表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国友鉄砲鍛冶衆の娘  作者: 米村ひお
56/381

魔法のペースト

 

 廊下の隅で、ぎこちない手つきでドアノブを磨いているたくみの元へ、神父がやって来た。


「頑張っていますか」


 柔らかい関西訛りで話しかけると、たくみは手を止めた。その腕に、掴まれたらしき手形が痣になって付いている事を、神父は見つけていた。


「……全然綺麗にならない」


 見上げた表情はあまりにじっとりしていて、神父は微笑を深くした。そして、


「これを使うと綺麗に落ちますよ」


 そう言って差し出したのは、ペースト状の白い物体が入っている小皿だった。


「これなに?」


「重曹とお水を混ぜたものです。軽く拭くだけでぴかぴかになりますよ」


「ありがとう!」


 嬉々として受け取ったたくみは早速試してみる。


「おおお! ぴかぴか! しんぷすごい!」


 振り見上げるたくみの瞳がきらきらと輝いて、さっきのじっとり顔は、よほどつらかったのだろうと想像がついた。

 キュッキュとドアノブを磨いているたくみに、神父は言った。


「たくみ、週末は湖畔へキャンプに行きましょう」


 その誘いにたくみの首はぎゅんと回って神父へ向いた。


「きゃんぷ! 行く!」


 布を握り締め、鼻を膨らませているたくみに、神父は続けて言った。


「その次の週末は小谷城を巡って、その次の週末は安土城なんてどうだろう、まだまだお城はたくさんある、長浜城、殿屋敷。お城じゃないが竹生島は歴史のある場所だ。ああそうだ、戦国時代に関係する神社仏閣も巡ろう」


 神父はたくみのサバイバル魂と歴女魂を、この先半年は軽くくすぐり続けるが如く、あちこちへ行こうと提案するのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ