呪われたくない!
ジジ、ジジッ、
呪いの肝試しを賭けた線香花火勝負。最後の線香花火が消えかかるのを、子供達は静かに見守っている。
そして線香花火は次第に暗くなっていき……
「あぅ、」
光を失った線香花火を手に、情けない声を出したのは、たくみだった。
すると突然、線香花火をいの一番に落とした四年生の男の子、かなるが泣き出した。
「俺やだよ! 呪われたくない!」
仕舞いには雄叫びを上げてぐおーんと泣く始末。けれど、言いだしっぺの一番年上の男の子も、他の兄弟も、みんな自分に当たらなくて良かったという表情で、泣き叫ぶ様子を指差して笑う子もいた。
するとたくみは、線香花火を手に、かなるの前で足を止めた。
「あげる。これ、かなるくんの」
線香花火を差し出すと、かなるはしゃくりあげながらたくみを見下ろした。
「かなるくんのはなび、ちょうだい」
言葉にならないかなるは、震える手で線香花火を差し出し、ゆっくりと、互いの手に渡ってゆく。
「たくみがきもだめしする。かなるくん、もうだいじょうぶ」
背伸びをしてかなるの頭を撫でてやると、かなるは線香花火を握り締めて、ぐわーんと泣き出してしまうのだった。





