騎士、街を歩く。
朝からお魚を焼いて食べる我が家。
すごい・・ルウイさんが来て、一気に豊かになったな食卓・・。
今日も綺麗な所作で食べるルウイさんを見る。
うーん、素晴らしき彫刻のような顔!
食後のお茶を一緒に飲みつつ、ルウイさんに話しかける。
「ルウイさんは、朝早いんですね〜」
「そうですね・・、訓練で朝早く起きる習慣がついていて・・、起こしてしまいましたか?」
「いえ、爆睡してました」
奴隷契約で、手は出せないので何も心配せず爆睡してました。
ルウイさんは小さく笑った。
すみませんね・・、お気遣い頂いて。
「先ほど、この辺りを散策しまして、よければ狩りに行きたいのですが・・」
「あ、もう見てきたんですね」
行動早いな〜。もう見てきたのか〜・・。
「奴隷紋、反応しませんでした?」
そう・・、奴隷紋があると、遠く離れての行動はできないのだ。
逃げようとすると、刻まれた紋様が反応して体に電撃を食らって倒れてしまうのよね・・。えぐい。
ルウイさんは首を振って笑ったので、ギリギリの範囲を動いたのかな。紋様に契約者が触れれば、行動範囲を狭めたり、広げたりできるのだ。
「ルウイさん、首に触れていいですか?距離を広げておきます」
「いいんですか?」
「え?自由に動けた方がいいでしょ?すみません・・、昨日気付かなくて」
ルウイさんは、またちょっと目を丸くして私を見る。
うーん、もう一回ここは丁寧に説明しておこう。
「・・ルウイさん、私は別に貴方をここに留めたくて契約したんじゃないんですよ?半年すれば契約は解消できるけど、その間も出来る限り自由に生活して欲しいと思っての契約です。最短でなおかつ安全に過ごすためです。だから、行動で不便な事を感じたら話して下さい」
・・まぁ、今回は自分が契約してないと罰される可能性もあったから、契約した部分もあるけど。
ルウイさんは、そっとカウンターにカップを置くと・・
「・・ありがとうございます。それでは、申し訳ないのですが、行動範囲の距離とお仕事の許可をして頂けると有難いのですが・・」
「・・・・いや、そんな堅苦しく構えなくてもいいですけど」
・・分かったのか?私の言いたい事・・。
遠慮すんじゃねぇって、言った方が早いかな?
ルウイさんは、真剣な顔で私を見つめているので・・、まぁ、おいおい分かって貰えばいいや・・と、気を取り直して、椅子から立ち上がって、ルウイさんのそばへ寄る。
「えーと、じゃあ首をちょっとこちらへ向けて貰えますか?」
「・・・はい」
今日は、薄いグレーのシャツと黒のパンツ姿のルウイさん。
ボタンを一つ外してるだけなのに、色気あるな〜・・。
なんて、アホなことを考えつつ・・、そっと首筋の奴隷紋に触れる。
『我、契約者トーリが命ずる。行動の範囲をこの島国まで広げる事を許し、仕事を許可する』
そういうと、奴隷紋が淡く光り・・すぐに光が消えた。
「はい、これでこの島では自由に歩けます。これ以上距離を広げるのは魔力の都合上出来なくて・・申し訳ないです」
「いえ、十分です。仕事は特に制限がないようですが、いいのですか?」
「ルウイさん、危ない事しないだろうなって思ってるんで」
そういって、ニコッと笑うと・・、ルウイさんは小さく笑って頷いた。
騎士さんだし、無茶はしないだろうという考えですけど・・、ルウイさんは大丈夫って思うんだよね。
そんなわけで、午前中はお互いに仕事や狩りをして過ごし、
お昼になるとご飯を作って食べた。
なんか、突然二人での生活になったけど・・、意外にスムーズではないか?ちょっと心配してたけど、ルウイさんが大人なおかげなのかもしれない。いや、精神年齢でいえば、私のが年上だろうけど・・。
午後は約束通り、街を案内する。
木造の家が多くて、色とりどりのペンキで塗られた街並みはカラフルでなかなか可愛いのだ。
あちこち店を指差しつつ案内するが・・、何故、私はルウイさんと手を繋いでいるのだろう。これはやはり、介護の一環?騎士の奉仕の精神のなせる業なのだろうか・・????




