変化
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「きゃんぷ、どうだった」
国友鉄砲ミュージアムの二階展示室で、一本たたらは言う。
“楽しかったよ。テント張るの大変だった、夕方マシマロ焼いて食べたの美味しかった。中がチョコだったの。そうだ、ちくぶじまも行った”
たくみの話を楽しそうに聞いていた一本たたらは、最後のちくぶじまにやたら反応した。
「竹生島行ったのか?」
鼻の穴を広げ、興奮気味に問われたが。どうしてそんなに興奮しているのか、たくみにはよくわからない。
“行ったよ。お寺で達磨さんに願い書いて、神社でお皿投げた”
きょとんとしつつ、答えれば。
「あの島には蓑火がいるが、会ったか」
大きな一つ目を瞬かせている。
“うん、会った”
一本たたらの真意が分からないたくみが、いぶかしげに答えると、
「そぉかっ! 会ったか!」
そう言ってその場で宙返りをして、喜んでいる。
“たたちゃんうれしい?”
「なんか感動して来たぜ、俺ぁ」
一つ目を潤ませて、何かを懐かしむように視線を漂わせていた。
たくみは、その様子をしばらく眺めていたが。さすがに間が持たなくなって、
“たたちゃん、鍛冶のこと教えて”
静かに問いかけると。
「おぉ、悪ぃ、浸っちまってた」
鋭い爪のついた指で目元を拭い、鍛冶講座を開始するのだった。





