空っぽの世界
空にぽっかり空いた穴
突然現れて 世界の人々 消えていった。
吸われていくように
飲み込まれていくように
空にあった雲も みんなの家も
山も 海も 全部
消えていった。
人間の手足じゃ なんにもできなくて
もがいても もがいても 吸われていく日々
もう残り少ないよ。
呟くけど どうしようもなくて
世界が終わるまで たった五日だった。
たった五日だったけど、
最後に残った人には長い長い時に思えた。
それは最後の夏休みのように。
明るかった太陽も吸われたとき、
最後の人間も吸われて消えた。
もう、何もない。
もう、終わりを恐れることもなくなった。
世界が空っぽになるとき、
穴もそっと 閉じて消えた。