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絶対絶対絶対入っちゃいけないんだからな
男の子は恐れおののいて問うが、何か見えた、などと言えば変人扱いされるのは分かっているから。
「見てみたかっただけ」
サラッと返すと、子供たちは盛大な溜め息をついて体勢を戻していた。
「はぁ、……続けるぞ」
気を取り直して、男の子は言った。
「でも、その泣き声、あの部屋から聞こえたんじゃない、地下室のほうから聞こえてきたんだ」
すると、子供達は途端にざわつく。
「開かずの扉の亡霊が地下室に行ったんだ」
「いいや、地下室にも亡霊がいるんだ」
「どちらも入っちゃいけないってシスターがいつも言うものね、きっとそうよ」
子供たちの話を聞いていた男の子は、そうだな、と相槌を打って。
「その部屋に入ったら呪われるって言い伝えがある。だからたくみ、絶対絶対絶対入っちゃいけないんだからな」
そう言われると入りたくなるな、とたくみは思う。すると、ある子供が言った。
「なのに、線香花火で負けたら部屋に入らなきゃいけないんでしょ? 呪われたらどうするのさ!」
「ん?……そうだな」
男の子は腕を組んで考える振りをしてから、
「なるようになる!」
と拳を握っていた。





