騎士、現る。
薄い淡い紫の瞳の金髪の青年は、覗き込む私をちょっと驚いて見つめた。
・・・寝たまんまだけど。
「えーと・・・、大丈夫ですか?起きられますか?」
ようやく普通の人のように言葉をかけると、その人は腕に力を込めてゆっくり起き上がって座ると、周囲を見て・・、また私を見つめた。
「・・ここは・・・?」
「オシムっていう島国で、セリっていう街の外れです」
金髪の青年は、「オシム・・」と小さく呟きながら立ち上がった。
鎧がガシャ・・と、音を立てて陽の光で光る。
それに負けないくらい、騎士さんは格好いい。非常に様になる。
背が高いな・・。180以上は軽くあるなぁ・・、そう思って私も立ち上がって、青年を見上げる。うーん、造形美!!綺麗な横顔に見惚れてしまう・・。
「えーと、私はトーリと言います。あなたは・・?」
金髪のお兄さんは、ハッとして私を見る。
「・・・ルドヴィク・ゴーヴァンと申します・・。名乗りもせず・・申し訳ない」
「るどびく・・・さん・・?」
「ルウイで構いませんよ・・」
上手く言えない私に、ふわっと柔らかく微笑んでくれた。
う、うわ〜〜〜〜格好いい!!そして、優しいな。
「あ、じゃあ私もトーリで・・。あの、体は大丈夫ですか?」
ルウイさんは、ちょっと驚いて私を見る。
「・・・あまり驚かれてないのですね・・」
「あ、まぁ・・、多少は驚きましたよ?」
・・いや、本当に驚いたけど、まぁ、違う世界だし・・。
こういう事もあるかな?って・・・。
そんな反応に、私よりもルウイさんの方が驚いている感じだけど・・。
「とりあえず、土に埋もれてた顔を拭いた方が良さそうですね・・」
ちょっと土がついた頬の方を指さすと、慌ててゴシゴシと頬を手の甲で擦るのでなんか可愛いなって思ってしまった・・。
井戸から水を汲んで、タオルを水に浸すとルウイさんに渡した。
「・・・すみません・・・」
「いえ、なんかちょっと面白くなってきたんで、お気になさらず」
「・・面白い?」
「すごい轟音がして現れたんで・・ちょっと非現実的で、なんだかワクワクしちゃって・・」
こんなの前世でだって経験した事ないし!
映画か、漫画ならワンチャンあるだろうけど・・、まさか異世界でこんな美形が突然現れるなんて、面白すぎる。
ルウイさんは、少し目を丸くしてからまた小さく笑った。
「・・・そんな風に言われるとは思いませんでした・・」
「多分、普通はそうなんでしょうけどね」
なにせ普通というのが、もう分からないんだわ・・。前世持ちだし、なんかもう色々ありすぎて・・。
綺麗な顔になったルウイさんからタオルを受け取ると、軽く洗ってデッキの柵に干しておく。今日はいい天気だし、すぐに乾くな・・。
「ルウイさん、良かったらお茶でも飲みませんか?」
「え・・?」
「クッキーもありますけど・・」
「い、いや・・・見も知らない私を家に上げていいんですか?」
ルウイさんが慌てて、私に言うけれど・・、
「いや、それ今更ですよ」
「・・・・そ、それを言われると・・・」
この人、綺麗な顔してるのに・・天然なのかな?ちょっと照れた顔をしているルウイさん面白いな。手招きして、裏口の扉を開けると、ちょっと視線を彷徨わせてから部屋へ入ってきた。
なんか・・、ちょっと警戒した大型わんこみたいだ。
台所のカウンターの椅子を進めると、ちょっと遠慮がちに座るのを見つつ、お湯を沸かしてポットを用意する。
「そういえば、今から戦いに行く出で立ちですけど・・鎧、重くありません?」
「・・・・あ、ああ・・」
私に言われて、自分の姿を見て気付いたの・・?
「・・・外してきていいだろうか」
「どうぞ、どうぞ。その間にお茶を用意しますから・・」
そういうと、ルウイさんは席を立って鎧を外すと、部屋の端へゴトンと重い音を立ててそっと置いた。長剣は携えて戻ってきたけど。それも重そうだなー・・。




