騎士、お預け。
自分の部屋に行って、滅多にかけない鍵をかけた。
よーし・・・・、これで奴は入ってこれまい。
いや、そもそも白狼に怪我させられて、あと2日はベッドに括り付ける予定だけど。
「・・・・・やってしまった・・・」
いや、ちょっとね?
婚約者さん、いないってわかって・・ちょっとね?じゃ、いっかな?って・・・
いやよくねぇわ!!!!!!!
完全、旅の恥はかき捨てのノリじゃん!!!!
ああああ、私の馬鹿!!!!!
あのアホな騎士よりもアホだと思う!!!!!
時計を巻き戻したい!!なんであんな事しちゃったんだろ?ルウイさんの顔をちろっと見たけど、驚いてたよね・・。まさか契約した女の子を振り払うとか、拒否するとかできないのに、額にとはいえ・・・・あああああ、死にたい。朝陽が燦々とさしてるこの部屋で、爽やかに絶命したい!!!
いや・・待てこれ嫌な気持ちで辛いのはルウイさんだわ。
ちょっと冷静になって、理性に「謝罪と看病の続行」を言われて、ハッとした。
・・・・そうだった、ルウイさん、看病が必要な人間だった。人を即ベッドに引き込む元気はあったけど・・。
はぁ・・っと、大きくため息をついて、身支度する。
まずは謝って、お薬飲んでもらって・・今日はゆっくり休むよう言っておこう。
そっと自分の部屋の鍵を開けて、できる限り物音を立てないように部屋を出て、下へ降りる。・・・・よし、奴はいないな・・。自分の家にいるのに警戒心バリバリである。
ホッとして、キッチンでスープの材料を冷蔵庫から出して、カウンターに置こうとするとカウンター席にルウイさんが座ってる。
・・・・座ってる?
一瞬、体が固まる。
「おはようございます!」
「わぁあああああああ!!!!さっきはす、すみませんでしたぁああああ!!!!!!!」
謝りつつ、体が思いっきり後ろに飛んだ。
ルウイさんは、嬉しそうにニコニコしている・・。
「・・・・謝らなくて、結構です。あの・・、」
「いえ!全面的に謝らせて下さい!!契約中にそういった事をするなんて、言語道断で恥ずべき行為でした。猛省している所存なので・・・!もう二度とやりませんから!!!」
「・・・・二度でも三度でもお願いします」
「ダメですって・・・・」
いや、貴方ならそう言って笑ってくれると思ってましたけど、拒否したら契約延長されちゃうかもとか心配しないの?契約内容を変更されちゃうとか?
間違っても絶対しないけどね。
「・・・騎士への最大の褒美は、姫からのキスが定番ですし・・」
「うん!!!ごめん姫じゃないし!!!褒美とか言われたら、褒美が首を捻りすぎてムチウチになるレベルかなぁ??!」
そんな頬を染めて言わないで・・。
後悔と自責の念で死にそうだから・・・。
ルウイさんは静かにカウンターの椅子から立ち上がって、私のそばへ来るけれど・・、うまく体が動かなくて、ルウイさんを見上げるしかできない・・。
ルウイさんが、嬉しそうに私を見つめてる。
「・・・キリルさんをお守りできた騎士に、もう一度褒美を下さい」
「・・さっき、しました・・・」
「では、頬にも」
「無理です!!!死にます!!!!」
ルウイさんは、私の抵抗も虚しく・・体を少し屈めて私をじっとみる。
「・・・では、夢でなかったと、この騎士めにもう一度褒美を下さいませんか?」
胸に手を当てて、私の様子を伺うように聞くルウイさんの笑顔やばい。
・・・・う、うう・・・・。すっごい顔真っ赤だと思う。
綺麗な顔で、ちょっと上目遣いで私を見るルウイさんの顔ときたら・・、このわんこめ。大型犬のくせに。格好いいんだけど。
分かったよ・・。
絶対!!これでもうおしまいだからな!?目線を送ると、嬉しそうに笑う・・。
この察しの良さ・・って。
ルウイさんが期待に満ちた目で私を見てる・・、指がちょっと震えるけどそっと、前髪をかき分けた。
「・・・・ルウイさん、私、見過ぎです・・」
ジト目でルウイさんを睨むと、ルウイさんも照れた顔をする。
騎士団長様の方が、美女から褒美貰ってたろうに・・。
そっと顔を近付けたその瞬間、玄関から声がする。
「トーリ!起きてる〜?ルドヴィクさんの様子を見に来たけど・・」
キリルの声にビクーっと体が跳ねて、ルウイさんは瞬間目が据わった・・。
せ、セーフ!!!セーフ!!!!!




