騎士、偽物?
キリルはお茶を飲みつつ、見回りの様子を話してくれた。
「いや〜、本当ルドヴィクさんといい、オーウェンさんといい、あの二人は本当別格だね!どっかの騎士団に勤めてたっていうけど、あんなに強かったらトーラスですぐ騎士団長とかになれちゃうんじゃない?」
「・・・・・へー、そっか・・・」
軍事国家のホルスで騎士団長様でした・・
とは言えない。
うっかり国際問題に発展しては面倒臭いから。
「ただ見回りしてるだけじゃなくて、獣とか魔物の足跡とか痕迹とか教えてくれるし、ついでに罠を張ってくれるから、帰り道には仕留めて帰ったりできるし・・、もう全然先輩方よりも仕事ができる!!」
「・・・・・先輩・・・」
ふとお茶を飲みつつルウイさんに、けちょんけちょんにされたネイトさんを思い出した。
「・・・以前来た騎士さん、すごかったな・・」
「あ、もしかしてネイトさん?」
「え?!知ってるの??」
驚いてキリルを見る。
キリルは、苦虫を噛み潰したような顔になって静かに頷いた。
「・・・ちょっと貴族の血が入ってるから、自分を偉いって思い込んじゃってるんだよね・・・。それで、オシム中のギルドからすっごいクレーム来てさぁ・・、騎士選出に慎重になった。ま、そのおかげで早めにここへ来る事が出来たけど・・」
「本当!キリルが来てくれて良かったよ〜〜!!」
またあんなのが来たら、私も今度はクレームを出そう。絶対だ。
キリルはちょっと可笑しそうに笑いながら・・
「オシムにも、ちゃんと騎士団を作ろうって話になってるんだ。そうしたら、オシムに配属して欲しいって希望を出すつもり!」
「マジか!!それはすごく嬉しい!!!」
「ふふ、そうなったらいいんだけどね〜」
いや、絶対そうなって欲しい。
・・・そうしたら、ルウイさんがいつかここを出ても、寂しくないし・・・。
キリルは私の頭を撫でて、ニコッと笑う。
「カイルから聞いたけど、ルドヴィクさん・・あんなに強いのに奴隷なんて信じられないよ。あと2ヶ月だっけ?契約切れるの・・、トーリの事だから、すぐちゃんと期限内で契約終了させるんでしょ?」
「もちろんですよ、だって奴隷なんて思ってないもん」
「・・・いい子だね〜、トーリちゃん」
私はもう成人した女性なのだが・・。
と、玄関のドアをドンドンと叩く音がする。な、なんだ!?
「大丈夫?出ようか?」
キリルは言うけど、家主は私だし・・、何よりルウイさんがいない生活に再び戻れるように自分でなんでもする。
「大丈夫だよ〜」
笑って、玄関の方へ行くと・・
「おはようございます!!オーウェンです!!!」
「・・・・はい、おはようございます・・・」
でっかい声だな・・。
街外れで良かった・・。
オーウェンさんは、そわそわしながらルウイさんの様子が気になるのか、二階を見ている。・・・ここにも犬がいた。
「・・・とりあえず、今ルウイさんは休んでいるので、リビングにどうぞ。外は寒いですし・・」
「はい!ありがとうございます!!」
「・・・声量は小さめでお願いします」
一応言っておいたけど、聞いてくれるといいな。
リビングに来ると、キリルがオーウェンさんに挨拶して、すっかり慣れたのかオーウェンさんも「おう!」と手を挙げる。おお、すっかり仲良しなんだな。そう思って、ちょっと嬉しくなる。
ソファーを勧めて、お茶を出すとオーウェンさんは私を見て、
「あの!ルドヴィク様は?お加減は・・」
「ああ、熱はそこまで・・、今は静かに休んでます」
・・・・・多分。
「・・・そうですか・・、ルドヴィク様は、いつもあまり自分を出さない大変控えめな方なので、心配で・・」
「へー・・・・・・・・」
それは誰のことかなぁ?
ベッドにいるルウイさんを思い出すけど・・、撫でろとか、一緒に寝たいとか、そばにいてとか、スープ飲ませてとか言ってますけど、じゃああれは一体誰なんだ・・・?思わず遠くを見つめた私だった。




