騎士、経歴。
薬草を紙袋に詰め、カイルに渡して「はい、お仕事行ってらっしゃい!」というと、ぶちぶち言いつつ帰っていった・・。
悪い子じゃないんだけど、すぐうちでサボりたがるんだよね・・。
ルウイさんと、その後簡単に雑草を抜いて野菜を収穫してから家に戻った。
お昼の支度をしようとすると、ルウイさんがカウンターの椅子にちょこんと座って、ちょっと申し訳なさそうに私を見る。
「・・食器の位置を私も覚えたいのですが・・」
「あ、ああ・・そうですね、この棚に大体に入ってますけど、見ます?」
ルウイさんは、頷くとキッチンの中へ入ってくる。
コンロの横にある棚の扉を開けてあげて、いつも使うお皿やカップ、カトラリーの場所を教えておく。
「片付けも手伝えたらと思って・・、急にすみません」
「る、ルウイさん・・・!!!」
こんな王子様みたいな人が片付け!!
違和感〜〜!!!とは思うけど、助かる・・。
だって、仕事が終わらない時は片付けもままならないし・・・。
感動する私に、ルウイさんはちょっと照れたように笑う。
く!!!可愛い・・・・!!大型犬が「嬉しい?嬉しい??」って聞いているような顔つきだ・・。思わず頭を撫でたくなったけど、ぐっと堪えた。相手は成人男性だ!耐えろ、私!!!
「と、とりあえず、お昼・・食べましょうね」
「はい」
ギリギリ理性を保って、食事を用意して一緒に食べた。
結構作りすぎたかな?と思った量を、綺麗な所作でぺろっと平らげたルウイさん・・。夜のお肉・・足りるかな・・。
午後は予定通り、私は翻訳の仕事を、ルウイさんはギルドへ報酬金を受け取りに行った。
一回しか行ってないギルドまでの道のりをすでに覚えたらしい。
すごいなぁ〜・・、私はすぐ迷子になっちゃうよ・・。
黙々と翻訳の仕事をしていると、郵便屋さんが来た。
・・手紙・・?
裏返してみると、「奴隷契約課」と書いてある。
「あ、そうだ・・経歴とか確認して貰ったんだ・・」
随分と仕事が早いなぁ〜。
ま、ちょうどルウイさんがいない間で良かった・・。
仕事部屋へ行ってドアを閉めてから、サッと封筒を破いて、ドキドキしつつ中身を開ける。
『ルドヴィク・ゴーヴァン 26歳 ホルス生まれ 役職:白狼騎士団 団長 契約日:雲の月7日 奴隷契約者トーリ・ランデル 』
「・・・・・え?これだけ??」
なんかこうさ、どういう理由で奴隷になったかとか・・
書かれていると思ったのに・・。
契約した日と、契約した私の名前じゃあなぁ・・。
奴隷にされた日は、契約した日って事か・・??じゃあ、すぐ奴隷にされて、ここに来たのか?うう・・、分からない・・。もっと詳細な説明プリーズ!!!
「あ、でも騎士団・・団長・・?!」
確か、団長って騎士団のトップじゃなかったっけ?
え、そりゃ腕が立つわ・・。
一人で窃盗団捕まえちゃうわけだ。
本棚から世界地図と、国の説明が書いてあった本を出す。
オシムというこの島から海を隔てて、遥か西側に位置する軍事国家。隣国のトリルとはよくやり合ってるとは聞いた事はあるけど・・。
「ホルス生まれは、本当だったのか・・」
本来なら奴隷契約をした時点で、主人に秘密ごとはできない。
聞かれたら嘘をつく事もできないんだけど、もちろん人権を大事にしたい私はその項目に印を付けなかったので、ルウイさんの秘密を暴く事はできない。
名前も生まれも、記載通りだし・・騎士だって事も嘘ではない。
まるっきり嘘をついてるわけではなさそうだな。
「まぁ、それだけ分かればいいか・・」
手紙をデスクの引き出しに仕舞っておく。
詳しい事はルウイさん本人が言いたい時にでも、言えばいい。
「しっかし、26歳かぁ〜〜!わっかいなぁ〜〜!!」
そう言って仕事に再び取り掛かるが、よく考えたら私のが若かった・・。自分の中の年齢バグってるな。




