ざるそばちゅるちゅる
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「神父、ただいま!」
長老に姉川まで送ってもらったたくみは、川男の隣に腰を下ろして本を開いている神父を見つけて手を振った。
「おかえりなさい、楽しかったですか」
「うん、水の中をビューんってすごいスピードで進むの。長老すごい!」
神父は川面に佇む長老に首を向け、頭を下げた。
「たくみと遊んでもらって、ありがとうございました」
「俺のほうこそ、たくみを連れてきてくれて、感謝している」
そう言ってから、たくみへ首を向けた。
「たくみ、また会おう」
「うん、また会おうね」
長老は姉川へ姿を消し、遊んでいた河童たちも続いて帰っていった。
「神父、河童と知り合いなんだね、かっこいい」
「昔、ちょっとお世話になったんです」
「って言うか神父、蓑火も知ってたよね」
「蓑火は竹生島の伝説ですから、誰でも知っていますよ」
「もしかして竜神様も知ってるの?」
「竜神様は、近頃見かけますね」
「マジで……! たくみ会ってみたい」
「近江に暮らしていれば、そのうち会えると思いますよ」
「そーなんだ。たのしみが増えた」
「良かったですね」
その時、神父のお腹の虫がぐぅと鳴り。伝染したようにたくみのお腹の虫もぐぅうう、と鳴って顔を見合わせた。
「お昼はお蕎麦屋さんで食べて帰りましょうか」
「うん! たくみ、ざるそばちゅるちゅるする。サツマイモのてんぷらも食べたい」
「おいしそうですねぇ、私は春野菜のてんぷらが食べたいですね、蓬、ソラマメ、筍。考えていたら湖の魚も食べたくなってきました」
「神父欲張りぃ」
「はは、今日は美味しいものをお腹に入れてあげたい心持ちですから、たまには少しくらい欲張っても、罰は当たらないでしょう」
「だね」
「そうだ、今度湖へ釣りに出かけましょうか」
「釣り、してみたい!」
「決まりですね」





