騎士、不満。
ルウイさんは、なんだかんだですぐ甘えたがる・・。
ますます犬みたいだなって思うが、貴方は人間だという事をしっかり胸に刻みつけておいて欲しい。
そろそろ秋めいてきたが、そうなると冬に備えて食料を備えておかないといけないのだ。パントリーと備蓄庫にギッシリ詰めておかないと、雪で動けなくなる事もあるからなぁ・・。
暖房器具は、魔石さえ買っておけば心配がないのがありがたい。薪を備蓄となると・・本当に骨が折れる。
ルウイさんに、食料の備蓄について説明すると、
「お任せ下さい!!」
そう言って、あらゆる獣を狩ってきた。
中でも、かなり大きな熊みたいな魔物を狩ってきた時は、ギルドのマタギのおじいちゃんが「山の神を狩ってきただと??!」と驚いていたけど、何を狩ってきたんだ。何を。
山の神とやらは、皮を剥かれ、鞣されて大変暖かい毛布となってルウイさんから私へと献上されそうになったが、自分で狩ってきたんだから・・と、お断りした。
ものすごく残念そうな顔をされたけど、ダメです。
私は貴方をなんでも与えてくれる奴隷にした覚えもなければ、骨をくれるような犬にした覚えもない。ただ人間であれ。
今日はルウイさんが狩ってきてくれたお肉でシチューを作った。
赤ワインを入れてコトコト煮込んだ自信作である。
「・・この間、ベッドを大きくしたんですから、ちょうどいいサイズの毛布も手に入れて、ピッタリじゃないですか・・」
ちょっと不服そうにシチューを食べるルウイさんを静かに諭す。
この間、ベッドに体を丸めて寝てるルウイさんを見て、体のサイズに合ってなかったのに気付いたので、大工さんに頼もうとしたら、ルウイさん自分で直したんだけど・・、器用すぎない?
毛皮が見事にベッドにジャストサイズで、暖かそうだし・・良かったなぁなんて思ってたのに・・。
まだ言い足りないのか、ルウイさんは残念そうに私を見て、
「いつもお世話になっているトーリに、少しでも恩返しをしたかったのですが」
「あの、十分すぎるくらいして頂いてます。むしろ加減して下さい」
思わず笑ってルウイさんを見ると、少し照れ臭そうに微笑む。備蓄庫にぎっしり詰まったお肉、全部ルウイさんが狩ってきたので、パンパンですけど・・一体どれだけ尽くしたら、ルウイさんの気が済むのか逆に聞きたい。
と、玄関の扉を叩く音がする。
ルウイさんが、私が何かを言う前に、さっと立って玄関に行くけど・・、私、この家の家主・・・。
ルウイさんが不服そうな顔で戻ってきて、後ろを見ると、思った通りカイルが入ってきた。ルウイさん、ちょっと表情分かりやすすぎではないか・・?
「こんばんは、カイルご飯は食べたの?」
「まだ・・」
「たまには何か差し入れを持ってきなさいよ」
そう言いつつ、アテにはしてないけど。
シチューをよそって、ルウイさんの隣に座ったカイルは嬉しそうにシチューを見る。・・最近、夕飯時によく来るのでルウイさんが大変不満顔だ。
「・・それで、今日はギルドから何か言伝があったんじゃないの?」
「あ、そうだった・・」
もぐもぐと食べつつカイルは、隣のルウイさんを見る。
「メルクさんが、今度の秋祭りの警備をして欲しいだそうです」
「秋祭り・・?」
ルウイさんが、不思議そうに聞くので私が補足する。
「冬が来る前に、秋の終わりを祝うんですよ。ご馳走やお酒を街のみんなで作って振る舞うんですけど・・、それを目当てに他の街から人が来るんですけど、お酒が入って暴れちゃう人がいるんです・・」
まぁ、それもあって私はいつも食べるだけ食べて帰ってしまうけど。
カイルは、私の説明を聞いて頷きつつ・・
「トーリも去年、変なのに絡まれてたっけな〜」
カイルの言葉に、ルウイさんはにっこり頷き・・「詳しく聞きましょうか?」とカイルを見つめた。・・本当にお仕事熱心だなぁ。




