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国友鉄砲鍛冶衆の娘  作者: 米村ひお
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 *


 きゃんぷ以降、週末になると神父と兄弟たちと一緒に出かけていた。歴史のある史跡を巡り、神父やガイドの話を聞き、たくみは歴女の階段を一段ずつ着実にのぼっていた。


 その間、シスターはいつも留守番だった。

 神父の不在時に機嫌の悪いシスターが、神父の前ではにこにこでいる。しかも優しい声で言ってらっしゃいと見送られてしまい。その落差が釈然としないたくみは、シスターの心根を気持ち悪いと思っていた。


 廊下を走った罰、と言って鶴を折らされた。少し走っただけでも容赦なく罰を受け、折鶴はどんどん増えてこのままでは千羽鶴が出来上がりそうだった。現に、子供たちが遊ぶ大きな部屋には、千羽鶴が幾本も吊るされている。今折っている鶴もその仲間に入るのだろうと、折りながらいつも思った。


 そんな状況を心配してか、シスターと行く散歩に弥一が付き合ってくれるようになった。

 たくみ以外、弥一の姿は見えない。散歩中にたくみと弥一が話をしたならば、周りの人間が気味悪がるのは弥一も承知だ。だから弥一は一人で話して、一人で笑って、堤防に佇む灰色のしわしわの仲間に入ってみたり、散歩から遅れを取らない程度に自由に過ごしていた。


 *


 くりぬいたかぼちゃ、魔女、コウモリ、橙色と紫色と黒色に宿舎が満たされ、兄弟たちが思い思いに変装し、指定の場所へ行って、


「お菓子をくれないといたずらするぞ」


 という奇妙な祭典が終わり。


 それからしばらくすると、空は日が出ていて明るいのに、時折細い雨がしとしと降るようになった。その頃、世の中は赤と緑と、真っ白な髭のおじいさんと、赤い鼻のトナカイに侵略された。宿舎には大きなツリーが飾られ、兄弟たちで飾り付けをした。


 クリスマス、という行事は恵みの家でも行われていた。けれど、くりぬいたかぼちゃのはろうぃんというのは経験が無かった。それはそれでお菓子がもらえて楽しかったし、新鮮な経験だった。そして今日、クリスマスの飾り付けが整った宿舎で、オルガンの音に合わせて兄弟たちが歌を歌っていた。


「はーぴばーすでーでぃあ たくみぃ~


 はーぴばーすでーぃ とぅーゆー」


 拍手に押され、白鳥の形をしているシュークリームの前にいるたくみは、それに立てられたろうそくに息を吹きかけて消した。すると一斉に兄弟たちはシュークリームを食べ始めた。

 ハンカチ落とし、椅子取りゲームなどをして楽しんだ後、たくみは圭と鉄砲ミュージアムへ出かけた。その空はどんよりしていて、酷く寒かった。


「雪が降るかもな」


 出掛けにそう言って、圭はたくみの首にマフラーを巻いて、帽子を被せた。


「ゆき?」


「おぅ、雪だ。見たこと無いのか」


「うん、無い」


「そっか、降るといいな」


「楽しみ」


 そうして二人は、宿舎を後にした。





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