騎士、心配する。
秋祭りが終わってホッとしたのか・・何なのか。
私は、熱が出てしまった・・。
なんか昨日、喉が痛いなぁって思ってたんだけど、風邪の引き始めだったのか・・。おでこを自分で触っても、熱いってわかるし・・、こりゃ熱だ。
ルウイさんに、今日はちょっと寝ていると伝えておこうと思って、ベッドから頑張って起き上がって下へ降りると、ちょうど裏口から入ってきた所だった。
ルウイさんは、私の寝間着の上にカーディガンを羽織っている姿と、顔を見て、ハッとする。
「風邪を引かれていますね・・?すぐに上に・・」
「あ、うん・・ごめんね。熱みたいなんで・・、ルウイさんにご飯を」
「そんな事は考えなくて大丈夫です。さ、ベッドに・・」
そういうと、さっと私を横抱きにした。
横抱き!!??
熱で朦朧としてたけど、目がパチっと開いた。
「な、な・・ルウイさん、じ、自分で歩けますから!!」
「いいえ、ダメです。熱の時は無理は禁物です」
きっぱりと言い切ったけど、ルウイさん私の部屋は15歩くらいでたどり着けるんだぜ・・?
ルウイさんはそんな私の言い分を一つも聞く事なく、部屋のドアを「失礼します」と言ってから開ける。・・騎士ってのぁ、どこまで紳士なんだ・・。
ベッドにそっと私を寝かせると、ルウイさんは私の頭をそっと撫でた。
そういえば、撫でるのはあっても、撫でられるのは初めてだな・・。
「・・・トーリ、薬草を持ってきます。あと水ですね・・、とにかく私の事はお気になさらず、しっかりとお休み下さい」
「・・うん・・、ごめんね・・、ルウイさん・・」
なんか安心したら、頭も痛くなってきた。
そっと目を瞑ると、ルウイさんがまたそっと頭を撫でて、
立ち上がる気配がした・・。
私は目が開けられず、そのまま眠ってしまった・・。
しばらく寝ていたのか、ふと目が開くと額の上にタオルが置いてあった。
横を見ると、椅子に座って本を読むルウイさんがいた。
「・・ルウイさん・・」
「ああ、目を覚ましましたか・・、お水を飲みますか?それとも何か食べますか?」
矢継ぎ早に色々聞いてくるけど、ずっと心配そうに見つめてくるルウイさんを見て、思わず小さく笑ってしまう。優しいなぁ・・。
「・・お水、欲しいです・・」
「はい、それでは・・失礼します」
そういうと、自分で起き上がろうとした私の背中にさっと手を入れて、ゆっくり起こしてくれた。いや、介護かーい!
「・・ルウイさん、自分で起きられますよ・・」
「無理はいけません・・。はい、お水です」
そういって、ポットからグラスにお水を注いで渡してくれた。
ゆっくり水を飲むと、スルスルと喉を通っていく水が体に染み渡るようで・・ホッと一息ついた。ルウイさんは、さっと私の手からグラスを受け取って、サイドテーブルに置いてくれた。至れり尽くせりだ・・。
「・・ありがとうございます・・」
小さく笑ってルウイさんを見ると、ちょっと切なそうに私を見る。
「・・私が代わりに病にかかれれば・・」
「いや、誰も罹らないのがベストですよ」
熱があっても、冷静に返すぜ50歳近い私。
でも真剣にそう思っているんだろうなぁ・・そう思うと、ルウイさんのちょっと天然な所が可愛くて笑ってしまう。
ゆっくりベッドに横になると、ルウイさんはそっと掛け布団を掛けてくれた。
「ルウイさん、ご飯食べました・・?冷蔵庫におかずが入ってますから食べて下さいね・・」
「・・トーリ、自分がお辛い時に私の心配など・・」
またも心配そうに見るルウイさんは、完全に寂しげな大型犬だ。
私がそっと手を出すと、ルウイさんがなんだろうと顔を近くに寄せてくれたので、頭をそっと撫でた。
「大丈夫ですよ・・、あ、でも冷蔵庫のケーキは食べないで下さい・・」
あれは私の物だ。
楽しみに取っておいたし・・。
そういうと、ようやくルウイさんは小さく笑った。そうそう・・、笑ってて貰えると、私も嬉しいです。




