そう言うと、「いいわね!」と目が光った。
そんなわけでルウイさん頼んだよ〜と、ちょっと遠い目で伝えておいた。
メルクさんに家まで送ってもらい、ネイトさんとメルクさんは出かけて行ったけど・・大丈夫だといいな・・。もうそろそろお昼だし、警備隊の人達と途中で合流して戻って来られるといいな・・。
昼食が出来上がると、どうにもじっとしていられずブランケットを肩に掛けて、
玄関を出る。
と、森の方から馬に乗ったルウイさん達の姿が見えて、ホッとしたけれど・・あれ、なんだか様子がおかしい・・
ルウイさんが玄関近くまで来てくれて・・、ちょっと眉を下げて笑う。
「・・・先ほど、ネイトさんが来て、我々の手伝いをする!といって突っ込んで来た所に馬が白狼に驚いて、飛び上がった拍子に転んで気を失ってしまって・・」
そう話すルウイさんの後ろを見ると、馬に乗せられた伸びたネイトさんが見えた・・・。早速やらかしてるなぁ・・・。
思わず目が据わってしまうと、警備隊の人達もキリルもオーウェンさんも、苦笑してた。苦笑してあげるなら優しいな。メルクさんは、しかめっ面だ・・。




