橙色と赤みの中間色の美しい真珠
あまりに唐突で返す言葉が見つけられないでいると、
「黙っているって事は心当たりがあるのね」
更に圧をかけて来る。
何の心当たりか……思い出そうとするがやっぱり分からなくて。視線を宙に漂わせていると、シスターは汚らしいものを見るような目で見下ろして、ようやく泥棒の内容を話した。
「クッキーの代金が百円足りないわ。ネコババしたんでしょ」
そう言われて思い出した、おうみ坊主に貰った百円をポケットに入れっぱなしだった事を。
「泥棒してない、忘れただけ」
そう言ってポケットに手を突っ込んで中身を掴むと、勢いよくシスターへ見せた。
「……あなたは泥棒の上に、嘘つきだわ」
掌を眺めるシスターは冷めた声で言った。
「嘘ついてない、百円あるら!」
ふん、と手を突き出せば。
「たくみちゃんにはこれが百円玉に見えるのね、目までおかしいらしいわ」
とシスターは言う。
まさかと思って自分の掌を確認すると、そこにあったのは――
「……しんじゅだ、」
色味としては珍しい、橙色と赤みの中間色の美しい真珠が、淡く輝いていた。
「どこで盗んできたのっ!」
般若の形相で怒鳴りつけられ、いつもなら萎縮するたくみなのだが。嘘はついていないし泥棒もしていない、これはおうみ坊主がくれた百円なのだ。
「盗んでない!」
認める事は出来ない、そんな気持ちで言い返すと、シスターは大げさに驚いた風に言った。
「まぁ、なんて頭の悪い子なの!」
そういった後、段々顔が赤くなっていき、
「落ち着きも無ければ可愛げもまったく無い生意気な上に、口の減らない子ね。それに卑しくて心は汚くてまるでゴミだわ! こんな子が世の中で使えると思えない!」
「あたし、そんなんじゃないもんっ! シスターこそ気分屋で怒りんぼうのくせに!」
ばちんっ
突然、乾いた音が玄関に響いた。
たくみの首は叩かれた勢いで横を向き、シスターの腕は空中で静止していた。
シスターは自分の掌を呆然と見つめ、たくみも頬のひりひりを感じながら奥歯を噛み締める。
玄関は妙な静けさに包まれる。
そしてたくみは涙を堪え、ゆっくりとシスターを睨みつけた。
視線を泳がせるシスターと、真っ直ぐに睨みつけるたくみの視線がついにかち合う。
「……反省をしなさい」
シスターは戸惑うように言い、たくみの腕を掴んでふらふらと宿舎を出た。





