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岡山県出雲市伝説

作者: 田中・エドワード・宗一

 岡山県は、言わずと知れた桃太郎県だ。


「晴れの国」とも呼ばれる山陽地方の県には27の市町村があり、そのうち岡山市の人口は70万人を超え、政令指定都市のひとつとなっている。


 じつは、晴れがいちばん多いわけではなくて、雨が一番少ないだけなので、本当は「曇りの国」である。



 さて、そんな岡山県には「出雲市」という幻の市が存在したことをご存知だろうか。

 現在ではネットユーザーのごく一部のみが知る「都市伝説」となってしまったのだが、さまざまな書物にその存在を仄めかす記述がなされている。


 表舞台から忽然と姿を消した岡山県出雲市、いったいどこへ行ってしまったのだろうか。

 "岡山県の出雲市は島根県の出雲市とつながりはなく、だが日本神話現れる伝説に関連する特徴も備えているようである。"(日本市町村研究組合 安田貞夫氏著『いづものくに』より)


 特筆したいのは、岡山県出雲市(以下「出雲市」)には日本神話とのつながりが多くみられるという点だ。

 日本神話のひとつに、以下のような伝説がある。


 "昔、農地を開拓するためになだらかな山に踏み込んだ若者がいた。その若者は「山に入るときは神々の怒りを買わぬように詣でておかなければならない」という当時の決まりを知らず、それがために麓の村は風雨や洪水に襲われることとなった。人々はこの若者の掟破りを知らなかったが、この天変地異のことを「怨煮おんに」と呼び、神の怒りが爆発したのだと恐れた。水にまつわる天災であるが故、怨煮は海や水を司る神の仕業だと信じ、海を超えて神に直接会って怒りをおさめてもらおうと考えた。勇気あふれる者とその付き人たちの手によって、村には再び平和が訪れた。加えて、度重なる雨によって果物や海水資源が豊富に得られるようになり、それが他の地域との貿易で重宝され、その村は当時の王朝において有力な地域と成り上がったのである。村の人々は、かつての過ちを繰り返さないようにその村を「雲出づる国」として「出雲」と名づけ、その後はずっと天災に見舞われることも少ないまま平和に暮らしたという。"(岡山・吉備地方民俗資料館蔵『怨煮伝説』より)


 さて、この伝説は岡山県のことではないだろうかという議論がなされたことがある。

 なだらかな山=丘山おかやま=岡山 だとか果物や海水資源(桃、瀬戸内の資源など)だとか、現代の岡山県に通じる点が複数見つかるだろう。


 そして極め付けが「怨煮」の存在だ。読み方は「おんに」であるが、「on-ni」の真ん中の「n-n」を繋げると「オニ」と発音できることに気づく。


 この伝説での怨煮は、のちに鬼という生物に派生し、最後には桃太郎伝説となったのである。


 勇気あふれる者や付き人は桃太郎と犬、猿、キジであるし、海を超えて怨煮の神に出会う場所は「怨煮が島」つまり鬼ヶ島であるのだ。

 桃太郎伝説では桃太郎たちが金銀財宝を手にして帰ってきたが、これは「長い時間をかけて岡山が発展し、金銀財宝があふれる地域になった」ことを、子供にも理解しやすいように省略して伝えられた結果だと言われている。


 この説をさらに強めるのが、上の伝説の最後の一文だ。「雲出づる国」という記述だ。この記事の冒頭を思い出してほしい。岡山県は「晴れの国」といえど曇りが一番多いのだ。



 ここでようやく「出雲市」に辿り着いた。

 結局のところ、「出雲村」という村が岡山地域にはあり、それが廃藩置県などの影響で「出雲市」になりかけたが、人口の少なさと過去の悪運とによって存在が抹消されただけの話である。


 ちなみに今の吉備高原のあたりに位置していたそうなので、暇のある方は訪れてみても面白いだろう。



 今回の記事はここまで。詳細が気になった方は「怨煮伝説」などで検索してみてほしい。

なお、ほぼ全てのお話はフィクションですが、一部事実を含みます。

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