平凡なぞない。
前世は、なんでしたか?
私は生粋の日本人でした。
普通に多分30歳半ばくらいまで生きていたお一人様でした。
死んだ時の記憶はないんだけど・・、生きていた記憶を思い出したのは3歳の時。
オシムという島国に咲く、サラの花を見て、
「桜みたいだなぁ」
と、言葉にした途端・・前世の記憶を思い出したのだ。
しかし、弱冠3歳。
記憶を取り戻した所で、私は現在、トーリ・ランデルという・・ただの子供である。舌噛みそうだよね、この名前。
あと大変残念なのが、黒髪なんだよね。
顔も、前世と大して変わらない・・、緑の瞳というのはちょっと嬉しかったけど・・、できれば金髪になりたかった!!あともっと綺麗に生まれたかった!
そんな結構のんきな私だったけど、5歳の時に両親が病で他界。
そうして、幼い時からお世話になっていたおばあちゃんの家でお世話になり・・・、そのおばあちゃんも2年前に他界。
天涯孤独になった私・・。
大丈夫、お一人様は前世でも経験したし・・・・。
っていうか、ハードモード過ぎない?!私の人生!!私、まだ18歳なのに、普通の子だったらきっと泣き暮らしているよ?・・普通ならね・・。
普通でない私は、幸いにも魔法を使えた。
あとそれとは別に、この世界には「サイレントスキル」という、その人しか持っていないスキルがあるらしい。
私?持ってるよ〜。しかも2つ!
「天気を局所的にだけど操れる」
「全ての言語が読める」
・・・最初の一つは格好いいでしょ?
畑の水やりに便利だよ。おかげで日照り知らずなので、野菜はいつもツヤツヤ!美味しい!自給自足の便利スキル!!うん、とっっっっても地味!!でも助かってる。
言語は仕事で使ってます。
翻訳家ですよ、格好いいでしょ?毎日難しい本の依頼で、文字を見たくないけど・・生きるために読んでる。毎回睡魔に悩まされてるけどね・・。
そんな普通そうで、普通でない私・・。
今日も街外れにある、可愛い赤い屋根に、白くペンキで塗られた壁の家で翻訳の仕事をし、裏の菜園で野菜や花を育てている。
今日も快晴!
仕事したくない!!
畑で野菜でも取ってこよう!
思いっきり現実逃避するために、菜園へ向かおうと裏の扉を開けた途端・・物凄い轟音と地響きがして、窓が一斉にバンッと音がして、カタカタ・・と静かに揺れて・・やがて収まった・・。
「え、な、何・・・・?地震??」
慌てて、外へ飛び出すと菜園の方で白い煙が立ち上っている。
え??何??火事?!!
慌てて菜園へ駆け込むと、
金髪の大きなお兄さんが地面にめり込むように埋まってる。
う、埋まってる・・・????
なぜ、突然人が・・・???
親方あぁ!!!空から人が降ってくるならわかるけど、埋まってるケースは初めてなんですけど??!思わず、ボケてみたけど、誰も突っ込んでくれないので、私はお兄さんの方を近付いて見てみる。
顔が横を向いてるけど、反対方向を向いてるので・・よく見えない。
あ、これ・・鎧?甲冑??白銀の色をしている。
右手には、長剣?お、格好いいな。
「・・・もしかして、騎士さん・・???」
薄く立ち上る煙は、もう見えない・・。
少し離れた所でしゃがんで、横顔を見てみる。
うっわ!!!なんだこの美形!
目を瞑っているけど、まつ毛が長い!!眉毛は、綺麗な形をしているし・・、わぁ・・金髪が風が吹いて、サラッと流れたよ。シャンプーのコマーシャル出られそう・・。
思わず、もう一歩前に進んで・・・、そっと前髪に触れてみた。
「わぁ・・・、サラサラだ・・」
綺麗だなぁ・・
そう思っていると、騎士さんの目がそっと開かれ、綺麗な淡い紫色の瞳と目が合った。
「わ、綺麗・・」
そんなコメントの前に、「大丈夫ですか?」だよね。
分かってる・・、でも、私普通じゃないから。思ったままに言うくらい、良くない・・・?




