騎士、ざわつく。
ルウイさんと、ハンドクリームは私の手のケアもあるのでそこは継続するけど、あとはお互い節度ある距離感にしようね!と、話すとあからさまに落ち込む。
なんならカウンターの前で、ものすっごい項垂れてる。
え、そんなに・・・?
そんなに触れ合いに飢えていたのか?この騎士団長様は・・。
「・・・そんな、辛いです・・。嫌です・・」
「いや、そこは譲れませんよ」
婚約者さんに悪いし・・・。
そう思うと胸が痛いから、言うことができない。ちょっとまだ・・・心が痛いし、ムカムカするし・・。あ、もしかしてお昼のお肉古かったのかな・・?
「・・・せめて、何かあった時は頭を撫でて下さい・・」
「え、ええ・・・」
「そうでなければ、これから週に3回の見回りが辛くて、こなせそうにありません・・」
「あ、週3でお仕事する事になったんですね」
そうか〜・・。
ここの冬は結構雪が積もるから、移動が大変なんだよね。
街外れにある家から、ギルドまで歩いていけるのかな?そう思っていると・・、
「・・・朝、オーウェンが馬を連れてくるので大丈夫です」
「・・・なんか、考えを読みました?」
「いえ、移動のことを心配なさるかな・・と思って」
ああ、そうですね・・はい。その通りです。
相変わらずよく私の事をよく見ているなぁ・・・、そう思って小さく笑うと、ようやくルウイさんはホッとした顔になる。
あ、ごめんね・・。
笑ってなかったか・・。契約中は怯えさせたくないし、悪く思ってもらいたくないのに・・、気を使わせてしまったな。
久々にあまり仕事をしない理性に、「今だけいいかな?」と聞くと、「ま、今日はいいんじゃない?」みたいに軽く言うから、その意見を採用する事にして、ルウイさんの髪をそっと撫でた。
「・・撫でるだけ、ですよ・・」
そう言うと、ルウイさんはものすごく嬉しそうな顔になって・・私を見上げる。
「・・・・撫でる以上でもいいです」
「調子に乗らない・・」
君は、相当やらかしてるからな?
一緒に寝たなんて聞いたら、多分オーウェンさんは卒倒するからな?
「・・・嬉しいです・・」
ルウイさんは、ちょっと目を伏せて私の感触を感じているのか、嬉しそうに微笑む。・・・本当、綺麗な顔だよな。こんなの18歳の乙女は普通にときめくよな・・。
そう思っていると、玄関の扉を叩く音がする。
ルウイさんは、ぱちっと目を開けてすぐに玄関に向かう。
今日もカイルかな??でも、まだ夕飯の時間には早いよな・・、じゃあ、オーウェンさんかな?
そう思っていると、なんかこっちへ来る気配がしないので、玄関を見ると・・赤毛の髪が見えた。
あ、やっぱりカイル?
「カイル・・?」
「トーリ!」
よく顔を見ると、長い赤毛を後ろでしっかり結って隊服を着た・・柔らかい顔立ち、スラッとした体格の人がこちらをニコニコして見ている。
「・・・え、もしかして・・キリル・・・?!」
「久しぶり!!うわ、すっかり綺麗になって・・!!」
「え、キリル・・?本当に??うわ〜〜!!久しぶり!!」
駆け寄って行くと、キリルにぎゅっと抱きしめられるので、私も抱きしめ返した。キリルも幼馴染なんだけど、3年前に騎士になりたくて、トーラスの騎士学校へ行ってそれ以来、手紙だけのやり取りだったのだ。
「・・・トーリ・・、この方は・・」
ルウイさんは、ちょっと驚いた顔をして、私を見る。
あ、そうだよね・・、急に抱き合ってたらびっくりするよね・・。
キリルは、にっこりと微笑み・・
「初めまして、ルドヴィクさんですよね?弟のカイルがお世話になっています。キリル・マクベンと申します。この度、晴れて騎士になりまして、こちらへ2ヶ月ギルドの警備に参加するよう騎士団から言われて参りました」
え?そうなの??
久しぶりに帰ってきたと思ったけど、2ヶ月もいるんだ!
そう思ったら嬉しくて、キリルに微笑むと・・横のルウイさんが複雑な顔をしてた。大丈夫、この間の騎士と違って優しくていい人だよ・・?




