騎士と手袋。
ギルドを出ると、風が大分吹いてきた。
これは、大きい嵐になりそうだな・・、ロウソクあったっけ。
そんな事を考えつつ、尻尾ちぎれそうなくらい振っているように見える、ご機嫌のルウイさんは、私の手を繋いで服を買いに行く。
「トーリが好きな服を買いましょう!」
「ルウイさんの服を買いに来てるのに、なぜ私好みの服にしようと?」
自分好みの服を買え。
前回は、確かにこれかな〜って感じで私が選んだが、値段を見つつ・・だからね?
今回は、完全にルウイさんのお金で好きな服を買っていいんだよ?なんで、私の判断というか好みを確認する必要があるの?
「・・犬にはなれませんが、せめてトーリの好みの服を着て可愛がって頂きたく」
「オッケー、私の人間性が疑われるから、これ以上の発言は慎もうかな?」
服屋のうら若いお兄さんが、ギョッとした目で私を見るから、
真剣にやめて欲しい・・。
わかったよ、選べばいいんだろう・・。
って、いうかまずはサイズを確認しないとだなぁ・・。
体が大きいからな。
あとは、まぁ・・なんでも似合うでしょ、この美形。似合わない服ってあるんだろうか?ボロを着てても、隠しきれないんじゃない?この美しさ・・。
インナーと、シャツを数枚と、セーターも数枚、ズボンもあったほうがいいよね・・。ルウイさんが大金を持っているので、なんか値段を気にせず籠に入れていけるのが、ちょっと楽しい・・。
「ルウイさん〜、冬服で他に欲しいものあります?」
「そうですね・・、トーリの洋服が」
「・・・話、聞いてた?」
なぜ私の服を買おうとするのだ。
自分の服を買え。
しかし、女物の洋服コーナーに問答無用で引きずられていく。
おい・・、大型犬よ、言う事を聞け。
ルウイさんは、目を輝かせながら「どれがいいですか?」「これ、素敵です!」と嬉しそうに色々持ってくる・・。
大型犬が、骨を持ってきて「嬉しい?これ好き??」って聞いてくるようだ。やはり早急に犬を飼おう・・。
ルウイさんは、どうしても買う!と譲らないので、紺色のシャツを買ってもらう事にした。レースがついていて、後ろの襟元にリボンが付いている。ちょっと可愛いなって思ったし、お値段も可愛いので大変よろしい。
もっと買いたそうだったけど、君のお金だから。
レジに不満気に行ったルウイさんに、ちょっとため息をつきつつ、周囲をみると手袋やマフラーが置いてあって・・、そうだ、冬なら使うなぁ・・と思って、手袋を男性用と女性用で、模様が同じ物を自分で買った。
お店から出て、ルウイさんに手袋を渡す。
「・・え?私のですか?」
「そう、私と同じ模様だよ、そういうの好きそうだなって思って」
ちょっとからかうつもりで、買ったのは否定しない。
ニマッと笑ってルウイさんを見ると・・、
じわじわと赤い顔になっていくルウイさんに、ちょと驚いた。
そ、そんなに嬉しいの??
「・・・嬉しい、です・・。一生大事にします!」
「いやぁ、そんな重く受け止めなくていいから」
ルウイさんは、嬉しそうに笑うと私の手をさっと繋いで、当初の目的の食材を買って帰った。ちなみにルウイさんはずっとご機嫌だった。
家に帰ると、お昼なのに雲が出てきて、明かりをつけないと薄暗い。
風も大分吹いてきてる・・。
窓とか、大丈夫かな。
昼食を終えて、嵐が本格的にくると夕飯の支度もままならないので、
「とりあえず、夕飯を先に作っておきます」
そういうと、ルウイさんは家の中をぐるっと見回して・・
「では、私は窓の補強をしておきますね」
た、助かる〜!!
こういう時、男手があるといいな。私だけでは窓の補強は出来ないからな・・。そう思って、お礼を言うとルウイさんは満足気に微笑み・・、
「犬よりは、ずっと役に立ちますよ?」
いや、張り合ってたんか。
それ以前に、貴方は人間でなおかつ騎士団長様では?人間の自覚を是非とも持って欲しいと強く思う。




