自分が嫌になる
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店を勢いで出てきて、急いで家まで帰ってきた。自分でもバカなことをしたと思う。折角の琉君と仲直りができるチャンスだったのに……
私は自分の部屋のベッドで大きなため息をこぼす。
自分でもわかる。私はめんどくさいタイプの女だ。あの時、琉君は本当のことを正直に言っただけだと思う。それなのに、自分が求めていたような回答ではなかったから、お金だけ置いて琉君を置き去りにして店を出てきてしまった。
好きな相手に対して、こんな態度しか取れない私はどうすればいいのだろうか。こんな自分が心底嫌になる。
「嫌われたかなぁ……もう話したくないって思ったかなぁ……」
そんなことを考えていると自然と目から涙が溢れてくる。それを隠すようにベッドの枕に顔を押し当て声を殺して泣き続けた。
私は泣きながらいつの間にか眠ってしまっていたようだった。いつも起こしてくれる、母の声が聞こえる。でもなんだか、体が重い。学校に行きたくないと自分の体が言っているようだった。
お母さんもいつも呼べば起きてくる娘が起きてこないことに異変を感じたのだろう。私の部屋に名前を呼びながら入ってきた。
「楓、どうしたの?」
「お母さん、体だるい……学校行きたくない……」
そう言った私の元に近づき、額に手を当ててきた。
「結構熱いわね……学校行くの厳しい?」
「いきたくない……」
「わかったわ。学校には連絡しとくわね。お母さんは仕事だけど一人で大丈夫?」
「たぶん、だいじょうぶ……」
そういうとお母さんは部屋から出て行った。話し声が聞こえる。学校に電話を掛けてくれているのだろう。そこで私の意識がなくなった。
誰かが手を握ってくれている。おでこがひんやりする。それで私は目覚めた。そしてベッドのそばを見るとそこにはみゆが居た。心配そうにこちらを覗き込んでくる。
「かえちゃん……大丈夫?」
「みゆ? なんでみゆが私の部屋に……?」
「かえちゃんのお母さんからRUINでメッセージが来たの。仕事を休めないから学校終わったらうちに寄って娘の事を見ていて欲しいって」
「そうだったんだ。わざわざごめん……」
「そんなこと気にしなくていいの! ちょっと待っててね」
そういってみゆは部屋を出て行ってしまった。時計を見ると時間は夕方の5時を回っていた。みゆはすぐ戻ってきて、手には飲み物と、プリンやゼリーを持っていた。
「色々買ってきたけど、食べれそう?」
「たぶん……食べれる」
正直、昨日の夜から何も口にしていなかったため、お腹は空いていた。私がベッドから起き上がろうとしたら、みゆから止められた。
「かえちゃんは寝てて! 私が食べさせてあげるから!」
「え、でも……悪いから……」
「病人はそんなこと気にしなくていいの! どれを食べたい?」
「ありがと……じゃあ、そのゼリー食べたい」
みゆはゼリーをすくって私の口元に持ってきてくれた。こんなことをされると昔を思い出す。小さい頃、風邪を引いたときお母さんもこうやって食べさせてくれたっけ……
「おいしい?」
「うん。おいしいよ」
ゼリーを食べ終わった後、更にプリンも食べさせてもらい、飲み物まで飲ませてもらった。自分でできると言ったのだが、みゆは聞いてくれなかった。そして、少しだけ、みゆと他愛のない話をしていたらお母さんが帰ってきた。話している間もずっとみゆは私の手を握ってくれていた。
「みゆちゃん。今日は本当にありがとうね。おかげで本当に助かったわ」
「私はなんにもしてないですよ! それじゃあ、そろそろ帰りますね。かえちゃんバイバイ! 明日は学校来てね。元気になったらお見舞いの袋の底を見てみて!」
そう言ってみゆは家に帰ってしまった。みゆが来てくれたおかげで少しは元気になった気がする。そして、元気になったら、と言われたがお見舞いの袋の底を見てみると、ノートの切れ端が入っていた。そこにはこう書かれていた。
昨日はごめん。早く元気になって学校に来てね。お大事に。
とだけ書かれていた。こんなことをするのは琉ちゃんだ。私が悪いのに、琉ちゃんが謝る必要なんてないのに、彼は謝ってくれた。学校に行くのが気まずいって思っていた私とは大違いだ。
彼とちゃんと向き合わなければ、自分を変えなければ、と強く思ったのだった。
かえ×みゆ本当に好きだなぁ……
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