騎士、諦めない。
キリルは朝イチで心配して見に来てくれた。
ナイスタイミング、さすが我が幼馴染!!!
起き上がっているルウイさんを見て、キリルは驚いていた。
「もう起き上がって、だ・・、大丈夫なのですか?」
「はい、トーリの寝ずの看病のおかげでこの通り元気です」
してない。バッチリ寝てたよ・・。
笑顔のルウイさんと心配するキリルの会話に目が遠くなる・・。
「とりあえずルウイさん、このスープを飲んだら薬を飲んでまた寝て下さいね」
サクッと作ったスープをカウンターに出して、ルウイさんの前に置くと、
「・・・一人でなく、トーリとね・・「ああーーー!!!なんか薬、2つあるのかな?いや、これだけですね!!!」
やめて!!!
社会的に私を抹殺しないで欲しい。
キリルがびっくりして目を丸くしてるけど、本当ごめん!!!
「キリル!ごめん、ちょっとここでお茶でも飲んでて!!ルウイさん、二階!!二階に行きましょう!!落ち着いて、スープ飲んだ方がいいと思います。いや、そうしましょう。一緒に行きますから、はいスタンドアップです!!!」
ルウイさんは、「一緒・・」と呟いてニコッと笑うと立ち上がった。
「スープ、持っていきます」
「病人!怪我人!!二階へ行って下さい!!」
私は目を見開いて、上へ親指を指したよ・・・。
頼む、いいから二階へ行ってくれ。
二階のルウイさんの部屋へ、スープと薬と水を持っていく。
ルウイさんは、なんかルンルンな顔だし、私はまだ朝なのに疲労困憊だ。
おかしい・・、なぜこんな事に・・。
「もう!ルウイさん、人前でね、寝ようとか・・」
「トーリと過ごしたいとは言おうとしましたが・・、一緒に寝て下さるんですか?」
ルウイさんは、キラキラと目を輝かせながら私に話す。
・・・この、いい度胸じゃねぇか。
こちとら50近いんだ。
大人の余裕というやつを見せてやろうじゃないか・・?
スプーンで、スープを掬って、ルウイさんの目の前に手を添えつつ出す。
「・・・・はい、アーン」
おらおら、さっさと真っ赤になるがいい。
超いい笑顔で微笑んでやった。
ルウイさんは、ちょっと目を丸くして・・・・破顔した。
「トーリ、嬉しいです!」
「・・・くそ、間違えた・・・」
照れさせようと思ったのに、なぜこんなに喜ばれる。
パクッとルウイさんがスプーンをくわえてスープを飲む。・・・しまったぁああ、これ私の方が照れるやつだった・・・。
「トーリ、もっと欲しいです」
「・・・・はいはい」
「お昼もやって下さい」
「自分で食べて下さい」
「では、今からキリルさんの元へ・・」
「嘘です。お昼もいたします」
ああ〜・・・くそ。
完全に裏目に出た・・・。
結局、スープを完食するまでルウイさんに食べさせるという恥ずかしい事、極まれり・・な行為をして、薬を飲ませてから下へ行こうとすると、ルウイさんにスカートの裾をちょっと引っ張られる。
・・まだ、何かあるのか?そう思って、じろっと布団に入ったルウイさんを見ると、少し寂しげに私を見上げていた。
「・・・・・早く、ここに来てください」
その大型犬のような瞳、やめて欲しい・・。
「寂しいよー」って目をしないでくれ・・、私の良心が痛い。
「・・・・なるべく早く戻りますから・・」
そういうと、そっとルウイさんは手を離してくれた。
まぁ、怪我したし・・、ちょっと寂しいのかな・・?いや、この人だいぶ大きい騎士団長様だったな・・。思い直して、さっさと下へ降りる。
キリルは、勝手知ったる・・といった様子で、本を読みつつお茶を飲んでいた。
「ごめんね〜、ちょっと時間掛かっちゃった・・」
「いや、全然構わないよ。ルドヴィクさんは本当トーリが大事なんだね」
「・・・大事なのか・・・?」
「・・トーリ、相変わらずだね・・」
キリルは、あきれたように笑いつつも頭を撫でてくれた。
本当、若者の3年ってすごいな。
こんなに大きく立派になっちゃうんだもん・・。親戚のおばちゃんのように、キリルを見上げると、可笑しそうに笑われる私なのだった・・・。




