騎士、なおも延長希望。
夕方近くになって、ルウイさんはやっと帰ってきた。
いつもなら、玄関まで迎えに来た私を見ると、すぐ笑顔になるのに小さく笑うくらいだ。
「・・・大丈夫ですか?」
「・・・すみません・・、その、ご迷惑をお掛けしてばかりで」
「何にも迷惑なんてかけてませんよ」
若いのに、そんな気にするなよ・・・。
いつもと違う雰囲気に、何かあったのかな・・って心配にはなるけども。
「何かできる事、ありますか?」
私がそういうと、ルウイさんはちょっと腕を広げて・・
「・・・すみません、今だけちょっと、その抱きしめてもいいですか?」
あらま、これは相当だな?
いつもは嬉しい時に、強請るのに・・。まぁ、ちょっと今日は様子もおかしかったし・・、いっか。そう思って、私も腕を広げる。
「はい、いいですよ」
そういうと、ルウイさんは嬉しそうなのに泣きそうな顔になる。
なんか、そんな顔されるとこっちも辛いぞ。
ぎゅっとルウイさんは私を抱きしめるので、私もそっと抱きしめ返す。
私なんかのハグで良ければ元気になってくれ。
ルウイさんの体温は、さっきまで外にいたはずなのに温かい。筋肉ってあったかいのかな・・?
「ふふ・・、ルウイさんの腕の中はあったかくて気持ちいいですねぇ」
そう思わず話すと、ルウイさんは私の肩口に頭を寄せてくるので慌ててしまう。
「る、ルウイさん?!!」
「・・・すみません、もう少しだけ・・」
どこか切なそうな声に、色々あったのかな・・・?そう思って、背中を優しく叩く。
「・・・大丈夫ですよ・・」
うまく言えないけど、とりあえず私はここにいるし。
ルウイさんがいつかどこかへ行っても、手紙くらいは送ってくれるだろうし・・。うん、そんな感じでいい・・。この胸の痛みも、きっと離れれば無くなるだろう。
「あと何か出来る事・・ありますか?」
「・・・一緒に寝て欲しいです」
「ルウイさん、人間ですよー。人間ー。」
ふふっと笑って、ルウイさんを見ると・・
すごく愛おしそうに私を見つめていた。
思わずドキッとしてしまって、思いっきり顔を逸らしてしまった・・。や、その顔はちょっと反則じゃない??ルウイさんは、クスクスと笑いつつ・・
「トーリ、こちらを向いて下さい」
「いやぁ〜、今はとても無理ですね」
「何故ですか?」
全面的にルウイさんの責任です・・。
っていうか、元気でたんなら離してもらおうか?離れようとした途端に、ぎゅっとまた抱きしめられたけど・・、ちょ、苦しい!!本気を出すな!!
「ルウイさん!!!苦しいです!!」
「ええ〜、そうですか?」
「もー!!!ステイ!!!ステイです!!!」
ルウイさんは、笑いながら私を離してくれたけど・・、騎士団長さま!!腕力強すぎだから!!じろっと睨むと、嬉しそうに笑う。何故睨まれて笑う???
「まったくもう!今度犬のしつけ方の本を買ってこようかな・・」
「それは嬉しいですね・・」
「だー!!!喜ばない!!人間でしょ?」
「・・・ずっと、奴隷がいいです・・」
うーん!!!!お迎えが来ちゃうくらいの騎士団長様が、奴隷でいたらダメでしょ・・・。
「・・・ルウイさん、人間に戻りましょうね」
「・・・トーリがずっとそばにいてくれるなら・・」
「え?いるじゃないですか?」
そういうと、ルウイさんは静かに笑う。
私の髪をそっと優しく撫でて・・、
「長い時を、あなたと一緒に過ごせたら・・嬉しいのですが・・」
うん・・・??
契約を更に長く伸ばすって事なの??それはダメって言ってるよね・・・。
そう思って、ルウイさんを見上げると眉を下げて笑うだけだった。ええ、なんで??




